写真:島塚 渓
地図を見る萬福寺は、その前身にあたる「安福寺」が平安時代に建立されますが、津波に襲われ、お堂が流出。
しばらく小さな庵を建ててしのいだ後、周辺一帯を支配していた益田氏(ますだし)の菩提寺として、現在の地に再建されました。
写真:島塚 渓
地図を見る応安7年(1374年)に建てられたという本堂は、簡素ながら力強さを感じさせる造りとなっています。
7間四方(1辺約12.7メートルの正方形)のシンプルな間取りに、屋根は民家などにも見られる一重寄棟造り(いちじゅうよせむねづくり)と呼ばれる様式。これは、4方向に傾斜していて、重なりがない屋根のことで、見た目にもすっきりとした印象を与えてくれます。
写真:島塚 渓
地図を見る萬福寺の見どころは、何といっても、名勝に指定されている庭園。
文明10年ごろ(1478年)に、益田氏によって招かれた雪舟が作庭したと伝わる、大変貴重な石庭です。
写真:島塚 渓
地図を見る日本の歴史上、最も有名な画家のひとりとして数えられる雪舟は、作庭にも、その類まれな能力を発揮しています。
幼いころから禅僧として修行を積むかたわら、絵画を学んでいた雪舟。実は庭づくりに関しても、修行先の禅寺で、多くの知識を蓄えていったと考えられています。
その庭づくりには、水墨画の特徴である奥行きを持った構成力が生かされ、禅の世界感を絵画だけではなく、庭園においても表現しているんです。
写真:島塚 渓
地図を見る萬福寺庭園は、石を巧みに利用し、仏教の世界観を表しているところが特徴です。
中央の一番高いところにある石が、仏教の世界で中心にそびえるとされる須弥山(しゅみせん)。そこからなだらかに山裾が広がり、まわりに配置された石と合わせて、全体で須弥山石組(しゅみせんいしぐみ)と呼ばれるものを構成しています。
仏教の考え方では、須弥山をとりまいて、九つの山と八つの海があるという「九山八海(くせんはっかい)」思想があるため、須弥山石を中心に、渦状に石が据えられているんです。
写真:島塚 渓
地図を見る手前にある池は「心字池(しんじいけ)」と言い、遠くから眺めると、漢字の「心」という字のように見えるので、このように呼ばれています。
庭園において、池は非常に重要な要素で、明るく広がりのある印象を与えてくれます。雪舟が理想とした、厳しくも穏やかな禅の境地を表現するのにも、効果的な役割を担っていたと考えられています。
写真:島塚 渓
地図を見る心字池の奥に配置された石は、「滝石組(たきいしぐみ)」と言い、その名の通り、滝を表現して作られています。これは禅宗寺院などで、しばしば見られる石組みで、滝のような水の流れを想像させることがポイントになっています。
また、滝石組の一番手前にある三角形の石を「鯉魚石(りぎょせき)」と言い、激しい流れを登る鯉が龍になるという、ことわざをもとに作られているんです。
厳しい修行の結果、立派なお坊さんになれるようにと願った、仏教の思想と関連付けた仕掛けになっています。
住所:島根県益田市東町25-33
参拝時間:8:30から17:30まで(冬季17:00まで)
拝観料:大人500円、高校生300円、小中学生無料
2020年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/19更新)
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