知覧は「薩摩の小京都」と称される江戸時代の面影を残す町です。
武家屋敷群があり、7つの庭園が国の名勝に指定され公開されています。庭園は7つのうち6つが枯山水式庭園(水を使わず砂や石で風景を表現する庭園方式)です。また、武家屋敷通りといわれる道路は通り沿いに生垣と石垣が施され、当時を偲ぶことができます。
写真:しの
地図を見る武家屋敷群の中にある高城(たき)庵では、現存する武家屋敷である旧高城家住宅にて郷土料理を提供しています。
タイムスリップしたような武家屋敷で、庭をみながらゆっくりと味わってみましょう。
また、団体予約に開放している同じ敷地内にある別邸は二ッ家(知覧型茅葺:棟と棟を連結する部分に小さな棟がある)と言われ、この様式は知覧独特のもの。現存しているものは3つのみと言う貴重なものです。
写真:しの
地図を見る「茶ぶし(茶節とも言う)」とは指宿を中心とする南薩摩一帯の郷土料理です。
たっぷりの鰹節に麦味噌とお茶を注ぐ伝統料理で、疲労回復にもよいとされています。
鰹節の香りと麦味噌のほんのりとした発酵臭がお茶と相まって、じんわり体に効いてくるお味。
美味しいというよりも「体によさそう」と言う滋味あふれたお味です。
「高城庵」では細かい黒砂糖も一緒に提供されるので、お好みで入れてみて下さい。お茶や味噌に砂糖?と思われるかも知れませんが、これがなかなか合うんです!黒砂糖があると味がしまるように感じますよ。
写真:しの
地図を見る「あくまき」とは「灰汁巻き」とも言い、灰汁汁につけたもち米を竹皮で巻いて蒸し上げた南薩摩地方の伝統菓子です。
灰汁に漬け込むこと、竹皮で巻くことによって殺菌効果が増し、保存食としても重用されていたとされ、500年ほど前から食べられていたという説もあります。
実際に食べてみると、かなりもっちりした食感。もち米なのでやはりお餅に近いですが、水分は多いのでもう少しジューシー。味は製法上やはり灰汁のえぐみや苦味がほんのりあって、そこがまた独特の風味となっています。
多めのきな粉と黒砂糖をつけて食べると美味しいですのでお試し下さい。
写真:しの
地図を見る両棒餅とは焼いた餅に甘辛いタレをからめたもの。餅はもち米から作られるものの他、上新粉などから作られるものもあります。また醤油ベースの甘辛いタレのものが中心ですが、中には味噌味のものもあります。
みたらし団子に近い味ですが、一般的なみたらし団子は白玉粉で作られることが多く、もち米で作った両棒餅とは食感に違いがあります。両棒餅の方がちっとした感じで、味もやや甘め。
作家・向田邦子さんも鹿児島に住んだ時にこの両棒餅を愛し、代表的随筆「父の詫び状」の「細長い海」に描写が残っています。
この両棒餅の由来については諸説ありながら、一番有力視されているのは武士が二本の刀を脇に差していたことを模し、2本の串が刺さっていることにあるとか。
尚、高城庵の両棒餅はやや大きめでほどよい柔らかさともちっと感のある焼いたお餅に醤油ベースの甘辛いタレがよくからんでいて、万人受けする懐かしく美味しい味です。
タレはしつこくないのでたっぷりつけて召し上がって下さい。
知覧はご紹介した小京都の風情が残る町、また武家屋敷にて頂く郷土料理に舌鼓を打つのも素晴らしいですが、他にもお茶の名産地としても有名です。一方、終戦間際に特攻部隊があった町としても知られています。
多方面で訪れる価値のある町・知覧。
是非足を延ばしてみて下さいね。
★ご紹介した「郷土料理高城庵」の基本情報は【MEMO】の公式サイトをご覧ください
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この記事を書いたナビゲーター
しの
幼い頃から歴史が好きで大学の専攻は東洋史。西国お遍路からピラミッド(エジプト留学あり)やモヘンジョダロまで国内外の史跡巡りをしてきました。最近では史跡めぐりは勿論、趣味が高じて調理師免許を取得。それに…
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