ウズベキスタンで一番有名でポピュラーな色ブルー。「青の都」サマルカンドのブルーとは、どんなブルーなのでしょうか。
モスクやメドレサ(神学校)にはドームがあり、すべてブルーです。ですが、このドームには二つのタイプがあり、そのブルーの色合いが違うのです。
レギスタンス広場のティラカリ・メドレサを見てみましょう。圧倒的な存在感で太陽光線を跳ね返す、艶やかな青のドームがあります。雲一つない青空がかすむほどのコクのある青。磨き上げたトルコ石のように、網膜に焼き付く印象の強い青。これがサマルカンドブルーなのでしょうか。
その強烈さを和らげるように、ドームの下部や門には、濃淡の異なる何種類ものブルーのタイルで、イスラム特有の幾何学模様が描かれています。
<レギスタン広場の基本情報>
住所:Registon ko’chasi, Samarqand
メドレサの入場時間:8時〜19時
広場右手のシェルドル・メドレセでは、ブルーの重なり合いは壁や尖塔だけでなく、ドームにまで及んでいます。こちらは紺碧の空と張り合おうとする青ではなく、強い陽射しを柔らかに受け止めるブルーです。数種類の青をモザイク模様で重ね、かつドームに放射状の丸みを帯びた筋を刻み込むことによっても、複雑でやさしい青を作ることに成功しています。
これがサマルカンドで目にする二つ目のブルーのドームです。次第に、このニュアンスのあるブルーのハーモニーの全体が、サマルカンド・ブルーなのかもしれない、と思えてきます。
ブルーのハーモニーに圧倒されるのが、シャヒーズィンダ廟群です。ティムールの妻や親族の廟が参道の両側に並ぶだけでなく、奥には預言者ムハンマドの従兄弟であるクサム・イブン・アッバースの廟があります。クサム廟に3回巡礼すればメッカに巡礼したのと同じ、とされるほどイスラムの人たちにとっては重要な聖地であり、ティムール時代を代表する建築群でもあります。
<シャーヒ・ズィンダ廟群の基本情報>
住所:M-37, Samarkand
入場時間:9時〜19時
シャヒーズィンダ廟ではドームとは違って、幾何学模様だけではないイスラム装飾を間近に観察できます。見るとアラビア文字を白やオレンジの躍動感にあふれる線で描き出したタイル絵や、デフォルメしたお花を鮮やかな赤や緑で描いた壁画があります。ここでは青は文字を浮き立たせる背景となり、あるいはお花畑のアクセントカラーとなっています。
ウズベキスタンのイスラム建築では、王宮や邸宅の装飾も見ごたえがあります。世界遺産の古都ヒヴァのクフナ・アルクを訪ねてみましょう。17世紀に建てられた王の居城で、古い城という意味です。
クフナ・アルクではファサードのブルータイルの壁面と、高い天井を支える彫刻が施された柱が見事です。タイルも彫刻も模様がとても繊細です。その壁のブルーと柱の木肌の素朴な色合いからは想像できないほどカラフルな色が、頭上にあります。見上げてみましょう。
木製の格天井に、赤、緑、黄、青、白と、鮮やかな色彩で幾何学模様が描かれています。一枚一枚の模様は異なり、四角の天井板を囲んで押さえる格子の三面も、全てカラフルな模様で埋め尽くされています。絵が描かれた格天井は日本にもありますし、日光東照宮に代表される、色彩と模様で空間を偏執狂的に飾り立てる建築様式にも、通じるものもがあります。シルクロードの西と東に遠く隔たりながら、やはりつながっている。そんな発見に感慨深いものがあります。
<クフナ・アルクの基本情報>
入場時間:9時〜18時
厳格なイスラムの国では、女性は全身を黒のチャドルやブルカで覆います。ところが、やはりイスラムの国であるにもかかわらず、ウズベキスタンで黒一色という女性を見かけることはほとんどありません。むしろ女性がまとっている色彩は、どの国よりも鮮やかなのです。
タシュケントの市場のワンシーン。中央左手の女性に引き付けられました。髪の毛を覆っていることからも、教えに忠実なイスラム教徒だとうかがえます。でも、その全身がショッキングピンク! 売り手の女性はワインレッドに黒のパンツ、その向こうの女性は臙脂色に黄色のひまわり模様に黄色のパンツです。人の気質が色に出るとすれば、ウズベキスタンの人々のメンタリティーは底抜けに明るいのかもしれません。
綿や絹の織物や刺繍製品はウズベキスタンの特産品で、専門店を覗けば店内はまさに色の洪水。街角のちょっとしたスペースで売っている屋台も、例外ではありません。レンガの壁を背景にぶら下げられたお土産バッグやスカーフの中にも、目を引くパンチのある色があります。 とにかく街中にあふれる色が元気なのです。スカーフも色の合わせ方が絶妙で、多色使いでもバランスが良くてセンスが良い。色彩感覚に優れた人たちなのだとわかります。
スカーフやスザニ(刺繍が施された装飾用の布地)の他にもうひとつ、カラフルな特産品があります。陶器です。建築資材として色鮮やかなタイルを焼き上げるウズベキスタンでは、陶器も実にカラフルです。お土産にも最適ですが、手書きで描かれた色の見事さに、自分用にも欲しくなってしまいます。
ウズベキスタンは中央アジアの要衝という地にあり、豊富な食材が集まってきます。また、ウズベク系、ロシア系、朝鮮系の人たちが暮す多民族国家なので、様々な食文化が混在しています。
どの国でも市場を歩くのは楽しいものですが、ウズベキスタンはまた格別です。多種多様な食材がきれいに山のように積み上げられているその中を、これまた多種多様な人たちが美味しいものを求めて歩き回っている。そんな人たちの間にいると、平和と豊かさに、幸せな気持ちになります。
代表的なのはタシュケントのチョルスー・バザール(チョルスーはペルシャ語で交差点の意味)ですが、サマルカンドで時間が取れる方には、ショブ・バザールがおすすめです。ビビハニム・モスクの近くという好立地で、広さもチョルスー・バザールほどで広くはないので、買いものがしやすいのです。
お土産にはドライフルーツ(干しブドウが絶品!)や詰め合わせのナッツが一番人気。また、他の国では見たことのない「アヴォット」も喜ばれると思います。透明な淡いあめ色で、きらきらと光を受けて輝く美しい結晶体。まるで水晶のようですが、実はお砂糖です。紅茶に入れるととても優しい上品な甘みが広がります。
目を奪われるのは、ここでも色彩豊かな野菜や果物。葉をつけたブドウやいちじく、濃い緑の葉野菜に真っ赤な唐辛子。いったいどんな味なのか、買って帰れないのが悔しいトマトのキムチ(詰め物をした漬物?)…。
生絞りのジュースがあったら、ぜひ試してみてください。その場所でしか味わえない季節の味が、ぎゅっと凝縮されています。写真の濃いワイン色の液体は桑の実を絞ったもの。濃厚なのにとても飲みやすい、甘みと酸味のバランスの良いジュースです(グラスの大きさによって値段が異なります)。
<ショブ・バザールの基本情報>
住所:Bibikhonim Str., Samarqand
入場時間:5時〜19時、月曜定休
旅とは、珍しい名所旧跡を訪ね歩くだけのものではありません。その土地固有の歴史や文化に触れ、その土地の食べ物を食べ、人々の暮す姿に触れること。その土地の色や空気を、その土地の丸ごとを体感すること。旅をそんなふうに定義すれば、あらためてウズベキスタンの魅力が浮かび上がります。
イスラムの教えでは、旅人をもてなすことは良き行いだと説かれています。そのためか、イスラム圏ではどこでも暖かいホスピタリティーを感じることが多いのですが、ウズベキスタンほど(路上でも)皆がウェルカムと手を振り、にこやかに、くったくなく笑いかけてくる国はそうはありません。
親日的でオープンマインドな国ウズベキスタン、美味しくてカラフルなウズベキスタン、旅の醍醐味がぎっしりと詰まったウズベキスタンに、ぜひお出かけください。
2019年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/10/6更新)
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