写真:永澤 康太
地図を見る宮城県から山形県に掛けて山間を走る陸羽東線は別名「奥の細道湯けむりライン」と呼ばれ、有名な鳴子温泉など複数の湯処を結ぶ。沿線上の山形県・瀬見温泉は小国川を挟んで駅対岸に湧き、温泉街まで徒歩15分程度、比較的平坦な道なので歩きやすい。到着すれば直ぐに分かると思うが、山側のどでかい建物こそ「喜至楼」だ。玄関が二か所あって、宿泊者は別館(上記写真)より出入りする。
写真:永澤 康太
地図を見る一方、立ち寄り湯はこちらの本館玄関を利用する。重厚感たっぷりな本館が建てられたのは何と明治期で、山形県内でも最古の旅館建築を誇り文化財に指定されてもおかしくないレベルだ。建物としても現役で宿泊可能、レトロ好きにはたまらない魅惑ワールドが広がる。
写真:永澤 康太
地図を見る木造のレトロさだけでなく、建物に施された技巧と細工が造りだす一種独特な雰囲気も「喜至楼」の見所。本館、新館、別館、摩天楼からなる館内には、鯉が細工された透かし窓、脱衣所の御伽話を模したレリーフ、番傘のディスプレイ、鬼板、本館入口の松と女性の壁飾りなど、遊び心いっぱいな装飾が至るところにちりばめられている。ちょっとした資料館状態だ。(博物館もまじっているかも)
写真:永澤 康太
地図を見る一般的な客室は36部屋用意され、バス付きタイプだと温泉が引かれている。また、ふすま部屋が本館にあり、宿泊プランに載っていないが希望すれば利用OK。自炊施設、Wi-Fi環境も整い、プチ湯治にピッタリ。
ただしエレベーターはなく宿の規模も大きいので、移動距離と階段移動が多くなってしまうことに留意したい。それとエアコンは新館、摩天楼に設置されている。
写真:永澤 康太
地図を見る1187年、弁慶が岩を割って見つけた湯を、この地で誕生した義経の子、亀鶴丸の産湯に使ったところから瀬見温泉は始まる。「喜至楼」では無色透明無臭の熱い古湯(ナトリウム・カルシウム−塩化物・硫酸塩温泉)に沢水を加え温度調節し、8つの湯船へ掛け流す。
とりわけ円く縁取られた湯船が特徴のローマ千人風呂は、タイル造形も合わさり特異な光景を構築。立ち寄りでも入浴可、付随した打たせ湯と共に一風変わった湯浴みが体感できる。なお、時間帯により男性専用、女性専用、混浴と分かれるのでマナー厳守。
写真:永澤 康太
地図を見る別館のオランダ風呂は宿泊者専用で湯船が二つ(男女別だが時間帯で双方とも女性専用になる)。こちらもタイル造りで瀬見の湯とじっくり向き合うのに丁度良い。ちなみに昔は眺望が良く、おれんだ、の言葉が訛ってオランダへ変化した。
写真:永澤 康太
地図を見る瀬見温泉は源泉が60度を超え、温度の高さを活用した変わり風呂、ふかし湯が本館に設けられている。床に温泉蒸気の出る穴が空き、ここへタオルをかぶせ浴衣または肌着のまま寝転び、身体の悪い部分に当て温熱治療を行う大変珍しい伝統的なものだ。真冬は休止となるが宿正面の共同湯「せみの湯」にもふかし湯がある(宿泊者は共同湯の利用料割引)。
他、男女別あたたまり湯(立ち寄り可)、家族風呂(宿泊者数により湯を張らない場合あり)を用意。温泉に沢水を加えている為、山の神様のご機嫌により濁ることもあるものの、24時間入浴可能。館内で風呂巡りが行えることを考慮すれば、泊まって湯浴みした方が断然面白い。なお、飲泉は宿隣接の湯前神社で。
写真:永澤 康太
地図を見る提供しているプランについては選択肢が広く、素泊まりや1泊朝食付、郷土料理プランetc.、宿泊棟毎に設定。特にお勧めしたいのがお手軽プラン(2食付き)。素朴ながらシソ巻など御当地食の付くお得な内容で、ポイントは夕食にオプション料理が頼める点。上記写真はお手軽プランに特産のモクズ蟹小鍋と国産牛ステーキ(最上牛)を追加注文した膳。自分好みに調整しやすくグッドだ。
これほどレトロ&意匠の効いた巨大な宿は、他では中々お目にかかれない。「喜至楼」の遊び心に触れる度、非日常的な可笑しさを呼ぶ不思議がここにはある。是非とも館内を隈なく見てほしい、なので熱い瀬見温泉に浸かりつつ、のんびり滞在するのがベストだろう。
※泉質、立ち寄り入浴について
泉質/ナトリウム・カルシウム−塩化物・硫酸塩温泉(低張性中性高温泉)
立ち寄り入浴:10:00〜14:30(最終受付14:00) 大人500円、子ども300円(中学生以下)
・一人旅OK
2020年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/12/13更新)
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