写真:潮 佳澄
地図を見る「宮沢賢治記念館」は、新幹線新花巻駅から2km、胡四王山の中腹に位置します。車でアクセスもできますが、記念館へと続く階段を上って行くとある仕かけが…言葉の世界へ誘われるように『雨ニモマケズ』の一文字を階段で一段づつ辿りながら記念館へと向かえます。
宮沢賢治(1896年〜1933年)は現在の花巻市に生まれ、詩人、童話作家としてだけでなく、教師、科学者、宗教家など多彩な顔を持ち、故郷での農業指導にも努めていました。今では多くの作品が読まれていますが、37歳の若さでこの世を去るまでに出版されたのはわずか2冊。記念館ではさまざまな資料と作品から、宮沢賢治の世界に親しめるようになっています。
写真:潮 佳澄
地図を見る記念館は常設展示室、特別展示室、映像や音楽を通して作品にふれる“賢治サロン”、絵本や紙芝居なども読める喫茶コーナー、展望ラウンジからなります。
入口では『猫の事務所』に出てくる書記の猫がお出迎え。ちょっと意地悪そう…?と思った人は、作品を読んでみると謎が解けるかもしれませんよ。
常設展示は科学、芸術、宇宙、宗教、農の5つの部門に分かれた展示と賢治の生きた時代や地域・人間関係を紹介する“賢治のフィールド”で構成されています。フロア中央のスクリーンでは、イメージ像に触れることで各分野へのきっかけとなる映像が見れ、展示へと繋がっていくようになっています。
展示について「童話や詩に限らず、地学や宇宙、絵画、音楽など、作品への入り口が広い作家なので、記念館も広い意味で楽しんでもらえたら」と学芸員の宮澤明裕さん。5つの部門に分かれる展示は、本好きに限らず、興味をそそられる展示が多くあります。
写真:潮 佳澄
地図を見る常設展示室に入ってすぐ目に飛び込んでくるのが「イーハトーブ ドリームランドとしての岩手県」と書かれたガラスの地図。宮沢賢治の作品に関連した岩手県の地名が示されていて、作品と土地の繋がりが一目でわかります。
右側にある“賢治のフィールド”の展示では、生涯と当時起こった大きな出来事が紹介され、地域・家族・知人との関係もわかるようになっています。
写真:潮 佳澄
地図を見る“科学”の展示で目を引くのが色とりどりの鉱石。幼年時代には“石ッコ賢さん”とあだ名されたほど、岩石の収集・研究に熱意を注いでいた宮沢賢治。作品の中にも多く登場し、展示では鉱石が出てくる童話・詩が実物とあわせて紹介されています。
多くの作品の中でも思わず本を片手に見たくなるのが『十力の金剛石』。金剛石(ダイヤモンド)、トパーズ、ルビー、蛋白石(オパール)など鮮やかな草花が宝石として描かれています。
写真:潮 佳澄
地図を見る芸術の部門では童話『セロ弾きのゴーシュ』が思い起こされる生前に愛用したセロ(チェロ)。よく見ると内側に“1926.K.M”(購入した年とイニシャル)のサインを見ることができます。
壁面の展示パネルの自筆原稿や資料と繋がる展示物を見ると「どんな物語だったかな?」と改めて読みなおしたくなると同時に、音楽・絵画でも宮沢賢治の表現の世界にふれられることに気づかされます。
写真:潮 佳澄
地図を見る“農”の展示では、大正10年、26歳の頃から花巻で農学校教師となり、退職後に農業指導に努めた活動を知ることができます。宮沢賢治は、花巻農学校教諭として勤めていた大正13年に心象スケッチ『春と修羅』童話集『注文の多い料理店』を刊行しました。『注文の多い料理店』の新刊案内には、著者自身の言葉でこう記されています。
“イーハトヴは一つの地名である。しいて、その地点を求むるならば、それは、大小クラウスたちの耕していた、野原や、少女アリスがたどった鏡の国と同じ世界の中、テパーンタール砂漠のはるかな北東、イヴン王国の遠い東と考えられる。
じつにこれは著者の心象中に、このような状景をもって実在したドリームランドとしての日本岩手県である。”(『注文の多い料理店』新刊案内より抜粋)
岩手県花巻で生き、多彩な作品を残した宮沢賢治。その生涯とさまざまな作品に目を向けると、岩手のあちらこちらの風景に幻想的なイーハトーブの世界の欠片を見つけられるかもしれません。
写真:潮 佳澄
地図を見る宮沢賢治は童話約100篇、詩約700編、短歌約900首の他にも歌曲、花壇設計など、多くの作品を生みだしましたが、現存する初版本や原稿などを目にすることができない作家でもあります。"特別展示室"では、年3回入れ替えが行われ、修復を終えた貴重な資料とともに作品を知ることができます。
さまざまな表現で描かれた幻想的なイーハトーブ(岩手)の世界にふれられる「宮沢賢治記念館」。近くには賢治ファンだからこそ訪れたい「宮沢賢治イーハトーブ館」や賢治設計の花壇「ポランの広場」もあり、物語の中に入っていくような世界が広がっています。岩手県・花巻で幻想的な賢治の世界を歩く旅を楽しんで。
■特別展 童話「貝の火」
2019年11月2日(土)〜2020年5月10日(日)
※直筆原稿の公開予定は公式HPで最新の情報を確認してください。
住所:岩手県花巻市矢沢第1地割1番地36
電話番号:0198-31-2319
アクセス:
花巻空港ICより車で10分より車で20分
新幹線花巻駅より2km 車で3分。東北本線花巻駅より8km 車で15分
新花巻駅から路線バス 宮沢賢治記念館口下車後、急な上り坂または階段(約367段)を徒歩約15分
休館日:年末年始のみ
駐車場:無料(大型バス7台 普通車40台)
入館料:
大人350円、高校・学生250円、小中学生150円
宮沢賢治童話村、花巻市博物館、花巻新渡戸記念館との共通入館券もあります。
※ページ下部[関連MEMO]「花巻・胡四王山で賢治の世界を旅する!ファン必見のルート」では、関連施設・観光ルートを紹介しています。
2019年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
- PR -
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/10/10更新)
- 広告 -