「二上山万葉ライン」は富山県高岡市内に位置し、二つの峰からなる標高約274mの二上山の山腹、山頂を巡る約8kmほどのドライブルートです。立山連峰から能登半島までもの景観が見渡せ、また四季折々の自然が楽しめます。
このルートが通る「二上山公園」は、能登半島国定公園の一部でもあり、歴史や自然あふれる公園。二上山は古くから神の山として崇められており、万葉集の歌人でもある大伴家持は越中(現在の富山県)の国守として5年間この地に赴任。都のある奈良県の二上山と同じ名前の山ということからこのことに感激し、この期間に二上山周辺をはじめ越中に関わる多くの歌を残しています。
写真:Mayumi T
地図を見る道路沿いには守山城跡、平和観音像、大伴家持像、平和の鐘、二上山キャンプ場などの観光スポットなどもあり、自然が満喫できることから市民はもちろん、多くの人々が訪れています。
こちらは守山城跡ですが、二上城、海老坂城ともいわれています。当時は斯波(しば)氏、神保氏、上杉氏、前田氏など長い歴史の中で城主が移り変わり、前田利長公が富山城を改築したあとからはそこにあった商家などは少しずつ富山城下へと移ったとされています。
写真:Mayumi T
地図を見る現在では遺構なども残っているとされてはいるものの、実際には見つけることはなかなか難しく、このような案内板から当時の歴史を伺い知ることができます。
でも確かに、この場所に城下があったとされるのには納得の景観!数々の歴史を歩んできた現代の高岡市街地が一望できるでしょう。景色を眺めながら、様々な歴史に思いをはせてみるのも良いですね。
写真:Mayumi T
地図を見る二上山は、桜や紅葉の名所として知られており、山々を巡ることができる万葉ラインでは、万葉の歌碑などとともに、四季の自然を楽しむことができます。
写真:Mayumi T
地図を見る春の季節にはソメイヨシノ、またキンキマメザクラやヤマザクラなど様々な種類の花々が咲き誇ります。特に城山園地は桜の名所で、守山城の本丸があった場所となっており、高岡市内はもちろん氷見市から砺波市街地まで眺望できるスポットです。
写真:Mayumi T
地図を見る高岡市街地を眺望し、氷見市側へと下っていくルートの途中には万葉の歌人、大伴家持像がありますので立ち寄ってみましょう。
写真:Mayumi T
地図を見る大伴旅人の長男である大伴家持は、万葉集の中でこの二上山に関連する歌をいくつか詠んでいます。そのうちの一首に、
玉くしげ 二上山に 鳴く鳥の 声の恋しき 時は来にけり
(訳)(玉くしげ)二上山に鳴く鳥の、声の恋しい季節がやってきた
このように残されており、大伴家持がかつて二上山の自然や植物、鳥をとても愛し、過ごしたことをよみとることができます。
因みに万葉集全20巻の4,516首のうち、現在作者が判っている歌として、大伴家持(473首)、柿本人麻呂(91首)、大伴坂上郎女(84首)、山上憶良(76首)、大伴旅人(71首)となっています。そして大伴家持の歌473首のうち、越中の地で詠まれたものは223首と、とても多くの歌を詠んでいたことがわかります。
秋の季節ともなるとこの場所も黄色や朱色、赤に染まった紅葉に彩られ、季節の移ろいが感じられるでしょう。秋の深まりとともに、大伴家持像周辺の樹木も紅葉に包まれていきます。
写真:Mayumi T
地図を見る富山県内には美しい景観が眺められるスポットが多数あり、そのビューポイントが記されているわかりやすい案内板もあります。二上山を含め、万葉集ゆかりのスポットが多数ありますのであわせて立ち寄ってみるのもおすすめですよ。多くの歌碑も街の中にあります。
<二上山万葉ラインの基本情報>
住所:富山県高岡市東海老坂字馬鞍
電話番号:0766-20-1301(高岡市観光交流課)
(電車)JR・あいの風とやま鉄道 高岡駅より車、タクシー約20分
(車)能越自動車道 高岡北ICより約15分、国道165号線「守山交差点」二上山万葉ライン入口、国道415号線「伏木古府交差点」からの入口2ヶ所あり
※通行無料、駐車場5ヶ所無料、冬季(12月〜3月)ゲート封鎖
桜の見頃:4月下旬〜5月上旬
紅葉の見頃:11月中旬〜11月下旬
写真:Mayumi T
地図を見るこちらは二上山万葉ラインからほど近い「高岡市万葉歴史館」です。当時、大伴家持が国守としてこの地に5年間赴任していた際に関する書物や関連したものがわかりやすく展示されており、とても見応えがあります。子ども連れのご家族でも歴史に親しみやすい内容となっていますよ。
<高岡市万葉歴史館の基本情報>
住所:富山県高岡市伏木一宮1-11-11
電話番号:0766-44-5511
アクセス:(電車)JR・あいの風とやま鉄道 高岡駅〜JR氷見(ひみ)線 伏木(ふしき)駅より徒歩約25分、または車、タクシー約5分、または高岡駅よりバス約30分〜伏木一の宮バス停下車徒歩約7分
(車)能越自動車道 高岡北ICより約20分、高岡ICより約25分、または北陸自動車道 小杉ICより約35分、高岡砺波スマートICより約35分
写真:Mayumi T
地図を見る立山連峰が眺められる「雨晴海岸」も、二上山万葉ラインから近いのでおすすめです。二上山から眺めた景観とはまた違って間近に見渡せる高岡市北部の海岸。こちらも能登半島国定公園に含まれており、「日本の渚百選」「白砂青松百選」にも選ばれています。大伴家持もこの雨晴海岸をよく訪れたとされており、万葉の歌の中では「渋谿(しぶたに)」という地名で詠んでいます。
ここはかつて源義経が奥州へ落ちのびる際、にわか雨が晴れるのを待ったという「義経岩」もあり、この「雨晴海岸」の地名の由来にもなっています。周辺には「道の駅 雨晴」もあり、素晴らしい景観が眺められるでしょう。夕陽も美しいので、時間があればぜひご覧くださいね。
<雨晴海岸の基本情報>
住所:富山県高岡市太田
電話番号:0766-20-1547(高岡市観光協会)
アクセス:(電車)JR氷見線 雨晴駅より徒歩約5分
(車)能越自動車道 高岡北ICより車で約15分(道の駅 雨晴の駐車場あり)
こちらは、例年10月に高岡市で開催される「高岡万葉まつり」の様子。大伴家持が、奈良時代に国守としてこの地に在任していたことによるイベントです。長い歴史の中、受け継がれてきた文化や伝統を体感でき、メインイベントの「万葉集全20巻朗唱の会」をはじめ、茶会など多彩に楽しめます。
「万葉集全20巻朗唱の会」は特設の水上舞台で、万葉集全20巻4,516首の歌のすべてをリレー方式で歌い、連続三昼夜にわたり約2,000人を超える人々が朗唱します。例年7月頃、公式サイトより募集が開始されますので、参加されてみるのも旅の思い出になりますね。 厳かな雰囲気の中で万葉衣裳も着用(協力金要)できますので、万葉の世界を感じながら楽しく当時の歴史を思い起こすことができるでしょう。
<高岡万葉まつりの基本情報>
開催場所:富山県高岡市内 高岡古城公園(中の島特設水上舞台など)
電話番号:0766-20-1547(高岡市観光協会)
アクセス:(電車)JR・あいの風とやま鉄道 高岡駅より徒歩約15分、またはJR氷見線 越中中川駅より徒歩約4分
開催時期:例年10月初旬
このように「二上山万葉ライン」をはじめ、富山県高岡市内には令和時代や万葉集ゆかりの地が、穏やかなドライブルートとともに楽しむことができます。
ぜひ、当時の歴史や万葉の世界を楽しみ、感じながら巡ってみませんか。
2019年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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