写真:乾口 達司
地図を見る「長弓寺(ちょうきゅうじ)」は奈良市の西部に位置する寺院。寺伝によると、奈良時代、このあたりをおさめていた「小野真弓長弓(おののまゆみたけゆみ)」の不慮の死を悼んだ聖武天皇が僧・行基に命じて仏堂を建立させたことにはじまります。以後、荒廃と復興とを繰り返し、現在は薬師院をはじめ四つの塔頭に守られながら、新興住宅地のなかにひっそり佇んでいます。
そんな長弓寺がもっとも賑わうのが、正月三が日。三が日は正月用の祈祷もおこなわれるため、大晦日の夜からたくさんの参拝者で賑わいます。参道にもご覧のような立て看板が出るほどです。
写真:乾口 達司
地図を見る長弓寺に参拝したら、まずは本尊・十一面観音菩薩立像(国の重要文化財)の安置された本堂にお参りしましょう。
本堂は鎌倉時代中期に当たる1279年(弘安2年)に再建されたもの。向拝のついた入母屋造・檜皮葺の仏堂で、現在は国宝となっています。新興住宅地のなかにひっそり佇むお寺の本堂が鎌倉時代に建立された国宝の建造物とは、さすが文化財の宝庫・奈良だと思いませんか?
普段、本堂の扉は閉じられ、事前に予約していないと、堂内を拝観することはできません。しかし、正月三が日だけは扉が開かれ、参拝者の誰でも自由に堂内に立ち入り、本尊・十一面観音菩薩立像にお参りすることができます。拝観料も不要。せっかくの機会なので、ぜひ入堂させていただきましょう。
写真:乾口 達司
地図を見る写真にあるように、堂内は礼拝用の外陣と本尊・十一面観音菩薩立像が安置された内陣とに分けられています。双方を区画するのに格子戸と菱欄間が設けられているのは、密教系の本堂の特徴です。
写真:乾口 達司
地図を見る格子戸や菱欄間のほか、天井にわたされた建築部材の「虹梁(こうりょう)」にも目を向けましょう。長大な虹梁は長弓寺本堂の特徴の一つとなっています。
写真:乾口 達司
地図を見る本堂にお参りした後は境内に点在する塔頭もめぐりましょう。こちらでも普段は拝観できない仏像などを拝観させていただけます。
写真は地蔵堂の様子。堂内には、奈良県指定文化財となっている逆修延命地蔵尊立像などがまつられています。
写真:乾口 達司
地図を見るそれぞれの塔頭の軒先には、樽に入った御神酒も置かれており、自由にいただくことができます。もちろん、お車を運転される方の飲酒は厳禁ですよ。
写真:乾口 達司
地図を見る塔頭ごとに破魔矢やお守りなどの授与品もいただけます。
写真:乾口 達司
地図を見る長弓寺の境内には「伊弉諾神社(いざなぎじんじゃ)」と呼ばれる神社も鎮座しており、やはり参拝者で賑わっています。あわせてお参りしましょう。
写真:乾口 達司
地図を見るこちらでは、地元の有志がお餅を焼いて、参拝者に振る舞ってくださいます。
写真:乾口 達司
地図を見る境内はそれほど広くありませんが、それでも地元の方たちがパチンコ台(ゴム銃)を設置したりと、参拝者を楽しませてくれます。特にお子さんたちには大人気です。
写真:乾口 達司
地図を見る小腹がすいても大丈夫。屋台も幾つか出店していますので、おやつ代わりに利用しましょう。
いかがでしたか?長弓寺の正月三が日がいかに貴重な機会か、おわかりいただけたでしょうか。とりわけ、本堂内の拝観はこの三が日に限られるため、仏像や古建築に関心を持つ方は必見!長弓寺の正月三が日をぜひご満喫ください。
2024年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事を書いたナビゲーター
乾口 達司
これまでは日本文学や歴史学の世界で培った見識にもとづいて数多くの評論や書評を執筆してまいりました。奈良生まれ、奈良育ちの生粋の奈良っ子。奈良といえば日本を代表する観光地の一つですが、地元民の立場からい…
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