ソウルから北へ!38度線の今を旅しよう〜韓国・京義線乗り撮り歩き

ソウルから北へ!38度線の今を旅しよう〜韓国・京義線乗り撮り歩き

更新日:2019/10/03 14:46

もんTのプロフィール写真 もんT チューター、フリーライター
韓国と北朝鮮との間に横たわる軍事境界線。国境地帯への立ち入りは厳しく制限されていますが、近年の緊張緩和と共に、観光での立ち入りが少し緩やかに…。南北間を結ぶ鉄道・京義線も復活。国境近くの都羅山駅へは、週に5日ほど、観光列車「DMZトレイン」が運行され、朝鮮戦争の戦跡や、北朝鮮を望む展望台などを、ツアーで観光できるようになりました。DMZトレインに乗って、38度線の今を旅してみましょう。

運行は水〜日の不定期…DMZトレインを予約しよう

運行は水〜日の不定期…DMZトレインを予約しよう

写真:もんT

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北緯38度線の軍事境界線付近は今でも、自由に行き来ができないエリア…。それでも、南北の緊張状態が緩んできたのを背景に、近年は軍事境界線近くを巡るいろいろなツアーが企画されるようになりました。その中でも注目したいのが、「DMZトレイン」。「DMZ」とはDemilitarized zoneの略で、「非武装地帯」の意味。まさに、朝鮮戦争の休戦協定による非武装地帯へと入っていく列車です。現地では「平和列車」とも呼ばれています。

DMZトレインは、水曜日から日曜日の中での不定期運行。ソウル中心部の龍山(ヨンサン)駅を10時過ぎに出発し、京義線を北上…。非武装地帯にある都羅山駅までの59.3kmを、1時間半ほどかけて走ります。都羅山駅からは16時半ころ発ち、ソウルに帰還。1日1往復の運転です。列車は全席指定で、事前の予約が必要です。そして、現地では必ず入境チェックがあり、外国人はパスポートの提示が求められます。また、都羅山駅到着後は、バスによるツアーに参加しなければなりません。

DMZトレインの運転日は、KORAILのウェブページで確認できます。ページ上で列車の予約と乗車券の購入も、乗車日の1か月前から可能です。空席があれば、当日に駅でも切符を買えるんですが、土・休日は早くに満席になってしまうことも…。他の列車と違って、DMZトレインには、「立席」のチケットの販売はありません。日本出国前に、早めに予約しておくのが良いでしょう。

DMZトレインで非武装地帯へ

DMZトレインで非武装地帯へ

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DMZトレインへは、龍山(ヨンサン)駅あるいはソウル駅から乗り込みます。ソウル市内の他の駅はすべて通過して、京義線を北上します。車窓には、高層アパートやマンションの風景が展開…。ソウル中心部から50kmほどの汶山(ムンサン)駅までは、都市化や宅地開発が進んでいて、広域電車も頻繁に行き交う区間です。前にも後ろにも電車が詰まっているので、列車はのんびりと走ります。この間に、検札と現地でのツアーバスのチケット販売が、車内で行われます。

DMZトレインで非武装地帯へ

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汶山駅を過ぎると、いよいよ非武装地帯(DMZ)へ…。汶山から都羅山までの約10kmは、このDMZトレインしか乗り入れない、特別な区間です。朝鮮戦争の戦跡を見るなら、進行方向右側がおススメ。臨津江(イムジン川)を渡るところでは、戦争で破壊された鉄橋跡が見られます。臨津江を渡ると、臨津江駅で小停車。乗客はいったん列車から降りて、ここでパスポートと所持品のチェックを受けます。駅前の散策などはできません…。入境審査終了後、列車はすぐに出発し、ここから5分ほどの終点・都羅山に向かいます。

ツアーバスで非武装地帯を巡る…北朝鮮・開城の町を眺望

ツアーバスで非武装地帯を巡る…北朝鮮・開城の町を眺望

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都羅山駅からは観光バスで周辺のいくつかのスポットを巡ります。お昼前に、都羅山平和公園をまわり、統一村にてランチタイム…。そして、午後の初めに、都羅展望台に向かいます。ここが、このツアーのハイライト。以前の展望台よりも高い場所に、2018年に新たに築かれました。急坂をがんばって登っていきましょう!

ツアーバスで非武装地帯を巡る…北朝鮮・開城の町を眺望

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展望台の山の麓は、有刺鉄線が走る軍事境界線…。そして一帯は、休戦以来、手付かずの自然が残っています。

ツアーバスで非武装地帯を巡る…北朝鮮・開城の町を眺望

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屋上の展望台からは、およそ17kmかなたの北朝鮮・開城(ケソン)まで見渡すことができます。双眼鏡もずらりと並んでいるので、開城の町もアップでとらえることができます。以前の展望台では写真撮影が規制されていましたが、この新しい展望台では、現在、撮影の制限は特にありません。北朝鮮側だけでなく、韓国側の眺望も開けているので、ほぼ360度のパノラマが楽しめます。

南北分断の歴史に触れる…地下トンネルで境界線に迫る

南北分断の歴史に触れる…地下トンネルで境界線に迫る

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都羅山展望台の次に訪れるのが、「第3トンネル」。北朝鮮は休戦後も、ひそかに南侵用の地下トンネルをいくつも建設しました。そのうちの3番目に見つかったものが、ここにあります。トンネル内へは、カメラや荷物をすべてロッカーにあずけて、ヘルメット着用で入っていきます。地下トンネルまでの通路は急勾配、そして地下トンネルは岩石むきだしの坑道です。行きも帰りもくれぐれも気をつけて…。地下トンネルは、北朝鮮へと続いているのですが、行けるのは国境線の170m手前まで。往復で30分を見込んでおくと良いでしょう。

南北分断の歴史に触れる…地下トンネルで境界線に迫る

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第3トンネルの地上には、DMZ映像館・資料館があり、朝鮮戦争とその後の分断の歴史が、展示物やパネルで詳しく紹介されています。ほぼすべての展示物において、日本語の説明もあり。南北を結ぶ鉄道・京義線についても、詳しい展示があります。

最後に都羅山駅をじっくり見ていこう

最後に都羅山駅をじっくり見ていこう

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こうして見学スポットを巡り、都羅山駅には16時前に戻ってきます。帰りのDMZトレインの出発まで約30分…。最後に駅構内をじっくり見学していきましょう。広々とした構内は、将来、京義線での南北の往来が実現したときに備えた設計。出入国審査のためのスペースも確保されています。

最後に都羅山駅をじっくり見ていこう

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改札に掲げられている乗り場案内には「平壌方面」という文字も…。平壌までは、ここから205km。高速鉄道を延伸すれば、1時間もかからない距離なんですね…。駅の記念入場券は、ツアー参加者は無料でもらえます。

最後に都羅山駅をじっくり見ていこう

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ホーム先端からは平壌方面を望めます。レールはすでにつながっています。いつの日か、この線路の先を見に行きたいですね。半島情勢は、時に緊迫することもあります。最新のニュースや情報に留意して、朝鮮半島・北緯38度線の今を見てきてください。

DMZトレインの基本情報

運行区間:龍山・ソウル〜都羅山
運転日:毎週水曜日〜日曜日の週5日(ただし祝日など運休日あり)
運賃:大人往復W17800(さらにツアーバス代W18000が必要)

※予約は乗車日の1か月前から。最新の運転日・時刻をKORAILのウェブページで確認してから、計画を立て、出かけましょう。

2019年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。


掲載内容は執筆時点のものです。 2019/08/07 訪問

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