写真:小野 雅子
地図を見る国立ヨーク鉄道博物館は、公益団体サイエンス・ミュージアム・グループが運営する博物館のひとつです。ロンドンのサウスケンジントンにある科学博物館に代表されるように、科学・工業・技術などをメインテーマとする所蔵品の展示と保存研究に特化している母体だけあり、単なる鉄道博物館とは一線を画しています。
バツグンの充実度と規模を誇りながら入場無料という点も高く評価され、イギリス国内のベスト鉄道博物館ランキングで常に上位を保持しているのは納得!また国内だけでなく、ヨーロッパ博物館大賞の栄誉に輝いた実績もあります。
写真:小野 雅子
地図を見るこの鉄道博物館があるのは、ヨーク駅から徒歩5分ほどにある元は列車整備の拠点だった場所です。ちなみにヨーク駅構内でところどころに装飾としてあしらわれている白薔薇は、ヨークシャー州のシンボル。中世の薔薇戦争でヨーク家が白い薔薇を紋章とし、ランカスター家が赤い薔薇を紋章としたことは世界史で習いましたよね!そのヨーク家が由来なのだから、白薔薇にはヨークシャーっ子の誇りが現れていると言って過言ではありません。
写真:小野 雅子
地図を見るまた夏休みや春休みなどの観光ハイシーズンには、鉄道博物館とヨーク大聖堂前の広場を往復する列車型シャトルバス(ロード・トレイン)が運行しています。博物館前からの発車時刻は午前11時から始まって午後4時までの30分おき、運賃は大人が3ポンドで小人は2ポンド。途中停車はないためヨーク駅で降りる事はできませんが、博物館の前または後にヨーク中心部も観光したい場合にはラクラク移動ができて便利ですよ。
写真:小野 雅子
地図を見る博物館に入ったら左手に進んでいくと、ステーション・ホールと名付けられた展示エリアが待ち受けています。ここは1870年から1960年まではヨーク駅から発着した貨物列車のための、貨物センターだった所。
モノクロ映画に出てきそうな年代ものの列車だけでなく、所どころに古い券売窓口やアンティークな計量器、レトロなポスターの数々が配されている素敵なアレンジ。まるでタイムトリップして昔の駅に紛れ込んでしまったかのような雰囲気を味わえます。
写真:小野 雅子
地図を見るこのステーション・ホールで最も目立つのは、幾つかの王室専用列車です。ヴィクトリア女王のための列車は「車輪の付いたパレス」と言われたほど贅を尽くしたもの。また愛煙家だったエドワード7世のための喫煙サルーンや、第二次世界大戦中に当時最高レベルの防護を施したジョージ6世(現女王エリザベス2世の父王)の車両なども必見です。
写真:小野 雅子
地図を見る一方こちらは、ロイヤル・メールの郵便列車。一斉に積みこんだ郵袋から地域ごとに分ける作業は走行中に行い、停車駅ごとに該当地域分を降ろしていった様子がリアルに再現されていて臨場感がありますね!
他にも車両と同じくらい巨大な牛乳タンクや、魚など生鮮食品の積み荷など。かつて物流を一手に担っていた列車の黄金期と人々の暮らしぶりを垣間見れるのが、このステーション・ホールなのです。
写真:小野 雅子
地図を見るステーション・ホールを見学し終わったら、中庭へと続く通路を進んでグレート・ホールに向かいましょう。こちらはかつて蒸気機関車の動力メンテナンスをするため1877年に建てられた、機関車庫のひとつでした。
1942年4月にドイツ軍の空爆を受けたものの全壊は免れたため、戦後も修繕して引退した蒸気機関車と周辺機器の倉庫として活用されました。まさにイギリス鉄道史の一部として大きな役割を果たした建物なのです。
写真:小野 雅子
地図を見るグレート・ホールでは、蒸気機関車の創成期1800年代初頭から今日に至るまで、いかに列車技術が発達してきたかを実際に見て学べる展示が中心です。
ウェールズの渓谷に敷かれたナロー・ゲージ鉄道で馬を運ぶために活用されたダンディ・カートや、1938年に蒸気機関車として最速の世界記録を達成したマラード号(A4形蒸気機関車4468号機)、第1次世界大戦中に負傷した兵士を搬送・介護した救急医療列車など、イギリス鉄道史にとどまらず近代以降のイギリス史を縮図にしたような構成が見事です。
写真:小野 雅子
地図を見るいっぽう現代イギリス鉄道の金字塔となったのは、1994年にフランスとの共同で開通した英仏海峡トンネル。海底部の総距離では青函トンネルを抜いて世界一の37.9kmという快挙です。
着工した1986年からわずか4年半で海底部を貫通したのは、まさに現代技術の粋!プロジェクトには川崎重工業をはじめとする日本企業の貢献も大きいことは、日本のTV番組などでご存知の方も多いでしょう。この博物館には英仏海峡トンネルで運行しているユーロスター列車だけでなく、掘削した土砂を運んだ列車も展示。海水の浸食でボロボロに錆ついている「影の英雄」です。
写真:小野 雅子
地図を見る現代鉄道界におけるスーパースターのひとつ、日本の新幹線はイギリスでもつとに有名。ここには1976年に製造され2000年10月に引退した、0系先頭車22-141が展示されています。
これは2001年にJR西日本が寄贈したもの。引退した0系列車は日本国内の様々な博物館などに譲渡されましたが、海外ではヨーク鉄道博物館だけ!とても貴重な存在なのです。
写真:小野 雅子
地図を見る館内にある列車のうちいくつかは実際に車両の中に入ってみる事ができ、新幹線もそのひとつ。車内に3列シートがある列車は世界的に珍しく、初めて体験する入場者にとってはまるで大型旅客機のような印象です。
また連結部分にある「乗務員室」ドアや「くずもの入れ」など、日本語表示もオリジナルのまま。かつて0系車両を利用した人ならば、異国の地で懐かしい旧友に出会えたような感慨を抱くことでしょう。
写真:小野 雅子
地図を見る車内のモニターに映し出されるのは、新幹線が実際に運行している様子。高速で駆け抜けるシーンもさることながら、客室に入るたびに丁寧なお辞儀をする客室乗務員の姿もイギリス人にとっては非常に新鮮。先端技術だけでなく日本の文化や風習があってこその運行サービスなのだという事に、改めて気づかされます。
写真:小野 雅子
地図を見る大人も子供も楽しめる博物館ですから、プレイエリアも欠かせません。レールセットやソフト素材でできた小さな駅舎などがある幼児向けコーナーには、ロバート・スティーブンソンが設計した蒸気機関車ロケット号を模した玩具に座る事もでき、絶好のフォト・スポット。その隣には絵本やアニメで人気の、機関車トーマスが控えています。
またピクニックもできる中庭サウスヤードには子供たちを乗せて走るミニ鉄道があり、天気の良い週末などは大盛況。料金は1人3ポンド(2歳未満は無料)です。
写真:小野 雅子
地図を見るカフェはステーション・ホールとグレート・ホールにそれぞれひとつずつ。特にステーション・ホールにある方は懐古調でフォトジェニック!
また2つのホールの間にある小さな中庭には古い車両にエドワード時代のインテリアを施したティールーム、カウンテス・オブ・ヨークがあります。こちらはアフタヌーンティーが中心ですが、とても人気があるので事前に予約することをお勧めします(簡便にオンライン予約できるサイトは、記事末尾の関連MEMOにあるリンクからどうぞ)。
写真:小野 雅子
地図を見る6000点もの展示品数のうち約100点は機関車を中心とした列車という規模も、分かりやすい展示方法も、見ごたえ満点。イギリス国内だけでなく海外からの鉄道ファン垂涎の国立ヨーク鉄道博物館へ、われらがヒーロー新幹線0系の雄姿を見に行きませんか?!
住所:National Railway Museum York, Leeman Rd, York YO26 4XJ
電話番号:+44-333-016-1010
アクセス:ヨーク駅から徒歩約5分
2019年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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