室蘭市にほど近い北黄金(きたこがね)地区にある「北黄金貝塚」は約7000年から4500年前の縄文時代の集落遺跡です。現在の海岸線より少し離れた丘の上にあり、発掘調査が行われた後に伊達市の史跡公園として整備されました。
縄文時代中頃の住居跡(写真)には当時の住居が復元されているほか、すぐ近くには祭祀場の跡があります。生活に欠かせない湧水が出る場所は神聖だったようで、「水場の祭祀場」と名付けられており、道具を供養した場所と考えられています。
ちなみに北黄金貝塚の地名「黄金」は地域で金が採れたわけではなく、アイヌ語のオコンシベ(昆布のとれる所)からの由来。目の前にある噴火湾は水産資源が豊富な海です。
北黄金貝塚には5カ所の貝塚があり、うち4カ所が公園内にあります。貝塚からは貝殻の他に、縄文人のお墓、海獣類の骨、鹿の角や骨で出来た道具が出土しています。貝塚はゴミ捨て場ではなく、全ての生き物の墓地と考えていた事が分かっています。
縄文時代前期は今よりも気候が暖かく、海岸は北黄金貝塚の丘そばに来ていました。4つの貝塚はホタテやハマグリなど、出土した種類の貝殻を使って復元(写真)されており、それぞれ時代性に沿って再現されています。
出土品の一部は、公園にある「北黄金貝塚情報センター」で展示中。展示物には発掘された土器(写真)や道具、発掘地層のはぎとり、水場で供養されたとされる石の道具などがあり、縄文時代の人々の生活や考え方を学ぶことが可能。
保存状態がよく、学術的価値の高い遺跡であることから、地元では北海道や北東北の他の縄文遺跡と共に世界文化遺産への推薦が決まりました。センターには黄金はありませんが、世界遺産候補という金の卵といえる出土品がお待ちしております。
<史跡北黄金貝塚公園の基本情報>
住所:北海道伊達市北黄金町75
電話番号:0142-24-2122
開館時間:9:00〜17:00
開館期間:4月1日〜11月30日(冬季休館、開館期間中は休館日なし)
アクセス:
JR伊達紋別駅から道南バス「フェリーターミナル」行き約20分、「北黄金貝塚公園前」バス停下車、徒歩5分
JR東室蘭駅前より車で約25分
伊達市中心部ににある「だて歴史文化ミュージアム(写真)」は2019年4月、それまでの伊達市開拓記念館をリニューアルする形でオープンした歴史文化博物館。1階はミュージアムの受付とグッズの売店、ライブラリースペース、講演会を行うスタジオとなっており、2階が有料の展示室となっています。
2階にある展示室は、縄文時代からアイヌ文化までの遺跡からの出土品を中心に展示するコーナーと、明治時代初期に亘理(わたり・宮城県)伊達家が入植した時に持ち込んだ武家文化と現代までの歴史を中心としたコーナーとなっています。
伊達家といえば仙台藩祖・伊達政宗が有名ですが、亘理伊達家は政宗のいとこ・伊達成実(しげざね)が2代当主だった家柄。戊辰戦争に敗れた当時の領主・邦成(くにしげ)ら総勢約2700人が移住して、現在の伊達市を開拓しました。
展示をじっくり見て判ることは、道外が農耕社会になった後も続縄文人は狩猟・漁ろう・採集の暮らしを続けており、自然の恵みに育まれた生活をしていたこと、また邦成がアイヌと共生をはかったため、アイヌとの大きな争いは起こらずに済んだ事です。伊達市の暮らし・歴史に思いをはせながら、見学しましょう。
だて歴史文化ミュージアムには体験学習館(旧黎明観)が付属しています。館内では藍染体験と刀剣制作の見学が可能。藍は四国出身の移住者によって道内各地で作付が行われ、伊達市でも栽培されました。
明治後半になると輸入藍などに押されて衰退しましたが、染料の製造手法は受け継がれてきました。また市内在住の刀匠・渡辺さんの刀剣制作が見学できる時も(要予約)。”伊達な”藍染を体験したい、刀剣制作に興味がある旅行者は予約してみてはいかがでしょうか。
<だて歴史文化ミュージアムの基本情報>
住所:北海道伊達市梅本町57番地1
電話番号:0142-25-1056
開館時間:9:00〜17:00(最終入館16:30)
休館日:毎週月曜日(休日の場合はその翌日、連休の場合は終了後の翌日)
だて歴史文化ミュージアムのすぐ近く、国道37号沿いにある伊達市中心部にある「だて歴史の杜」は、伊達市観光物産館が中核の道の駅です。館内中央部には広い物販スペースがあり、伊達市内で作られた新鮮な野菜を中心に、地域ならではの生産品が多く販売中。
観光物産館入口左側に軽食コーナーがあります。中でも店名が「伊達男」に由来する「ハンサム食堂」には男だけでなく女性も味わえるメニューがあります。ドライブ休憩に特におすすめは、写真の「カシスベリー」。ソフトクリームにビタミンEが豊富なカシス付きです。栄養補給に最適で、伊達産牛乳を原料に作られたソフトクリーム。観光物産館から先のドライブもきっと良いものにしてくれるでしょう。
ハンサム食堂のおすすめメニューとして、おやきの「伊達おとこハンサム焼き(写真)」も。中にはつぶあん、クリーム、季節限定の具が入っています。もちろん中の具は購入時選択出来ますが、季節限定品は訪問時期しか味わえない物が中心。伊達な味なのでぜひ味わって下さい。
<道の駅だて歴史の杜の基本情報>
住所:北海道伊達市松ヶ枝町34番地1
電話番号:0142-25-5567
開館時間:9:00〜18:00(スタンプ押印も同じ)
休館日:年末年始(12/31〜1/4)
だて歴史文化ミュージアムや観光物産館は「総合公園だて歴史の杜」の中にあります。歴史文化ミュージアムの前身・伊達市開拓記念館周辺を市民の憩いの場、災害時の避難・救援活動の拠点とするため1990年から整備され、1993年には建設省による皇太子殿下(当時)ご成婚記念事業として大手門(写真)が完成し、公園のシンボルとなりました。
伊達市には城はありませんでしたが、伊達家が移住し開拓した歴史を踏まえ、城の様に石垣や堀もある造りになっています。
総合公園だて歴史の杜の一部は旧伊達邸として以前亘理伊達家の邸宅と庭園があった場所です。旧庭園内に残る明治時代の建物として迎賓館(写真)があります。1892年伊達邦成の家臣が邦成が男爵になったお祝いとして建設。伊達市を訪れた明治政府の役人や開拓使をもてなすために利用されました。現在は伊達市の有形文化財に指定されています。
庭園内には伊達市内の農家から寄贈された開拓農家が移築されています。旧三戸部(みとべ)家住宅(写真)は仙台地方の建築様式が取り入れられた道内で現存する最古級の開拓農家。こちらは国の重要文化財に指定されています。
<迎賓館・旧三戸部家住宅の基本情報>
住所:北海道伊達市梅本町61番地2
電話番号:0142-25-1056(だて歴史文化ミュージアム)
北海道伊達市は世界遺産候補の縄文時代の遺跡に、武家文化が流入した明治以降の街づくりの跡が残る歴史的に価値が高い地域。また道の駅には地元産の農産品の販売や加工した軽食が楽しめます。室蘭や洞爺湖への旅の途中でも立ち寄り可能な、歴史のまち伊達市の名所に旅してみませんか。
2019年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2025/1/20更新)
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