写真:かわい まゆみ
地図を見る釜山からは高速バスで約2時間、朝鮮半島の東海岸に位置する浦項市(ポハン Pohang)は、世界的な鉄鋼企業で知られるPOSCO(ポスコ=Pohang Iron and Steel Company=浦項製鉄)を筆頭に韓国有数の国際工業都市として発展してきました。
工場の多い港湾都市でありながら、昔ながらの漁業も盛んで、漁港にはたくさんのイカ釣り漁船や新鮮魚介を使った飲食店が立ち並び、とてものどかな一地方都市です。
写真:かわい まゆみ
地図を見るそんな浦項の最東端にあるのが虎尾串(ホミゴッ Homigot)。韓国語で「串(ゴッ)」とは「岬」を表し、虎のかたちに例えられる朝鮮半島の尾っぽ部分がちょうどこの地にあたるため、虎尾串の名が付いたといわれています。
写真:かわい まゆみ
地図を見る沿岸部に整備された臨海公園「虎尾串日の出広場」。虎尾串は、韓国全土でもっとも早く初日の出が見られる場所として知られています。そのため、年末年始には「初日の出祭り」が盛大に開催され、全国各地から何万人もの観光客がこの地に詰めかけます。韓国では誰もが知る定番のスポットなのです。
写真:かわい まゆみ
地図を見るこの虎尾串の最大の見どころは、この海からのびるちょっぴりホラーな手。これは、1999年に新世紀のミレニアムを記念して建設されたモニュメントで、高さ8m、幅4mの青銅製、タイトルは「相性(共存)の手」と呼ばれています。
写真:かわい まゆみ
地図を見る「相性の手」は右手を為し、対となる左手は正面の広場に立っています。この向かい合う手が意味するものは、ミレニアムを迎え、全国民が互いに手を取り合い助け合って共存していこうという崇高な願いが込められています。
とはいえ、あまりにもリアル過ぎる巨大な手、しまいには5指に海鳥まで止まってしまうともうB級感がぬぐえません。しかしこのインパクトのあるビジュアル、インスタ映えは間違いないですね。
日の出の名所である虎尾串では、「相性の手」と日の出が重なる決定的瞬間をカメラに収めようと全国各地から写真愛好家が詰めかけます。初日の出など特別な日にこの瞬間をおさめたらご利益がありそうですね。
写真:かわい まゆみ
地図を見る「相性の手」と対になる左手は、すぐ目の前の虎尾串日の出広場に立っています。こちらは高さ3m、幅4mで、左手の前には太陽との共存を示す聖火台と和合を意味するリングが置かれています。
左手は逆に西日と重なり、日の出とはまた違ったどこか神々しさを感じる光景です。
写真:かわい まゆみ
地図を見る「相性の手」の左手には桟橋が架かっています。せっかくなのでこちらまで足を伸ばしてみてください。周辺が一望できます。
写真:かわい まゆみ
地図を見るボードウォークに突如現れる巨大タコのオブジェ。タイトルは「虎尾串の石ダコ」。この負けず劣らず漂うB級感、嫌いじゃありません。
ちなみに、別のモンスタータコが広場入口にも設置されています。そちらもお見逃しなく。
写真:かわい まゆみ
地図を見る桟橋の先端は展望台になっており、中央にはコンパスが描かれています。この銅像の少年のタイトルは「希望の日の出」。少年は真東を指差し、遠くを見据えています。そして、何を隠そう、彼が指差す約320km彼方には日本の隠岐が浮かんでいます。
浦項のある慶州はかつて新羅(シンラ、しらぎ)と呼ばれた古代王国の首都、日本書紀にも登場する新羅国とのつながりにロマンをじわじわ感じます。
写真:かわい まゆみ
地図を見る虎尾串の見どころの一つは、画像右手に見える、1908年に設置された灯台。日露戦争に勝利した日本軍が大陸進出への足がかりを固めるため灯台建設に着手、設計はフランス人設計士が、施工は中国人技術者が担当し、高さ約27mの総レンガ造りで、ほぼ円形に近い八角形の美しいフォルムをしています。周辺には国立灯台博物館や海洋水産館も併設されているので、時間があればぜひ立ち寄ってみてください。
写真:かわい まゆみ
地図を見る広場の中央で存在感を放つ円形の巨大な建物が「新千年記念館」。こちらも2000年のミレニアムを記念して建てられ、2009年にオープンしました。浦項の地質構造、歴史や文化、産業などが展示され、屋上の展望台からは虎尾串周辺を一望できます。
写真:かわい まゆみ
地図を見る広場側の一角にひっそりたたずむのが「延烏朗(ヨノラン)と細烏女(セオニョ)の像」です。これにまつわる伝説が非常に興味深いのでご紹介。
新羅時代、延烏朗と細烏女という夫婦がこの地に暮らし、ある日、延烏朗が海で海草を採っていると突然魚のような岩が現れ、彼を日本へ連れ去り、日本では彼を王として迎え入れます。やがて、夫を心配した妻の細烏女が、彼の草履が残されていた岩の上に登ると、その岩もまた彼女を乗せて日本へ向かい、夫婦は無事再会して日本の国王と王妃になります。すると、新羅では太陽と月が光を失い真っ暗に。新羅の王は困って二人を呼び戻すよう日本に遣いを出すと、延烏朗はそれは天命に逆らうこととして拒否、代わりに王妃が織った反物を遣いに渡し、それを天に捧げれば光は戻ると伝え、帰国後そのとおりにすると、新羅に光が蘇った、という伝説。
こんなところに日本と韓国をつなぐ神話ロマンがあったなんて、意外な発見ですね。実際にこの地から「日出ずる国・日本」との交流がはじまったのかもしれないですね。
釜山からも日帰り可能な浦項市の虎尾串。ぜひ、今度釜山を訪れる際には、このB級感漂うフォトジェニックなスポットへ足を伸ばしてみませんか?
住所:韓国慶尚北道浦項市南区虎尾串面大甫里226
電話:+82-54-270-5806(管理事務所)
アクセス:釜山からは地下鉄1号線老圃(ノポ Nopo)駅にある総合バスターミナルから浦項行き市外直行バスで約1時間20分。浦港市外バスターミナルからタクシーで約50分。あるいは、市内バス200番に乗り、九龍浦乗り換えセンター下車、所要約1時間。そこから大甫(テボ)行のバスに乗り換え、虎尾串日の出公園で下車、所要約40分
2019年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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