写真:乾口 達司
地図を見る矢田寺には、たくさんの石仏が点在しています。その代表格が、写真の「味噌なめ地蔵」。味噌なめ地蔵には、次のような伝承が残されています。昔、近くに住む女性の夢枕にお地蔵さまが立ち、味噌の味が悪くなったことを気にやんでいた女性に対して、自分にその味噌を食べさせてくれたなら、味噌の味を良いものにしてやろうと告げました。翌朝、女性が矢田寺へ参詣すると、夢枕に立ったお地蔵さまがいたため、自分の味噌をその口許にぬったところ、味噌の味が良くなりました。以来、矢田寺の地元ではそのお地蔵さまを味噌なめ地蔵と呼んで敬い、新たに味噌を作ると、その口許にぬる風習が残されました。
こういったエピソードを知りながら味噌なめ地蔵を見ると、何と優しいお顔をなさっているのかと、お気づきになることでしょう。その柔和なお顔が、丸く、かわいらしいアジサイの花と絶妙にマッチしていると思いませんか?
写真:乾口 達司
地図を見る写真は、味噌なめ地蔵の脇に並んだお地蔵さまたち。アジサイの青や紫とお地蔵様の赤い前掛けが何ともカラフルで、華やかさを感じさせます。なかでも、特に注目したいのは、お地蔵さまたちを呑み込まんとするかのように背後から迫ってきているアジサイの群れ!一番手前のお地蔵さまなど、あともう少しでアジサイの花々に埋もれてしまいそうですよね。矢田寺の境内にアジサイがいかにたくさん植えられているか、この一枚からもうかがえるでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見るこちらの写真になると、小さなお地蔵さまたちが咲き乱れるアジサイにほとんど呑み込まれた状態にまでなっています!石仏とアジサイ。矢田寺では、こういった両者のコラボレーションが各所で見られます。みなさんも、アジサイのなかに埋もれたようにたたずむ石仏を探してみてはいかがでしょうか。
写真:乾口 達司
地図を見るもちろん、仏堂とセットの光景も欠かせません。写真は本堂を背景に入れて撮影した一枚。本堂は奈良県屈指の規模を誇る大型の仏堂で、県の文化財に指定されています。そのような貴重な建造物とセットで眺められるのも、矢田寺のアジサイならではの魅力であるといえるでしょう。
ちなみに、本堂の内陣には本尊の木造地蔵菩薩立像のほか、数々の重要文化財クラスの仏像が安置されています。アジサイの咲く時期には一般にも公開されるので、あわせてお参りしましょう。
写真:乾口 達司
地図を見るアジサイの咲き乱れる時期、矢田寺で私がお勧めしたいスポットは、写真の舎利堂付近。舎利堂は本堂の裏手にひっそりたたずんでいますが、本堂の周辺は観光客でひしめいていても、舎利堂のあたりまでくると、静寂そのもの。自分のペースで落ち着いてアジサイを愛でることができます。写真の前面に咲いているのは、ガクアジサイ。落ち着いてアジサイを観賞できるので、アジサイの種類までしっかり心に刻まれることでしょう。本堂からは歩いて数分の距離なので、ぜひ、足を運んでみてください。
矢田寺のアジサイ観賞に、石仏や仏堂が欠かすことのできない点景として存在していることが、おわかりになったのではないでしょうか。ほかにも、四国八十八ケ所霊場を模したミニ遍路道も設けられているので、アジサイを眺めながら、お遍路さんを楽しんでみるのも一計でしょう。矢田寺にアジサイの咲き乱れるこの時期、アジサイを愛でながら、境内の石仏や仏堂にも手を合わせてください。
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この記事を書いたナビゲーター
乾口 達司
これまでは日本文学や歴史学の世界で培った見識にもとづいて数多くの評論や書評を執筆してまいりました。奈良生まれ、奈良育ちの生粋の奈良っ子。奈良といえば日本を代表する観光地の一つですが、地元民の立場からい…
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