写真:ぐれい クミコ
地図を見るこの博物館は、コカ・コーラ社の元会長兼CEOであるネヴィル・イズデル氏がアイルランドの出身で祖国への感謝と敬愛の思いから、いかに多くのアイルランド人が世界に移住し、アイリッシュ系と呼ばれる人々が世界中で活躍しているか、その歴史と発展を展示するために作られたものです。イズデル氏の個人資産を投じ最新技術を用いて完成しました。
場所はダブリンドックランズと呼ばれるエリア。ダブリン湾に流れ入るリフィー川沿いの国際金融サービスセンター(IFSC)のビジネス街で、600を超える新しい企業が参入している人気地区です。この博物館は1820年に建てられた倉庫を保全し改築されたもので外観は古いレンガ造りですが、中はフルリノベーションしおしゃれカフェなどもありとても近代的です。
写真:ぐれい クミコ
地図を見るロンドンに拠点を置く、博物館専門のコンサルタント会社が全面的に設計し開発した内容は“世界初の完全デジタルミュージアム”。
発表当初は実物を展示する“物”がなく、デジタルだけの博物館にお金を出して何を見に行くのか、という否定的な声もありましたが、2016年にオープン以降、数々の旅行口コミサイトなどで驚異的な評判を呼び、2018年にヨーロッパの博物館賞、2019年にはヨーロッパを代表する観光名所の「世界旅行賞」を受賞し、みごと新時代型の人気博物館となりました!
写真:ぐれい クミコ
地図を見る館内は20のテーマに分けてデザインされた部屋を進んでいきます。まずはこの国からの移民とその理由について。
アイルランドの歴史は宗教的弾圧、イングランド支配、ジャガイモ飢饉など厳しさの連続でした。仕事のため、自由のため、貧困のため、西暦500年以降アイルランドを去った1000万人と言われている人々の理由が、大きな船や小さな船、飛行機のディスプレイと共に紹介されています。
この博物館が高く評価されている点は、単に年号と起こった出来事をまとめた歴史博物館ではなく、100年前の実際の移民者の音声を最新技術でリマスターし、それを聞いたりビデオや手紙を見たり体験ができることです。歴史をよりリアルに体感でき、まるで祖国を離れなければならない状況に立ち会っているような胸を打つものがあります。
写真:ぐれい クミコ
地図を見る部屋を進んでいくと、テーマはアイルランドを去った人々がいかに世界に影響を与えていったか、その影響力についてまとめられています。アメリカだけを取り上げてみても、自分はアイルランド系アメリカ人だと認識している人たちが現在約4400万人いると言われています。日本でも有名な人を挙げると、元アメリカ大統領のジョン・F・ケネディ、ロナルド・レーガン、ビル・クリントン、バラク・オバマなど。
全世界中には約7000万の人たちがアイルランドを祖国と思っており、その数は本国アイルランドの人口が約480万人なので約15倍の子孫たちが活躍していることになります。
写真:ぐれい クミコ
地図を見る歴史を学ぶには少し難しい年齢の子どもたちには、楽しい参加型のディスプレイがいくつもあります。こちらの写真は液晶の画面の上に動く丸いダイアルがあり、回すとどんなスポーツでどんな選手がどんな活躍をしたかが瞬時に表示されるパネルになっています。
写真:ぐれい クミコ
地図を見るこちらは発明と発見をイメージしたディスプレイです。
日本ではあまり有名ではありませんが、“空が青い理由”を最初に解明したのはアイルランド出身の物理学者ジョン・ティンダル氏です。
写真:ぐれい クミコ
地図を見るこちらの写真は仕掛けのある特定の本を引き出すとささやきが聞こえる、まるで魔法の図書室の横のトンネルです。
アイルランドは文学も有名で、日本で認知度が高いもので言うと「ガリバー旅行記」など。子どもの頃に読んだ記憶がある方も多いと思いますが、実は大人向けの4部構成の長編風刺小説で、3部にジブリアニメ「天空の城ラピュタ」に影響を与えた「空飛ぶ島ラピュタ」が書かれています。
写真:ぐれい クミコ
地図を見る館内の最後の方のエリアは今、現在の各国でお祝いされているアイルランド文化のセントパトリックデーなどの映像や写真が紹介されています。
写真:ぐれい クミコ
地図を見るアイリッシュカラーの緑に染まった日本の松江城も紹介されています。松江市は父親がアイルランド人のラフカディオ・ハーンこと小泉八雲が住んだ街としてアイルランドと特に交流の深い都市です。
住所:The Chq Building, Custom House Quay, North Dock, Dublin 1,
電話番号:+353-1-906-0861
アクセス:
・市内中心部から徒歩10分
・ダート コノリー/タラ駅から5分
・ルアス(路面電車)レッドline ジョルジュドック駅から1分
・ヒルトンガーデンインホテルの隣
2019年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
ぐれい クミコ
京都生まれ京都育ち。東京在住。京都を離れてみてやっぱり京都っていいなと思ったり、海外(アイルランド)に住んでみて日本の良いところを改めて知ったりしました。通訳案内士で訪日外国人に日本をガイドする仕事を…
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