写真:風祭 哲哉
地図を見るJR札沼線は、札幌駅と空知地方の新十津川駅を結ぶ78.1キロの路線。
かつて札幌と留萌本線の石狩沼田駅を結んでいたことから「札沼」線と名付けられたこの路線は、大きく2つの顔を持っています。
札幌から北海道医療大学駅までの区間は「学園都市線」という愛称の通り大都市札幌への通勤通学路線として1日60往復近い電車が走っています。ここは廃止対象となっている区間と同じ路線とは思えないほど、多くの人たちが利用しています。
写真:風祭 哲哉
地図を見るところが北海道医療大学駅から先は、たった1両のディゼルカーが1日数往復する北海道の典型的なローカル線に一変します。特に浦臼(うらうす)駅から先、終点の新十津川駅まではなんと1日1往復しか列車が走らず、日本一運行本数の少ない区間。
この北海道医療大学と新十津川の区間が2020年5月6日に廃止される予定となっています。
提供元:Takashi
http://hitokuchibanushi-diary.net/札沼線の廃止予定区間は列車の本数が少ないため、途中で下車しながらの観光スケジュールを立てるのがなかなか困難。現在もすでにその名残を惜しむ旅行者が数多く訪れていますが、1日1往復の新十津川行き列車に往復乗車して終わってしまう方も多いのが現状です。
この区間は石狩平野に広がる穀倉地帯の西端を走り、沿線にはメジャーな観光地があまりないのも事実ですが、廃止前にせっかく訪れたなら、ぜひ途中で下車してのんびりしたいですよね。
写真:風祭 哲哉
地図を見る札沼線廃止区間をめぐるモデルコースは少し早起きして札幌から朝一番の列車でスタート。
札幌駅から終点の石狩当別駅まで行き、そこで浦臼行きに乗り換えます。次の北海道医療大学駅から先が2020年5月の廃止対象区間となり、石狩当別を出て約40分、豊ヶ岡駅で下車します。
豊ヶ岡駅は周りに民家のない秘境駅として知られる小駅。もちろん札沼線の区間廃止後はなくなってしまうため、訪れるのは今がラストチャンス。札沼線惜別のファンが多く乗る新十津川駅行きは約1時間後にこの豊ヶ岡駅に到着しますので、それまでの間、駅や周辺をゆっくり散策することができるのです。
写真:風祭 哲哉
地図を見る豊ヶ岡駅は空知地方月形町にある無人駅。石狩平野の西端、ピンネシリや暑寒別岳へと続く山岳地帯との境界にある原生林の中にあり、北海道の秘境駅のひとつとして知られています。
短い木造のプラットホームの横に未舗装の道があり、山小屋風の小さな駅舎がありますが、それ以外の建物は一切ありません。駅舎の中は鉄道ファンのための駅ノートや鉄道写真が飾られています。おそらく鉄道ファン以外の利用はほとんどないのでしょう。
駅舎の脇の砂利道を登っていくと開けた場所に出て、遠く農地の向こう側には民家も見えます。豊ヶ岡駅は秘境駅ではありますが、下界から隔絶された場所にあるわけではありません。
そんな豊ヶ岡駅ですが、その秘境感をたっぷり味わえる場所があります。駅の近くに札沼線を越える陸橋があり、そこからただただ緑一色の豊ヶ岡駅を見下ろすことができるのです。
新十津川行の列車が来る前に、上りの石狩当別行きがこの下を通りますので、ここで秘境駅を発着する1両のディーゼルカーを撮影することができます。その様子を動画でご覧いただきましょう。
動画:風祭 哲哉
地図を見る写真:風祭 哲哉
地図を見る豊ヶ岡駅から新十津川行きに乗り、浦臼駅を出るとその先は1日1往復しかない区間。終点の新十津川には9時28分に到着します。折り返しの上り列車は10時ちょうど出発の「日本一早い最終列車」。そのまま札沼線沿線の旅を続けるなら、この列車で戻らなくてはなりませんが、新十津川駅では30分ほどの時間があります。
写真:風祭 哲哉
地図を見る新十津川の駅舎の中にはラストランまでのカウントダウン掲示があり、ここを訪れる多くのファンのための駅ノートやスタンプが設置されています。
写真:風祭 哲哉
地図を見る新十津川駅舎内は新十津川町の観光案内所になっており、1日1本の列車が到着する時間帯の前後は窓口で新十津川駅グッズを販売しています。
「終着駅到達証明書」はJR札沼線終着駅である新十津川駅に到達したことを証明する発行番号入りのもの。窓口で記念に1人1枚無料でもらうことができます。
また、人気のご当地入場券は9月30日で発売終了となってしまいますが、JR札沼線のDVDや新十津川駅の切手シートなどが販売されています。
写真:風祭 哲哉
地図を見る新十津川の駅前には新十津川町の土産販売所「駅市」があります。
廃線までに大勢訪れる観光客らに町の魅力をPRする目的で建てられたプレハブの建物ですが、札沼線関連グッズのほか、新十津川町内産品なども販売しています。また、そのとなりには鉄道グッズ販売や軽食・喫茶のできるお店「寺子屋」もあります。
写真:風祭 哲哉
地図を見る今回は上りの日本一早い最終列車で札幌方面に戻るモデルコースをご案内しますが、新十津川駅でもっとゆっくり過ごしたい場合は新十津川駅から滝川駅までバスで出て函館本線で戻ることも可能。滝川駅までは5キロほどです。
写真:風祭 哲哉
地図を見る札幌に戻る前に札沼線のもう一つの見どころをご案内しましょう。
石狩太美駅は今回の廃止区間ではありませんが、駅舎が北欧風でユニーク。それもそのはず、ここは「スウェーデンヒルズ」と呼ばれる街の最寄り駅。ここからスウェーデンヒルズまではコミュニティバスで6分です。
写真:風祭 哲哉
地図を見る当別町のスウェーデンヒルズは小高い丘の上に北欧型建築の家が立ち並ぶ美しい住宅街。この当別の丘がスウェーデンの景色にそっくりだったことから、ここにスウェーデン風の町並みが開発されたのです。森に囲まれた住宅街の景観は建築協定で統一され、街角にはエゾリスやキタキツネも顔を出す自然豊かな空間となっています。
写真:風祭 哲哉
地図を見るスウェーデンヒルズが開発されたことで、当別町はスウェーデンのレクサンド市と姉妹都市提携を行い、かつてここにはスウェーデン国王も来訪しています。
スウェーデンの伝統工芸品、ダーラヘストとよばれる木彫りの馬の向こうに遠く札幌市街を見下ろす丘の上にあるのがレクサンド記念公園。姉妹都市提携20周年を記念して整備された展望公園で散策にはとても気持ちのよい場所です。
また交流の拠点である「スウェーデン交流センター」ではガラス工芸品や木工芸品の展示販売や、ガラス製作が体験できます。毎年6月には夏至祭と呼ばれるスウェーデンの伝統行事で賑わい、気軽に北欧を楽しむことができます。
1日1往復しかない新十津川行きの列車は、札沼線区間廃止を惜しむファンですでに休日を中心にかなり混雑しています。
残りわずかなラストランを、そして貴重な新十津川駅や豊ヶ岡駅での体験をぜひお楽しみください。
2019年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2023/11/29更新)
- 広告 -