写真:潮 佳澄
地図を見る京阪電車・清水五条駅から歩いて10分ほど。五条坂から少し南に入った路地に「河井寛次郎記念館」はあります。昭和十二年に建てられた住居がそのままミュージアムになっていて、全体は2階建ての建物部分と陶房・登り窯からなります。
写真:潮 佳澄
地図を見る記念館の引き戸を開けると外の世界とは一変、静かな時間の中に入っていくような雰囲気が漂っています。受付の先にある1階の板の間は、中庭・吹き抜けを通じて2階にも繋がる囲炉裏がある空間です。京町家ではあまり見られない囲炉裏。寛次郎氏が設計したこの家は日本各地の民家(主に飛騨高山)を参考にしつつ、独自の構想で建築されたもの。
柱時計の音が響き、どの部屋にも太陽の光が差し込む建物は自然とおだやかな気持ちになる雰囲気があります。
(受付で声をかけると自由に館内の写真撮影をさせていただけます)
写真:潮 佳澄
地図を見る建築だけではなく、作品・調度品・蒐集品を含めて全体が河井寛次郎の世界である一方で、記念館の特徴とも言えるのは展示品を解説するパネルなどいわゆる“説明”が少ないこと。ミュージアムを訪れるとつい展示品の説明を求めてしまいますが、館内にいる時は見て理解しようとするよりも「感じる」ことを優先してじっくりと過ごすのが楽しみ方と言えます。
寛次郎氏は生みだした作品の多くに銘(サイン)がなく、“陶芸家”という名称や作品を“美術品”として扱われることを好まなかったとされています。記念館での展示方法からもその想いが受け継がれていることが感じられます。
写真:潮 佳澄
地図を見る2階は吹き抜けを中心に書斎と居間が配されていて、書斎の椅子や机は座ったり、触ったりして使えるようにもなっています。自宅兼工房だった記念館はまさに寛次郎氏がのこした言葉「暮しが仕事 仕事が暮し」を感じさせる家。書斎では、窓に広がる中庭を見ながら思索にふける時間を過ごしたくなります。
写真:潮 佳澄
地図を見る河井寛次郎の作品はやきものだけでなく、デザインを手がけた椅子や竹製品、電気傘に至るまで…展示ケースに入ったものもありますが、多くの作品があちこちに溶け込んでいます。
2階の居間に並ぶ木彫は戦後に多く製作されたもの。館内の作品について詳しく知りたい場合は、受付前に記念館内や作品が紹介された書籍、公式HPで作品紹介があるので、そちらを見るのもいいでしょう。でも、難しく考えるよりは、ほのぼのと眺めてみるのがおすすめです。
写真:潮 佳澄
地図を見る陶房・登り窯へと繋がる1階の陳列室には、遺愛品、作品、作陶の下絵や書などが展示されています。館内作品の陳列替えは原則として3月・6月・9月・12月に行われるので、春夏秋冬、季節ごとに異なるものを観ることができます。
写真:潮 佳澄
地図を見る心が落ち着くような静けさが漂う登り窯。大正9年、河井寛次郎が30歳の頃に譲り受け、“鐘渓窯(しょうけいがま)”と名付けられた登り窯は、共同窯として多くの人に使用されていました。かつては火が入り、多くの器を生みだした窯の力強さに圧倒されます。
写真:潮 佳澄
地図を見る窯の周辺・室内へ自由に入ることもできます。寛次郎氏は二番目の室を主に使っていました。
写真:潮 佳澄
地図を見る日常に使われる物から「用の美」を見出す“民藝運動”の中心を担ったことでも知られる河井寛次郎が暮らし、仕事をした家である「河井寛次郎記念館」。記念館の中では、いつもは見逃してしまう生活の中にある何気ない物の美しさや素朴さに自然と目が向かいます。京都で知る人ぞ知る名所、ゆっくりと時間をとってあなたにしか受け取れない“何か”を感じる時間を過ごしてみて。
住所:京都府京都市東山区五条坂鐘鋳町569
電話番号:075-561-3585
アクセス:京阪電車「清水五条」駅より徒歩10分
休館日:
月曜日(祝日は開館、翌日休館)
夏期休館 8/11〜8/20頃、冬期休館 12/24〜1/7頃
※夏季・冬季休館は例年異なるため、公式HPで確認
開館時間:10:00〜17:00(入館受付 16:30まで)
・ページ下部[関連MEMO]では河井寛次郎の作品、“民藝運動”の多くの作品が展示される「アサヒビール大山崎山荘美術館」を紹介しています。
2019年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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