スペイン・サンティアゴ巡礼で歩きたい「フランス人の道」5選

スペイン・サンティアゴ巡礼で歩きたい「フランス人の道」5選

更新日:2020/02/24 09:05

木村 岳人のプロフィール写真 木村 岳人 フリーライター
スペインの西の果てに位置するサンティアゴ・デ・コンポステーラ。バチカン、エルサレムと共にカトリック三大聖地のひとつに数えられており、中世から現在まで数多くの巡礼者を集めています。

その巡礼路はヨーロッパ中に張り巡らされていますが、現在、最もメジャーなルートは世界遺産にもなっている「フランス人の道」です。全長800kmに及ぶその道のりから、特にオススメしたい情緒豊かな5区間を紹介します。

最初の難関、ピレネーの国境越え「サン・ジャン〜ロンセスバリェス」

最初の難関、ピレネーの国境越え「サン・ジャン〜ロンセスバリェス」

写真:木村 岳人

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「フランス人の道」はその名の通り古来よりフランス人が多く歩いてきた道であり、スタート地点はピレネー山脈のフランス側の「サン・ジャン・ピエ・ド・ポール」。巡礼者たちはここからスペインを目指してピレネー山脈へと向かいます。このルートはかつてナポレオンがスペインへ侵攻する際に使用した道筋でもあることから「ナポレオンルート」とも呼ばれています。

レポエデール峠まではひたすら上り坂が続きます。序盤は基本的に舗装された車道ですが、傾斜が急な未舗装路を歩く箇所もあります。巡礼の序盤にしてはややハードな道のりですが、風景を楽しみながらマイペースに進みましょう。道沿いには開けた牧草地帯が広がっていて眺めが良く、その景色を見るだけでも来て良かったと思うことでしょう。

最初の難関、ピレネーの国境越え「サン・ジャン〜ロンセスバリェス」

写真:木村 岳人

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中間地点を過ぎた辺りで、巡礼路は完全未舗装の山道へと入ります。ここまで来れば国境までもう一息。路肩には古い十字架や石積の避難小屋があったりと、歴史を体感できる道のりです。

最初の難関、ピレネーの国境越え「サン・ジャン〜ロンセスバリェス」

写真:木村 岳人

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国境を越えてスペインに入り、レポエデール峠を越えて下っていくと、やがて森の中にたたずむ「ロンセスバリェス」に到着します。中世の頃より巡礼者を受け入れてきた修道院で、現在もほとんどの巡礼者がここに宿泊します。歴史的な修道院に宿泊できるというのもサンティアゴ巡礼者の特権ですね。

<サン・ジャン・ピエ・ド・ポール〜ロンセスバリェスの基本情報>
住所:Saint-Jean-Pied-de-Port, Pyrenees-Atlantiques, France
アクセス:バイヨンヌから電車で約1時間30分
このルートの所要時間:26km、約8時間

古代ローマの石畳が残る「プエンテ・ラ・レイナ〜エステーリャ」

古代ローマの石畳が残る「プエンテ・ラ・レイナ〜エステーリャ」

写真:木村 岳人

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「フランス人の道」と、もうひとつのピレネー越えルートである「アラゴンの道」が合流する町「プエンテ・ラ・レイナ」から「エステーリャ」までの区間では、丘の上に点在する村々が周囲の畑と相まって美しいたたずまいを見せています。

古代ローマの石畳が残る「プエンテ・ラ・レイナ〜エステーリャ」

写真:木村 岳人

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また、途中の町「シラウキ」からは、なんとローマ帝国によって築かれた石畳を辿ります。村の出口にはローマ橋も残されており、その後の時代の洗練された石橋とはひと味違う、荒々しくも素朴な味わいを醸しています。

古代ローマの石畳が残る「プエンテ・ラ・レイナ〜エステーリャ」

写真:木村 岳人

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古代ローマ時代の石畳は2km以上続いており、往時の道筋を辿ることが可能です。2000年前から人々が連綿と歩き続けてきた石畳を歩けるなんて、実にロマン溢れる体験ではないですか。

<プエンテ・ラ・レイナ〜エステーリャの基本情報>
住所:Puente la Reina, Navarra, Spain
アクセス:パンプローナからバスで約1時間
このルートの所要時間:22km、約5時間30分

丘陵を貫く一筋の巡礼路「ナヘラ〜サント・ドミンゴ」

丘陵を貫く一筋の巡礼路「ナヘラ〜サント・ドミンゴ」

写真:木村 岳人

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ワインの産地として有名なラ・リオハ州に入ると、「フランス人の道」は緩やかな丘陵地帯を進みます。ブドウ畑や麦畑が広がる斜面を一筋の巡礼路が通る眺めはまるで絵画のよう。

丘陵を貫く一筋の巡礼路「ナヘラ〜サント・ドミンゴ」

写真:木村 岳人

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特に「ナヘラ」から「サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサーダ」までの区間は美しい麦畑が広がっており、まさにリオハを代表する巡礼路の風景だといえます。

<ナヘラ〜サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサーダの基本情報>
所在地:Najera, La Rioja, Spain
アクセス:ログローニョからバスで約30分
このルートの所要時間:21km、約5時間

どこまでも空が広がるメセタの台地「ラベ〜フロミスタ」

どこまでも空が広がるメセタの台地「ラベ〜フロミスタ」

写真:木村 岳人

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「フランス人の道」の後半では「メセタ」と呼ばれる高原台地を歩きます。その中でも「ラベ・デ・ラス・カルサダス」から「フロミスタ」などいくつかの区間は車道から離れた位置を通っており、中世から変わらない巡礼路の風景を残しています。

その風景は実に雄大で素晴らしいものですが、歩いても歩いても先が見えない真っ直ぐな道である上、遮るものがない中で強烈な太陽光が容赦なく照り付ける、精神的にも肉体的にも辛い区間でもあります。

どこまでも空が広がるメセタの台地「ラベ〜フロミスタ」

写真:木村 岳人

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しかし、快晴の日に見上げる空は突き抜けるように青く、まるで宇宙が落ちてきそうな非現実的な雰囲気。苦労を遥かに上回る、素晴らしい風景を目にすることができることでしょう。

<ラベ・デ・ラス・カルサダス〜フロミスタの基本情報>
所在地:Rabe de las Calzadas, Castilla y Leon, Spain
アクセス:ブルゴスからバスで約10分タルダホス下車、徒歩約30分
このルートの所要時間:52km、2日(1日目:約7時間、2日目:約6時間)

最後の難所「ベガ・デ・バルカルセ〜オ・セブレイロ」

最後の難所「ベガ・デ・バルカルセ〜オ・セブレイロ」

写真:木村 岳人

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メセタを抜けると巡礼路は山がちになり、その先に「セブレイロ峠」が待ち受けています。カスティーリャ・イ・レオン州とガリシア州との境に位置する峠で、「フランス人の道」最後の難所として知られています。

最後の難所「ベガ・デ・バルカルセ〜オ・セブレイロ」

写真:木村 岳人

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巡礼路は「ベガ・デ・バルカルセ」から山道へと入り、九十九折の登山道を上っていきます。やがて開けた牧草地帯に出て、尾根沿いのトラバース道を進んでいくと、峠の集落「オ・セブレイロ」に到着です。

最後の難所「ベガ・デ・バルカルセ〜オ・セブレイロ」

写真:木村 岳人

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オ・セブレイロには石積の家屋が密集して建ち並んでおり、中にはパジョーサと呼ばれる藁葺屋根の円形家屋も見られるなど、伝統的な集落景観が保存されています。

<「ベガ・デ・バルカルセ〜オ・セブレイロ」の基本情報>
住所:Vega de Valcarce, Leon, Spain
アクセス:ポンフェラーダからバスで約45分
このルートの所要時間:12km、約4時間

世界中の人々が集まる「フランス人の道」でサンティアゴ巡礼を満喫しよう!

いわばカトリック版のお遍路といえるサンティアゴ巡礼。その代表的な巡礼路である「フランス人の道」は巡礼者の数が多く、道標や巡礼宿も豊富で実に歩きやすいルートです。

サン・ジャン・ピエ・ド・ポールからサンティアゴまで通しで歩くとなると約一ヶ月の日数が必要ですが、途中でパンプローナ、ログローニョ、ブルゴス、レオンといったアクセスしやすい都市を経由しますので、何回かに分けて歩くことも可能です。

ヨーロッパのみならず世界中から巡礼者が集う「フランス人の道」。巡礼路沿いの風景のみならず、地元の料理やワインを楽しんだり、たくさんの巡礼者と交流したりと楽しいことが盛りだくさん。ぜひ一度、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

2019年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。

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