写真:土庄 雄平
地図を見る今回紹介する高島が位置するのは、長崎県伊王島の南部。初めての方には、あまり聞き慣れない地名かもしれませんが、実は長崎から高速船が出ており、容易にアクセスすることが可能です。また世界遺産・軍艦島とともに、一緒にクルーズの定番コースとして組まれるのが一般的!
高島までは35分程の船旅となりますが、実はこの過程も、高島旅を楽しむ伏線となっています。なぜなら、長崎港から女神大橋を抜けるまでの間には、長崎を支え続ける三菱重工業の長崎造船所や、その敷地内にある世界遺産の構成要素の一つ「ジャイアントカンチレバークレーン」など、高島と同じく長崎近代化の中心となった風景を眺めることができるから。
またその一方で女神大橋を出ると、視界からは町が消え、潮風を感じながら爽やかな船旅を満喫することが可能です。工業的な側面と、美しい自然。相対する側面が近接する長崎ならではの情緒を感じ取ることができるでしょう。
写真:土庄 雄平
地図を見る20分の船旅を楽しんだら、ようやく高島へと到着!すると、一般的な離島にある港町の雰囲気とは異なることにすぐ気づくでしょう。なぜなら、この高島は漁業で発展した町ではなく、あくまで良質な石炭を採取するために開発された工業の島。そのため、離島ならではの生活感ではなく、人工的な景色へ目が移ります。自然はあまりなく、どこか無機質で、物寂しさを感じさせます。
まず高島へ到着したら、まずターミナル内にある電動自転車のレンタサイクルを利用しましょう!島内の徒歩移動は、少し時間的に厳しいので、全て回るには自転車というツールが不可欠です。そして、島を反時計回りに巡っていきます。なぜこの順序なのか?と問われれば、この順序こそ高島の軌跡を辿るに相応しい順序だから。詳細は後述していきます。
写真:土庄 雄平
地図を見るまず立ち寄りたいのは、高島港から5分の場所にある「高島海水浴場」。勢いよく自転車へ駆け出したら、そこには目を疑うほど美しいビーチが現れます。透き通った水色の海と、サラサラ砂のビーチ。かつて工業の島だったとは想像できないほど美しい場所です。ここで出来るだけ離島ならではの癒し成分を補給してくださいね!
写真:土庄 雄平
地図を見るまた、そこから少しペダルを漕いだ場所「飛島」の入り口付近には、猫が沢山待ち構えています。実は、この飛島は高島随一の釣りスポットであり、その釣り人からお魚がもらえることがあるので、腹ペコ猫ちゃんたちがお昼寝しがてら待機しているのです(笑)
実は、高島を訪れる人の大半が釣り人!工業の島であった高島は、今では綺麗なビーチを有し、釣り人と猫のコミュニケーションが日常風景になっている穏やかな"癒しの島"という顔を持っています。
さぁ、それでは島の西部から南部へ向かい、現在の風景とは対照的な、過去の「高島」を覗いてみましょう!
写真:土庄 雄平
地図を見る高島海水浴場から自転車で5分ほど進めば、高島の炭鉱の中心でもあった「北渓井坑跡」へ到着します。実は、世界遺産・高島の始まりは、江戸時代に佐賀鍋島藩とグラバー商会が合同出資ではじめた炭鉱開発であり、その初期の炭坑施設こそ、この「北渓井坑跡」なのです。当時、最新技術であった蒸気機関を用いたこの炭鉱は、明治期の殖産興業へ至るまで、高島炭鉱の主軸となりました。
写真:土庄 雄平
地図を見るそんな北渓井坑跡の近くは、炭鉱設備や労働者たちの住居が密集していたことが分かっていますが、今ではその面影もなく、ひっそりとしています。坑跡から少し北に、グラバーの別邸がありましたが、現存しておりません。残っていれば、第二のグラバー邸となっていたかもしれませんね
写真:土庄 雄平
地図を見る北渓谷井坑跡を過ぎたら、高島の最高所「権現山公園展望台」を目指します。少し上りがキツいのと道が分かりづらいので、少しグーグルマップで場所をチェックしてから向かってみて下さい!展望台へ辿り着けば、長崎方向のパノラマが望むことができ爽快!眺めはもちろん良いのですが、特筆すべきは長崎方面とは反対の景色です。
そちらを眺めると、島の各所に白いマンションが点在しているのが分かります。実は、これはかつて炭鉱として稼働していた時代に、人口密度が高くなる対策として、炭鉱労働者の集合住宅として建てられたマンションです。この展望台へ来る途中、空き地となっている場所は、ほとんどこのマンションの跡地で、最盛期は数十棟のマンションが立ち並んでいたと言われています。今の静かな佇まいからは、考えられない光景ですね!
写真:土庄 雄平
地図を見る権現山公園展望台をあとにしたら、島の最南端「軍艦島の見える丘」を目指しましょう。その名の通り、高島の南に位置する世界遺産・軍艦島を見渡すことのできる絶好スポットです。まるで島が一つの要塞と化したかのような島の風景は圧巻!軍艦島クルーズの際に乗る船以外から、ここまで軍艦島を明瞭に見られるのは、この高島のみです。
写真:土庄 雄平
地図を見るその軍艦島方面の反対側には、高島の物寂しい景観。過去の活気に溢れていたこれらの島の当時の姿を思い浮かべながら、現在と比較して、炭鉱島の栄枯盛衰を感じ取ることができるでしょう。
写真:土庄 雄平
地図を見るそして、ラストは高島港からすぐに所にある「長崎市高島石炭資料館」に立ち寄り、高島で見てきた風景の答え合わせで〆るのがオススメ!この博物館には、この島が炭鉱として稼働していた時の道具類や、当時のモノクロ写真の展示があり、かつての高島の風景を思い起こすことができます。「今日見たあの場所は、昔はこうだったのか!」「かつて炭鉱はこのように稼働していたのか!」など、今残る風景を過去と繋げることができますよ。
なお資料館は日曜定休日です。また帰りの船の時間を逃さないように注意してくださいね!
写真:土庄 雄平
地図を見る軍艦島の陰に隠れて、中々焦点が当たりにくいものの、実は今でもかつての佇まいが色濃く残る「高島」。日本の近代化を支えた炭鉱跡や、その労働者の集合住宅、溝や壁に至るまで、そこに刻み込まれた歴史を垣間見ることが可能です。
その一方で現代では、釣り人と猫で活気づき、美しい高島海水浴場を有すなど、過去の無機質な島の姿から一新した風景も広がります。
高島を反時計回りで一周し、現代から過去へタイムスリップするかのような島旅へ出掛けてみてはいかがでしょうか?
住所:長崎県長崎市高島町
アクセス:長崎汽船(長崎〜伊王島〜高島)/長崎港から船で30〜40分
※長崎港から1日に往復それぞれ8便あり。詳細は関連MEMOをご参照ください。
2019年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/19更新)
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