ラゾーナ川崎から徒歩3分「富士見湯」で築70年の建築美を堪能

ラゾーナ川崎から徒歩3分「富士見湯」で築70年の建築美を堪能

更新日:2019/10/26 16:20

毎川 直也のプロフィール写真 毎川 直也 風呂デューサー
再開発が著しいJR川崎駅エリア。そのなかでも多くのかたに認知された施設といえば「ラゾーナ川崎」ではないでしょうか。そのラゾーナ川崎から徒歩3分の「富士見湯」は、変わっていく街で、70年間変わらない姿を保ち続けるレトロ銭湯です。360度すべてが懐かしい昭和の銭湯のいっぽうで現代に合わせた営業方法を実践し、街に存在し続ける富士見湯の見どころをたっぷりとお伝えいたします!

川崎のレトロ商店街に佇む煙突

川崎のレトロ商店街に佇む煙突

写真:毎川 直也

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ラゾーナ川崎は2006年、JR川崎駅西口に完成した大型商業施設です。施設内はファッションブランド店、飲食店、スーパーなど約300店舗が軒を連ね、曜日、年齢問わず賑わいます。また、土日祝日には中央にあるルーファ広場でイベントが開催されることも多く、買い物以外でも人が集まる場所となっています。

川崎のレトロ商店街に佇む煙突

写真:毎川 直也

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ラゾーナ川崎の駐車場側の出口を出て、コンビニの脇道を歩いていくと、小さな商店街「ニコニコ通り商店街」が見えてきます。川崎の超大型団地、河原町団地ができた頃は、歩けないほどの人が買い物に訪れていたのだそう。現在でも八百屋、肉屋のほか、何軒かの飲食店が営業しています。

川崎のレトロ商店街に佇む煙突

写真:毎川 直也

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商店街にはいって1〜2分歩き、右手を見上げると、白塗りに富士見湯と書かれた煙突が現れます。空の青さに映える白さ、そこにどこか威厳ある雰囲気に書き抜かれた富士見湯の文字…とにかく立派な煙突です。入浴の前に見て、気持ちを高めましょう。

70年という時間が放つ風格

70年という時間が放つ風格

写真:毎川 直也

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正面にまわるとこれぞ銭湯という立派な外観がお出迎え。千鳥破風のうえに入母屋破風、そして真っ白な漆喰の壁と、格式高い雰囲気を放っています。それもそのはず、この建物が建てられたのは70年も前のこと。その当時の姿をいまも保っているのです。現在は2代目と3代目が店を守ります。

70年という時間が放つ風格

写真:毎川 直也

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自動ドアが開くと、すぐ横には番台が。フロントタイプの銭湯が圧倒的に増えた現代、昔ながらの番台は姿を消しつつあります。建築当時と比べると少し背が高くなっていることを除いて、造りや素材は当時のままです。波打ったような彫刻が施されているのは、建築当時の流行りの意匠。70年前の人々の趣向を感じ取れる、貴重なものです。

70年という時間が放つ風格

写真:毎川 直也

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番台というと、着替えている姿が見えてしまうこともあり、抵抗がある方もいらっしゃると思います。写真は番台から見た女湯。富士見湯では女性の脱衣場には暖簾がかけられているため、番台からは見えません。番台スタイルという銭湯の文化を守りつつ、現代のニーズに合わせた営業方法といえます。

実は見どころだらけの脱衣場

実は見どころだらけの脱衣場

写真:毎川 直也

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脱衣場の佇まいはまさにレトロ銭湯。360度見回すと、歩いてすぐのところに大規模商業施設、ラゾーナ川崎があるとはまったく感じられません。つくりはもちろんのこと、掲示されているものも年代を感じさせるものばかり。風呂あがりに体を冷ましながら、ぜひ細かいところまで見回してみてください!

実は見どころだらけの脱衣場

写真:毎川 直也

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レトロ銭湯の脱衣場といえばこの格天井です。富士見湯は壁面との境が折り上げられる、格調高いつくりとなっています。そして光沢ある床。天井が床を、床が天井を反射している様子を見ると、本当に手をかけて日頃からメンテナンスがされていると実感できます。窓から光の入る日中に、この景色を眺めていただきたいです。

実は見どころだらけの脱衣場

写真:毎川 直也

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男湯の一画にはソファが並んだ休憩スペースがあります。風呂上がりに缶ビールを買い、どっぷりと腰を下ろして天井を眺めるのも素敵な時間です。ソファの後ろには自由に使えるコンセントがあり、無料で充電することもできます。奥様がラゾーナ川崎で買い物をしている合間にスマホをいじって電池を消耗してしまった…そんなお父さんにとってはありがたいサービスです。
(脱衣場のため充電のみ可能で、スマホの操作はできません)

背景画に遊び心

背景画に遊び心

写真:毎川 直也

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浴室は一面白。感動を覚えるほどの清潔感です。写真は男湯、大きな富士山が背景画に描かれ、麓の湖と湯船が一体になったような構図となっています。背景画を手掛けたのは銭湯絵師の中島盛夫さん。2年に1回程度のペースで描き替えています。

写真右手の方角は南で、かつ隣は駐車場のため、日中はたっぷりと自然光が入り、浴室の白さ、富士山の神々しさが一層際立ちます。

背景画に遊び心

写真:毎川 直也

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湯船は、深め、ジェットと電気、薬湯の3種類で、昔ながらのオーソドックスなつくり。温度は42度に設定されています。薬湯は日替わりでこの日はレモンの湯。埋め水カランの上に置かれた手桶は富士見湯の焼印が押されています。かけ湯の際はぜひ利用してください。

背景画に遊び心

写真:毎川 直也

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大きな富士山の男湯に対して、女湯の背景画にはちょっとした特徴が。背景画の右隅には海と境がないように見える、インフィニティ露天風呂に入る2人。富士見湯からリクエストしたわけではなく、ペンキ絵師の遊び心なのだそう。銭湯とペンキ絵師、長い付き合いから生まれた信頼関係の結果を見ることができます。心もほっこりしませんか?

これはおさえたい!富士見湯のレトロポイント

これはおさえたい!富士見湯のレトロポイント

写真:毎川 直也

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かつて銭湯では、子連れのお客さんに対して女性従業員が子供の面倒を見て、その間に親御さんがゆっくりとお風呂に入る、そんな光景が当たり前のように見られました。富士見湯では現在もその文化を受け継ぎ、女性従業員の手が空いていれば、子供の面倒を見てくれます。また、女湯側にはベビーベッド 、両浴室にはお風呂で自由に使える子供用のおもちゃが用意されています。

これはおさえたい!富士見湯のレトロポイント

写真:毎川 直也

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女湯では最新のマッサージチェア、按摩機、おかまドライヤーの揃い踏みを見ることができます。この三世代並んだ光景は、現在ではまず見られません。しかもどれも現役で活躍しています。特に按摩機、おかまドライヤーは部品を調達することが難しいため、今後さらに貴重な存在になっていきます。ぜひ体験してみてください。

これはおさえたい!富士見湯のレトロポイント

写真:毎川 直也

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そしてこれまた懐かしいぶら下がり健康機。男女脱衣場の一画に鎮座しています。ぶら下がることによって体を鍛えたり、姿勢の改善に効果が期待できるそうです。そういった健康効果以上に「ぶら下がることの懐かしさ」を噛みしめつつ、ぶら下がった先にある景色をぜひ眺めていただきたいですね。

近年、様々な個性を持つ銭湯が誕生しています。一方で富士見湯のような銭湯らしい銭湯は数を減らしています。そんななかでここまで銭湯らしさを維持している富士見湯は本当に貴重です。ラゾーナ川崎に訪れたさいは、買い物とあわせて富士見湯のレトロな空間で、非日常を満喫してみてはいかがでしょうか。

富士見湯の基本情報

住所:神奈川県川崎市幸区幸町4-2
電話番号:044-522-1953
営業時間:15:00〜23:20
日曜日は7:00〜12:00、15:00〜23:20
定休日:7、17、27日(日曜、祝日の場合は翌日が定休日)

特別な許可を得て撮影しています。営業中の脱衣場、浴室の撮影は厳禁です。

2019年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/09/30 訪問

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