埼玉高速鉄道「川口元郷」下車し、岩槻街道(国道122号)を北へ歩く事約8分。周辺の街並みとはミスマッチな褐色のレンガ造りの建物が見えてきます。外側からは洋館部分しか見えませんが、何やら高貴な香りが漂ってくる風貌。それもその筈、この洋館は迎賓のための建物の役目もあったのです。
自ら材木商を営んでいた田中家。建築資材は最高級の物が手に入った事でそれらを贅沢に用い、室内の装飾やインテリアに至るまで、拘り抜いて造られているのが素晴らしい。
この外壁は、イギリス式二枚積みによる茶褐色の化粧用煉瓦を使用し、その煉瓦は、建築現場の近くで専門の職人に焼かせたと言われています。
洋館は3階建て。1階には玄関、家人用の食堂、台所があり、玄関は天井が和式の格天井で帳場のような構え。神棚を設け、奥には大きな金庫、重厚な机、消火扉、ベルなどなど。ここが且つて商家だったことを物語っています。
またすぐ隣には洋間の応接室があり、来客が玄関から直接入室できるようになっています。柔らかい色の家具調度品は、もてなされる者がホッと落ち着ける効果もありそうですね。
同じ洋館の2階は、本格的な数寄屋風書院造りの座敷と次の間、畳張りの広縁、そして洋間の書斎があり、まさに和洋折衷。
座敷には檜や屋久杉がふんだんに使われ、欄間は桂月山人の彫り物があります。
迎賓を目的とした大広間は、眺望を重視して3階に設置されているのが特徴。全体的にはジョージアン様式で、重厚感ある家具やイオニア式の円柱、中心に花弁飾りのついた漆喰天井、更にはシャンデリアも美しくまとめられています。
そして眺望を重視して造られただけあって、その窓からは、且つては富士山も見えたとの事。緑豊かな庭の眺めも最高です。
玄関を入って奥に進んでいくとある和館。本格的な書院造りの和館の1階には、10畳の仏間、12畳の次の間、14畳の座敷の3つの和室があります。この和室にも、細部に渡って嗜好が凝らされていて、その全てを1つ1つ観ていくだけでもかなりの時間が要するでしょう。
特に一番奥の座敷が見事。床の間のあちらこちらに黒檀が使われ、天井は屋久杉を使用。吊り照明も各部屋ごとに異なったものが飾られており、桐の欄間には、2階座敷と同じ桂月山人の水墨画が用いられているという手の凝りよう。
2階の座敷もまた見事。襖は、入口側から見た襖の柄は菊ですが、表はぼたん柄というお洒落な演出。変わり組み子格子も美しい和室になっていて、建築にたずさわった技術の高さがうかがえます。
元々は、味噌醸造蔵のあった跡地に造られた、本格的な池泉回遊式日本庭園。池、枯山水、洲浜、灯篭、手水鉢などを配し、池にはたくさんの錦鯉が優雅に泳いでいます。季節ごとに変化する木々や花々を楽しむことが出来るのは、言うまでもありません。
昭和48年に京都から職人を呼び寄せ、一部味噌蔵の建築材を用いて造られたといわれている茶室。四畳半と八畳2つの茶室と水屋、立礼のホール、調理室等から構成されており、現在も本格的な茶会をはじめ、様々なイベントに利用されています。
手を清める為のつくばいがある屋内庭園も、大変ユニークですね。
こちらでは、この茶室だけでなく、住宅全体を利用しての作品展や、イベントを定期的に開催しています。それ目的でもまた面白いので、ぜひ訪れてみて下さい。
住所:埼玉県川口市末広1丁目7-2
電話番号:048-222-1061(川口市立文化財センター)
開館時間:9:30〜16:30(入館は16:00まで)
休館日:
月曜日(月曜日が祝日の場合は、その直後の平日)
年末年始(12月29日〜1月3日)
入場料:大人210円、子供(小中学生)50円
アクセス:SR埼玉高速鉄道・川口元郷駅より徒歩8分
2019年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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