秋田・由利高原鉄道〜「おばこ列車」が走る鳥海山麓のローカル線

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秋田・由利高原鉄道〜「おばこ列車」が走る鳥海山麓のローカル線

秋田・由利高原鉄道〜「おばこ列車」が走る鳥海山麓のローカル線

更新日:2014/05/13 16:33

池口 英司のプロフィール写真 池口 英司 フリーライター、フォトグラファー 日本写真家協会(JPS)会員

秋田県の由利本荘市を走る由利高原鉄道は、全長23.0kmの第三セクター鉄道です。決して長い路線ではなく、近隣に有名な観光地も少ないのですが、沿線に鳥海山麓の美しい田園風景が広がる、魅力に溢れた路線です。由利高原鉄道に乗って、鉄道旅行の楽しさを見つけてみましょう。

路線の愛称は「鳥海山ろく線」

路線の愛称は「鳥海山ろく線」

写真:池口 英司

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由利高原鉄道が、第三セクター鉄道としての再スタートを切ったのは、1985(昭和60)年10月1日のことでした。それまでの路線名は国鉄矢島(やしま)線。全線が開業したのは1928(昭和13)年と古いのですが、国鉄が経営の健全化を図ることを目的として、全国のローカル線を廃止した時に、矢島線もそのひとつに選ばれたのです。幸いなことに、矢島線は地域の自治体、企業が受け皿となって、第三セクター鉄道として存続されることになりました。
この路線が魅力的なのは、沿線の風景が昔と何も変わっていないこと。特に鳥海山の存在感は抜群で、一度でもこの路線を旅してみれば、「鳥海山ろく線」の愛称にいつわりがないことを理解できます。

「おばこ列車」とアテンダントさんが鉄道の魅力をPR

「おばこ列車」とアテンダントさんが鉄道の魅力をPR

写真:池口 英司

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第三セクター鉄道となった由利高原鉄道が、さらに積極的な経営姿勢を明確にしたのは、2011(平成23)年6月に、公募によって現在の春田啓郎さんが社長に就任してから。鉄道ファンであることを自認する春田さんは、鉄道の魅力をPRする経営策を前面に打ち出し、多方面に由利高原鉄道の魅力を広めてゆきます。
写真の「おばこ列車」は、2014(平成26)年4月19日から運転が開始されたラッピングトレイン。車体には漫画「私立百合ヶ咲女子高鉄道部」のキャラクターが描かれ、「萌え系」の車両に仕上げられています。月刊誌での連載は終了してしまいましたが、この車両はこれから2年間運行が続けられる予定です。

そして、今の由利高原鉄道の大きな魅力となっているのが、「まごころ列車」の運転です。1日1往復、矢島発9時49分、羽後本荘発10時47分の列車には、懐かしいおばこ姿のアテンダントさんが乗務し、観光案内や、車内販売を行っています。写真でおばこ姿をかって出て頂いた佐々木さんも、このスタイルが一般的だった時代のことはもちろん知らないそうで、お母様に昔のことを色々と伺って乗務の参考にしたのだとか。そんな努力も、この鉄道をさらに魅力的なものにしています(列車の運転時刻は2014年5月現在のものですので、お出かけの際には事前に時刻をご確認下さい)。

地域のニーズに密着した路線

地域のニーズに密着した路線

写真:池口 英司

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観光客誘致にも積極的な姿勢を見せる由利高原鉄道ですが、もちろん、いちばんのお客様となっているのは沿線の人たちです。この時は平日の午後ということで、列車の中は地元の子供たちで賑わっていました。何だか学校の続きのようです。

矢島駅の名所「まつ子の部屋」

矢島駅の名所「まつ子の部屋」

写真:池口 英司

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もう一つ、由利高原鉄道の魅力を語る上で忘れてならないのが、終点矢島駅の駅舎の中にある売店「まつ子の部屋」の存在です。昭和60年頃からここでお店を続けているのが佐藤まつ子さん。駅にやって来たお客様には欠かさず「桜茶」をサービス。佐藤さんの「駅を人のいない寒い場所にはしたくない」という気持ちが伝わってきます。私が訪れた時には、開口一番「まあ、お久しぶり。この前に来た時より元気そうだね」とのこと。「うん。金欠状態は変わらないけれどね」と返事させて頂きましたが、こんな会話が楽しめる売店というのは、そうはありません。秋田・由利本荘に名所あり、です。

写真で手にして頂いているのが「きっぷの缶詰」。由利高原鉄道では、今でも切符に昔ながらの「硬券(こうけん=ボール紙製の硬い切符)」を使っているのですが、その使用済みのものを缶詰としたものです。鉄道が好きな人にとって、お土産にも好適な一品。でも、缶を開けるのには、決断が必要かもしれません。私も以前に買った缶詰を、何だかもったいなくて、まだ開けられずにいるのです。

矢島駅売店「まつ子の部屋」
営業時間 9:00〜17:00頃 不定休
電話 0184(55)4500

のんびりとした鉄道の旅を楽しもう

のんびりとした鉄道の旅を楽しもう

写真:池口 英司

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アテンダントさんが乗車する「まごころ列車」の運転は1日1往復の運転で、東京を朝出ても間に合わない時間帯での運転なのですが、これは矢島に1泊するお客様にとって便利な列車を指定したためなのだそうです。それであれば、是非、矢島でのんびりと時間を過ごしてみたいものです。クルマ利用で、目的地を数珠つなぎにした旅では絶対に見つけることのできない出会いがあることでしょう。

旅をして初めて解る由利高原鉄道の魅力

時刻表の巻頭の地図には、由利高原鉄道の路線は、短いものが描かれているだけで、沿線には観光地もありません。見開きの地図のちょうど真ん中に位置しているので、綴じ目に隠れがちで目立ちにくいことも、なんだか可哀想です。
けれども、由利高原鉄道には、昔と変わらないのどかな風景が残っています。「周遊券」や「青春18きっぷ」を使って鉄道旅行をした経験がある人であれば、由利高原鉄道に、昔と変わらない鉄道の姿が残っていることに、すぐに気がつくはずです。秋田や、青森への旅行を計画したのなら、是非、由利高原鉄道にも立ち寄ってみて下さい。そこにはきっと、素敵な発見があります。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/05/02 訪問

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