近畿の屋根と言われる「大峰山地」。奈良県南部にそびえる峰々の総称で、その山深さは近畿随一!主峰の山上ヶ岳、最高峰の八経ヶ岳、オオヤマレンゲで有名な弥山、女人大峯と呼ばれる稲村ヶ岳など数々の名ピークを有し、それを縫うように大規模な登山道が発達しています。
アプローチの困難であり、登山道も展望スポットが少なく、深い森の中を歩く傾向が強いため、コアな登山者が好む傾向があります。
写真:土庄 雄平
地図を見るそんな山深さが特徴の「大峰山地」ですが、実は日帰りで行けるルートがあります。それが今回紹介する行者還(ぎょうじゃかん)登山口!「天の国・木の国・川の国」と称される秘境の村・天川村のさらにその奥、関西屈指の美しい清流「みたらい渓谷」を通り過ぎ、ひたすらに緑美しい林道を上れば、行者還トンネルの西口に登山口が現れます。
写真:土庄 雄平
地図を見るこの時点で、標高1110mを数え、関西では三重県と滋賀県を隔てる"鈴鹿山系"や京都府と滋賀県を隔てる"比良山系"と同等の標高!夏でも冷涼で、潤沢に水が湧き、緑が色濃い景観から、まさしく秘境の中の秘境へ来たと実感できることでしょう。
さぁここから近畿最高峰の「八経ヶ岳」を目指します。世界遺産「大峯奥駈道」に交わる「奥駈道出合」まで少し急登ですが、危険な区間はありません。一歩一歩確実に進みながら、大峰の情趣を満喫してください!標準タイムは片道3時間半です。
降水量は年間1,500〜2,500ミリに達し、日本でも有数の多雨地帯「大峰山地」では霧がよく発生します。霧が出ると視界不良になり、山ならではのパノラマが見られなくなるので、登山では通常、敬遠されがちですが、実はこの大峰は「霧が出ると趣が高まる」という変わった特徴を持っているのです。
登山道いっぱいに広がる根、手付かずで残るブナやトウヒの原生林、所々現れる笹原や苔の群生。それらが霧と合わさることで、どこか荘厳で神秘的な佇まいを見せます。
そして朽ち果てた木々も味があり、登山者を引き込むように続く緑。まさに日常と隔絶された世界観が作り上げられるのです。これこそが大峰登山の醍醐味!
故に、天候が優れなくても気落ちしないでくださいね。これこそが大峰のベストコンディションなのです。
「奥駈道出合」を過ぎれば、一つの関門を突破!その先は、少し上りが緩やかに変わります。まずは八経ヶ岳の前座になっている標高1895mの弥山(みせん)を目指します。「奥駈道出合」からおよそ2時間の行程です。
途中、やはり展望が開けるスポットはないですが、引き続き野趣あふれる樹林帯の道が続きます。近畿随一の山深さと言われる「大峰」を思う存分味わいましょう!
写真:土庄 雄平
地図を見るスタートから標準タイムで3時間、ようやく山小屋・弥山小屋が現れ、登山者の心をホッとさせてくれることでしょう。休憩している他の登山者と会えるのも、唯一このエリア。
日帰りが厳しい場合は、ここで宿泊することも可能!一泊二食付きで8000円で、布団も用意してくれ、山小屋の中もすごく綺麗なので、山小屋初心者でも安心でしょう。
写真:土庄 雄平
地図を見るそんな弥山小屋から最高峰「八経ヶ岳」は目と鼻の先です。緩やかな上りを30分進めば、近畿で唯一標高2000mに迫るその頂に辿り着くことができます。山頂からは大峰一帯の峰々の稜線を望むことができ、大スケールの自然が楽しめます。
また、そんな山頂のトレードマークと言えるのが「縞枯れ」!メカニズムは明らかになっていないですが、限られた高山帯でのみ見られる現象で、日本の中で大峰山地が代表格。霧と相まって、何とも言えない秘境感を醸し出してくれます。
写真:土庄 雄平
地図を見るまた八経ヶ岳の周辺になれば、登山口よりいっそう緑が濃く、登山者の心を惹きつけて止みません!繁茂する苔や草花、そこに滴り落ちる雫や、周囲を包む霧のマイナスイオン。一般受けしやすい山とはまた違ったコアな情趣があります。時間の許す限り、太古から根付く自然にどっぷり浸かってみてください!
町が発達し、標高の高い山が少ないことから"自然"という印象がやや薄い近畿の中で、そのイメージを覆す場所こそ「大峰山地」。このエリアで唯一、標高1000m後半の山が連なり、近畿の屋根・大和アルプスと言われるほど隔絶した大自然の世界が広がります。
アプローチは困難で、距離・標高差ともに決して楽とは言えませんが、それでも屋久島の太古の自然を思わせる神秘的かつ荘厳な登山道は、登山愛好家を魅了して止みません。ぜひ一度、登ってみてはいかがでしょうか?
住所:奈良県吉野郡天川村大字白川
電話番号:0747-52-1332
アクセス:天川村から弥山登山口まで車で30分、弥山登山口から弥山小屋まで徒歩3時間、弥山小屋から八経ヶ岳まで徒歩35分
注意事項
・天候が急に変わる場合があるため、レインウェアと滑りにくいソールの靴は必須。状況によっては引き返すことも検討下さい。
2019年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/19更新)
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