カナダのユニークな博物館「バータ靴博物館」で靴とアートに触れよう

カナダのユニークな博物館「バータ靴博物館」で靴とアートに触れよう

更新日:2019/10/27 16:00

「バータ靴博物館」は、1995年にカナダのトロントにオープンした、世界中のあらゆる靴をコレクションした世界最大のユニークな博物館。3階建ての建物の約3600平方mの敷地内に、Bata氏が1940年代から世界中を旅行して収集した様々な靴のコレクションや、それに関連するグッズが数多く展示されています。シューズのバラエティだけでなく、洗練された建物内部の設計は多くの人々を魅了しています。

宗教や時代、地域ごとに異なる世界のシューズ

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13000点以上の靴を保存している「バータ靴博物館」。建物の地下部分と1階部分の「All About Shoes」、2階部分の「The Gold Standard」と「Art and Innovation」、3階部分の「WANT」というギャラリーから構成されています。チケットは一種類で、すべてのギャラリーに入ることが可能です。

地下部分の「All About Shoes」では、時代や国・地域、宗教、建築様式など様々なカテゴリーによって分類された靴が展示されています。古い時代のもので古代エジプトや古代ギリシアなど、なんと4500年の時を超える靴の展示があります。

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順路を辿っていくと古代の靴のあとにアフリカ地域で使用されていたゴールドの華美な靴の展示が現れ、やがてヨーロッパの建築様式に差し掛かります。

写真は「バロック・ロココ調」の靴で、16世紀の終わりから17世紀にかけてヨーロッパで用いられていたもの。「ハイヒール」が富やステータスを表すファッショナブルなものとして女性や子供たちが履いていました。社交界でも用いられ、当時のルイ14世もヒールを履いている姿が描かれている絵が残されています。

現代ではハイヒールは主に一般女性が履くものとされていますが、それが権威を象徴でもあったこと、そして社交界の男性も利用していたことに驚くことでしょう。

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こちらは「イスラム」の世界で用いられる靴。モスクで巡礼することも多い中東の人々は、脱ぎ着しやすいよう、靴の後ろ側がないスリッパのようなデザインの靴を履いています。

他にも、神道のセクションの宮司の靴や江戸時代に用いられていた下駄などが展示されていたりと、日本にゆかりのあるものも発見することができます。

コレクションの数に目を奪われるだけでなく、説明を読むことでその特徴や使われている背景がわかります。日本にゆかりがあるものを探してみるのも面白いでしょう。

豪華な装飾!目を奪われるゴールドのシューズ

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地下部分で注目すべきは、アフリカのセクションに展示されているゴールドのシューズ。

西アフリカの諸国では、靴は伝統的に支配者の礼服の重要な一部として重要視されていたそう。履きつぶした際に備えて代替の靴を運ぶ家来がたくさんおり、その存在も重宝されていました。

豪華な装飾!目を奪われるゴールドのシューズ
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まだまだ豪華な金の靴が見たい!という方には、2階の「The Gold Standard」がおすすめ。世界各国から目を奪われるような輝かしいゴールドの靴が収集されています。

上記写真は中国のシンデレラのような逸話に登場する「Ye xian」という女性が履いたとされる靴。中国でおめでたいとされている赤と金のカラーが目立ちます。

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上の写真のように、日本で用いられていたものも。

金を権威あるものとして、またファッショナブルなものとして見ていたのという共通認識はワールドワイドでありながらも、刺しゅうを施したり塗ったりと世界各国で異なる取り入れられ方をしているのが興味深いですね。

寒冷地域のシューズと不況の時代に進化を遂げたデザイン

寒冷地域のシューズと不況の時代に進化を遂げたデザイン
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2階の「Art and Innovation」では、アラスカやシベリアなどの北極で暮らす人々の靴が展示されています。

写真はグリーンランドのものですが、赤や黄色と色とりどりでレースなどの装飾もされ、機能性に加えてデザインも重視されていることがわかります。また、アラスカでは外部にも毛皮を多く用いたりシベリアでは茶色を基調とした柄が目立っていたりと、寒い環境は同じでも違う特徴がよく表れています。

寒冷地域のシューズと不況の時代に進化を遂げたデザイン
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3階の「WANT」というギャラリーでは、「Desire(欲望), Design(デザイン), Depression Era Footware(不況の時代)」というコンセプトがテーマ。

入り口付近に靴が一つ展示されていたり、奥には「Feet First」や「Footlight Parade」など、数々の戦前のバレリーナや靴をテーマとした映画が無音で上映されています。

寒冷地域のシューズと不況の時代に進化を遂げたデザイン
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世界が不況にあえいだ1930年、ファッションのトレンドをけん引したハリウッド。人々が現実からの逃避として映画に傾倒する中で、豪華な装飾の衣装や靴に身を包んだ役者を見て、もっとより良い時代へ人々の羨望が掻き立てられたことでしょう。

それが靴のデザインにも表れ、進化してきたと感じさせる展示になっています。

ビッグな靴やビックリな靴、そして靴以外にも…

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「バータ靴博物館」のなかには、「こんな靴誰が履くの?」という靴も展示されています。

上の写真は巨人サイズの靴の展示。右側のスマートフォンと比べると、その大きさは歴然です。普通の人の足の5倍はありそうです。

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一方こちらの靴は、竹馬のように底の部分が高い位置に来てしまっています。うまく歩くのが難しそうですね。

ビッグな靴やビックリな靴、そして靴以外にも…
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その他、靴をモチーフにしたガラスや、靴が描かれた陶器も展示されています。

箱をモチーフにした外観と考え抜いて設計された内装

箱をモチーフにした外観と考え抜いて設計された内装
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さて、もう一つ注目してほしいのが、ユニークな形が目立つ「バータ靴博物館」の外観です。建築士Raymond Moriyama氏が当博物館の設立者Bata氏の靴のコレクションにインスパイアされて設計し、今の形になりました。建物自体を大きな箱に見立て、屋根はその開いた箱に乗せているというデザインになっています。

箱をモチーフにした外観と考え抜いて設計された内装
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外観だけでなく、内装も必見です。ホールの中央に位置する建物地下部分から一階部分に続くギャラリー内部の階段は、洗練された印象を与えてくれます。階段部分の端には19世紀の産業革命以前に靴職人が使用していた靴製造のための道具も展示されています。

階段が、本来の目的とは異なる展示という役割も担っているデザイン設計に感動。

箱をモチーフにした外観と考え抜いて設計された内装
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更に、建物の周りはガラスのショーケースとなっており、色とりどりの靴でお花がかたどられているなど、アートを感じられます。

他にもドアの持ち手の部分に靴のマークが刻印されていたり、ギャラリーの外部の階段を上る際に横切る窓にはカラフルな靴の模様が浮かび上がったりと、遊び心満載のデザイン。訪れる際は靴を見るだけでなく、内部のデザインにも注目してみましょう!

バータ靴博物館の基本情報

住所:327 Bloor St W, Toronto ON M5S 1W7
電話番号:+1-416-979-7799
アクセス:地下鉄St.George駅から徒歩3分

2019年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2019/10/14 訪問

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