最初にご紹介したいのが、国会議事堂の西側にある「カナダ戦争博物館」。ここには19世紀のカナダ本土での戦争のみならず、第一次世界大戦や第二次世界大戦など、戦争を通じて世界の国々が歩んだ軌跡が保存されています。
この博物館の特徴の1つ目は、決して広すぎないスペースをうまく活用して膨大なコレクションを展示していること。時代ごとに4つのエリアに分かれていますが、各エリアのエントランスと出口が近接しているので、好きなエリアから廻ることができます。
2つ目の特徴は、館内に流れるサウンドや等身大の舞台で戦争の臨場感を出しているところです。館内を歩いていると、映像のサウンドだけでなく、どこからともなく「ゴーッ」という航空機の音が聞こえてきます。
館内は展示物やそれについての説明資料も豊富で、各戦争の客観的情報を多く得られるようになっています。
上の写真は大砲のレプリカ。各エリアでそのときどきに使用された大砲を見ることができます。時代を追うごとに、そのサイズも迫力もアップ。順路を進むごとに、兵器が拡大化し、残虐化していくその変遷を見ることができます。また、大砲の他にも兵士の制服の変遷の過程が楽しめます。いわゆるオタクと呼ばれる人にはもちろんのこと、そうでない人も十分楽しんで比べることができます。
奥に進んで第二次世界大戦のコーナーで真っ先に目に入るのが、当時の枢軸国(日本、ドイツ、イタリア)の映像。連合国側の戦争掲揚のプロパガンダや、世界がどう分裂していたかのマップも見ることができます。
また、開戦後に敵国の人とみなされカナダで迫害を受けた日系カナディアンの記述が残されていたのも興味深い点です。
音も効果的に使っているので、子供なら戦争の怖さを直感的に感じることができます。
サウンドと圧倒的情報量で臨場感と充実感を見出せるこの博物館のもう一つの醍醐味は、ミニチュアフィギュアで当時の街の様子を再現したり、戦争の舞台(塹壕戦)を模したスペースを設けるなど、細部にまでこだわっていること。
上の写真は、戦争により破壊された街並み。今でこそ平和が訪れているヨーロッパですが、こうしてみると、実に市街地が世界大戦の舞台となり、市民の生活は文字通り戦争の脅威と隣り合わせだったことが分かります。
また、ぜひ足を踏み入れてみたいのが、この第一次世界大戦の塹壕戦の舞台。目の高さに地面が来るとてもリアルなものとなっています。本物の舞台ではむき出しの土壌も衛生的ではないですし、周囲はおろか一寸先の敵の姿まで見えず、当時の兵士は相当な精神的苦痛を味わったことでしょう。
また、当時の街の様子が等身大で再現されています。当時の枢軸国を風刺しているプロパガンダや、兵器鋳造のために徴求していた物質などを見ることができます。
そして出口付近にはボードがあり、この博物館を訪れた所感や、自身が体験した、または聞いた戦争体験を共有するコーナーがあります。ボードのメッセージから、様々な国から来場者が訪れていることがわかります。
<カナダ戦争博物館の基本情報>
住所:1 Vimy Pl, Ottawa, ON K1A 0M8
電話番号:+1-800-555-5621
アクセス:市バス44番Canadian War Museumにて下車、徒歩すぐ
お次は「カナダ歴史博物館」。先住民の時代から現代まで、カナダの歴史を通しで知ることができます。かつてはイギリスとフランスに支配され、現在も公用語として英語、フランス語が使われているカナダ。その成立の歴史に今一度意識を向けることができる博物館です。
特に興味深い取り組みが、国会議事堂の大きなフィギュアの前にある大画面の「Your Parliament」(=あなたの議会)と呼ばれるゲームを設置していること。ニュース報道をベースに、国会議員となった主人公が政策を成立させ国家を変えていくゲームです。かわいらしいタッチのキャラクターが登場し、親しみやすい絵とわかりやすい内容は、子供にも大人気。
このゲームでは、国会で政策が可決され、それが国を作っていくという議会のルールを知ることができます。さらに、子供も楽しめるゲームに落とし込むことで、国はどうあるべきかという考え方を早い段階から考えてもらうきっかけになるのではないでしょうか。
この段落の冒頭にも書きましたが、やはり忘れられないのはカナダの英語圏、そしてフランス語圏の分断されてきた歴史。ケベック州などは今でもフランス語が主流ですが、言語が違うことで分断されていた2つの地域を持つカナダが、いかにして現在のカナダになっていったのかを時間軸を追って追跡することができます
<カナダ歴史博物館の基本情報>
住所:100 Rue Laurier, Gatineau, QC K1A 0M8
電話番号:+1-819-776-7000
アクセス:市バス33番、34番などでRue Laurierにて下車、徒歩4分
続いて、オタワの市街地からやや離れたところにある「カナダ航空&宇宙博物館」。空を飛ぶという概念が夢だったころの初期に使われた航空機、大戦で使われた戦闘機など、世界で使用された幾多の航空機が収容されています。
上の写真は初期の飛行隊ですが、当時からこのような形のものが空を飛んでいたというのは驚きです。骨組みがむき出しで、機体の強度に不信感を覚えそう。
ただ、今の飛行機があるのは、ひとえにこの時代の研究者や開発者のおかげということを忘れてはいけません。長時間飛ばすために、あるいは高速で飛ばすために、設計から試行からと、並々ならぬ労力と忍耐が必要だったことでしょう。
機体の大きさに圧倒されること間違いなしですが、こんなかわいいミニチュアフィギュアも。このように一体ずつ倉庫に格納し、時間をかけながら飛行機の製作や整備をしていたかと思うと、愛しい気持ちになりますね。
この博物館の中でもう一つ注目したいのが、宇宙開発のコーナー。地球だけでなく、人類の宇宙を開発したいという野望は、大戦後から変わっていません。
さらに奥には、エンジンのレプリカが飾られているスペースも。この回路の中に、飛行隊を飛ばす重要な要素が詰まっているわけです。
旅客機の他にも、救急時に使われる機体の展示もあります。黄色で目立つこちらの機体は、現在も世界中で災害時に活躍しています。
そして、この博物館の醍醐味が、搭乗体験ができるということ。飛行機を堪能したあとなら、空を飛ぶというすごさや重みなど、いつもと違う実感を得られるかもしれません。
<カナダ航空&宇宙博物館の基本情報>
住所:11 Aviation Pkwy, Ottawa, ON K1K 2X5
電話番号:+1-613-991-3044
アクセス:市バス129番でAviation Museumにて下車(本数が少ないので注意)、または市バス9番、64番などでHurdmanで下車
ご紹介した3つの博物館の他、オタワには「カナダ国立美術館」、「カナダ国立自然博物館」が存在します。博物館好きの人におすすめなのが、3日間で3つの博物館を廻れる「MUSEUM PASSPORT」。1つの博物館の大人の入場料は15ドルが相場ですが、このパスはなんと35ドル。3つの博物館を廻れば充分に元がとれるお得なパスポートとなっています。
5つの博物館は市街地に近く交通機関を利用して廻れる距離ですし、どれも敷地が広大で展示物も多く充実感を覚えること間違いなし。お好きな博物館を3つピックアップし、ぜひゆっくりと時間をとって廻ってみてはいかがでしょうか。
2019年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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