登山家が愛した越前大野の名峰「荒島岳」!心洗われる紅葉のブナ林も

登山家が愛した越前大野の名峰「荒島岳」!心洗われる紅葉のブナ林も

更新日:2019/10/06 17:50

土庄 雄平のプロフィール写真 土庄 雄平 山岳自転車旅ライター・フォトグラファー
大野市街の南東にそびえ、大野富士とも呼ばれる独立峰「荒島岳」。福井県で唯一、日本百名山に選定された名峰で、その山頂からは白山や北アルプスの山々、大野平野や日本海を望む360度の大パノラマが広がり、多くの登山愛好家の心を虜にしています。その中で特に人気なのは、秋の紅葉の時期!なぜなら、山腹のブナ原生林が染め上がり、まるでオレンジ色に包まれるような癒しの山歩きを楽しめるから。小荒島の紅葉も必見です!

越前大野の象徴となっている名峰!登山家・深田の愛した山

越前大野の象徴となっている名峰!登山家・深田の愛した山

写真:土庄 雄平

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福井県の東部に位置する越前大野は、自然に囲まれた風情ある城下町。日本三名山の一つ白山を中心とした両白山地に囲まれ、山に育まれる豊かな湧水が町を潤し、大野一帯の平野には大規模な水田が広がっています。

また町の中心部には、雲海に佇む姿から天空の城として近年人気の「大野城」が築かれ、その城下では今でも七間朝市も開かれるなど、独自の伝統と歴史文化が根付く地です。

越前大野の象徴となっている名峰!登山家・深田の愛した山

写真:土庄 雄平

そんな風光明媚な大野の町の象徴になっているのが、南東にそびえる百名山「荒島岳」。標高1523mの独立峰で、その美しい山容から大野富士と言う別名をもつこの山は、日本海へと注ぐ九頭竜川の源流になっており、この地に恵みをもたらす母なる山です。日本百名山を選定した深田久弥が愛した山として知られ、今でも多くの登山愛好家が訪れます。

紅葉の美しさは格別!ブナ林を歩く勝原コースで「荒島岳」へ

紅葉の美しさは格別!ブナ林を歩く勝原コースで「荒島岳」へ

写真:土庄 雄平

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四季折々美しい様相をみせる荒島岳ですが、特に一番と名高いのは秋の時期。なぜなら、山一帯が鮮やかに染まり、例えようもない鮮やかな美しい世界が展開するから。それを最も堪能できるルートこそJR越美北線・勝原駅(かどはらえき)から徒歩15分のところにある登山口から山頂を目指す「勝原コース」です。

紅葉の美しさは格別!ブナ林を歩く勝原コースで「荒島岳」へ

写真:土庄 雄平

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その理由はコースの前半にあります。実は他の登山道との合流点に当たるシャクナゲ平(標高1200m)に至るまで、荒島岳の特徴の一つになっているブナの原生林を縫うように道が続いていき、静寂かつ美しい自然に囲まれて、情緒ある山歩きに浸ることができるのです。そして紅葉の時期には、そのブナ林が一段と趣を深めます!なんと、森全体が一気に色づき、まるでオレンジ色のトンネルを歩いているような感動的な光景へと変わります。

紅葉の美しさは格別!ブナ林を歩く勝原コースで「荒島岳」へ

写真:土庄 雄平

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そこにあるのは、ひたすらに美しい自然と自分のみ。落ち葉をサクサクと踏みしめる音、森の中を心地よく吹く風、森の中に差してくる木漏れ日。まるで自然と対話をしているかのような癒しの山行を堪能することができます。

小荒島が絶景!山肌を覆う錦絵と大野平野・日本海のコラボ

小荒島が絶景!山肌を覆う錦絵と大野平野・日本海のコラボ

写真:土庄 雄平

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少し開けたシャクナゲ平へ着いたら、一度休息を入れましょう!このシャクナゲ平から荒島岳山頂までは標高差300mであり、数字だけ見ると、ゴールが近いと言う印象ですが、実はここからが本番です。一度ブナ林を下れば、突如急な上りが続き「もちが壁」という急登を経て山頂付近へ至ります。登山慣れしていない方はここが鬼門!ゆっくりと自分のペースで着実に進んでいきましょう。

小荒島が絶景!山肌を覆う錦絵と大野平野・日本海のコラボ

写真:土庄 雄平

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そして急登が始まってしばらくすると、次第に木々の隙間から麓の景色が見えはじめ、開けたポイントへ至ると素晴らしいパノラマが広がります。なんと、錦絵の如く紅葉に彩られた荒島岳の前座「小荒島岳」と広大な大野盆地がコラボレーションを見せ、その先には日本海まで遠望することができます。「越前大野」という地だからこそ見られる要素が一枚の絵となった絶景です。

小荒島が絶景!山肌を覆う錦絵と大野平野・日本海のコラボ

写真:土庄 雄平

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荒島岳登山の途中で見渡すことのできるこの「小荒島岳」ですが、実はそのピークも踏むことができます。シャクナゲ平から中出(なかんで)コースを30分弱山頂方向とは逆に進めば、小高い丘になった山頂へと辿り着きます。ここから眺める荒島岳のダイナミックな山容は必見!下山時に立ち寄ってみて下さいね。

山頂周辺は絶景の連続!白山の大パノラマが圧倒的

山頂周辺は絶景の連続!白山の大パノラマが圧倒的

写真:土庄 雄平

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「もちが壁」を越えると、緩やかな稜線歩きへと変わります。この辺りから森林限界を迎え、眺望が思いっきり開けます。そのため、絶景のオンパレード!まずは笹原の向こうにそびえる日本三名山の一角「白山」。一度目にすれば、その存在感のある稜線美に見惚れてしまうと間違いなし!そして白山に吸い込まれるかのように錯覚するこの区間。桁違いの迫力とスケールを放っています。

山頂周辺は絶景の連続!白山の大パノラマが圧倒的

写真:土庄 雄平

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また、山頂から広がる360度のパノラマが実に素晴らしいのも「荒島岳」の大きな魅力と言えるでしょう。まず、これまで進んできた道を振り返れば、そこには遮ることなく広がる大野平野。そして視野を時計回りに広げていけば、雄大な白山が現れ、力強い稜線と紅葉のコントラストが楽しめる越美山地の峰々。どこを見渡しても、山頂の景色にふさわしい絶景と言えるでしょう。こんな景色に囲まれてお昼ご飯は頂くのは、まさに至福のひと時。

山頂周辺は絶景の連続!白山の大パノラマが圧倒的

写真:土庄 雄平

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下山でも「もちが壁」から「シャクナゲ平」までは、気を抜かずに行きましょう!手も使いながら足場を確実に下ってくださいね。そしてシャクナゲ平以降は、再びボーナスタイム!美しいブナ林に囲まれて、うっとりとした山歩きが楽しめます。心洗われる自然の美しさに、思う存分パワーチャージしてから帰路につきましょう!

スタートからゴールまで最高の山歩きが楽しめる荒島岳の秋

スタートからゴールまで最高の山歩きが楽しめる荒島岳の秋

写真:土庄 雄平

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日本百名山の中でも、ややマイナーな存在である「荒島岳」。ハイカーの中では知名度が高い一方、一般の観光ではあまり知られていないこの山ですが、実は越前大野の魅力が詰まった山。360度のパノラマを誇る山頂からは、白山や北アルプスの山々、そして大野盆地や日本海など、一つの独立峰では留まらない大スケールの絶景が見られるのが醍醐味です。その中で、特に秋は、色彩溢れるブナ林や小荒島岳の山肌に染まる錦絵など、一段と山が美しくなるシーズン。「荒島岳」の紅葉に心躍る旅へ出掛けてみませんか?

荒島岳の基本情報

住所:福井県大野市仏原
アクセス:(勝原登山口)北陸自動車道福井ICから車で約1時間10分、東海北陸自動車道白鳥ICから車で約50分、JR越美北線勝原駅から徒歩10分

※所要時間登り3時間30分 下り2時間30分

2019年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/10/21 訪問

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