岐阜県下呂市金山町は、飛騨地方の南の端に位置する山あいの町。飛騨地方と美濃地方の国境の町として、また飛騨街道の宿場町として栄えてきました。町には飛騨川と馬瀬川が流れ、清流に囲まれた町でもあります。
その金山町には、昭和の懐かしい風景が残る路地が多く残されており、地元では「筋骨(きんこつ)」と呼ばれています。筋や骨のように絡み合う人間の体にたとえてそう呼ぶとか。今回は、飛騨高山駅の観光案内所で入手できる「筋骨ガイドマップ」を片手に、じっくりと路地裏を歩いてみましょう。
金山町には伏流水や湧水が湧き出ている個所がいくつかあります。飛騨街道の道沿いにも、手押しポンプがあります。残念ながら水質検査を受けていないので、飲料向きの水ではありませんが、それでもポンプで水を汲むという、今となっては貴重な体験ができます。
町内には写真のような地下水が湧き出る水場があり、地元の水利組合によって管理されています。水源に近いほうから、一号池、二号池となっており、四号池まであります。
一号池は飲み水専用、二号池は冷やし物専用、三号池が食器や野菜洗い、四号池が洗濯用と分けられています。
それではさっそく「筋骨」を巡っていきますが、「筋骨」めぐりには「筋骨ガイドマップ」は必携です。列車で来訪される方はJR飛騨金山駅で、お車の方は国道41号沿いにある「ドライブイン飛山」で手に入れることができます。
地図を片手に進むと、入るのをためらってしまうような細い路地が見えてきます。家と家の間にある幅1メートルほどの道が「筋骨」。おそるおそるですが、進んでみることにしましょう。
地図を何度も見て、この細い路地が「筋骨」であることは間違いないのですが、このまま通っていいのか迷ってしまいます。
金山町の「筋骨」は、かつては国が所有する道だったもの。この1メートルにも満たない細い路地が、国の所有だったとは信じられません。
金山町は2004年に下呂市と合併し、その際に「筋骨」は下呂市の所有となりました。それでも立派な市道なのです。私道ではありませんので、観光客のみなさんも堂々と通行することができます。
細い道あり、石造りの小さな橋あり、石段あり、民家の軒先をかすめる路地あり、日向ぼっこする猫もいたりして、まるで映画のセットのようです。
「筋骨」巡りをしていると、昭和レトロを感じられるスポットにも出会います。昭和63年まで実際に営業していた銭湯の建物は、男湯の中に入ることもできます。
銭湯内部は、番台、脱衣所と木製ロッカー、タイル張りの浴槽、当時の料金表や牛乳瓶などがそのまま残されています。
昭和59年当時の料金表には、大人100円、小人40円の表記があります。今から35年前の物価がわかります。
銭湯周辺もかなりせまい「筋骨」が迷路のように入り組んでいます。民家の玄関前を失礼しながら進みますが、市道とわかっていても、進むのにためらうぐらいの細い路地ですし、実際には、民家の敷地内なのでは?と思うようなところもあります。
車が通ることができる飛騨街道と、郵便局前の劇場通りの間は、「筋骨」めぐりのまさにハイライト。地下道のような空間になっていて、両サイドの家を見上げるように進みます。「筋骨」に面した部屋を地下室とすると、このエリアの家々は3階建ての構造になっていることに気づきます。
狭いだけでなく、低い道もあります。背の高い人や外国人の方などは身をかがめて進まないとぶつかってしまいます。「筋骨」めぐりはこのようなアトラクション的な魅力もあり、実際に外国人の観光客も増えているんですよ。
「筋骨」以外にも見どころがありますので、「筋骨」めぐりに疲れたら、ランチやお茶休憩をするのもおすすめです。
「清水楼(せいすいろう)」という看板がある建物は、もともとは1990年代後半まで営業していたうなぎ屋。明治初期の建造で、通し柱のない木造3階建てのお城のような造りをした建物です。
お茶の時間には、明治初期創業の老舗の和菓子屋「餅倖(もちこう)」を訪れてはいかがでしょう。昔ながらの製法で作られた「ひだもち」や、丹波の黒豆をふんだんに使った「黒豆大福」などが有名。歩き疲れた体に、やさしい甘さがうれしいです。
飛騨金山のお土産なら、資料館も併設された造り酒屋「奥飛騨酒造」もおすすめ。山田錦を100%使った純米吟醸酒「初緑」、ワイングラスでおいしい日本酒アワードで金賞を受賞した「特撰大吟醸 奥飛騨」など、銘酒の品ぞろえが豊富です。
住所:岐阜県下呂市金山町大船渡679-1 (金山町観光協会)
電話番号:0576-32-3544
アクセス:名古屋駅から高山本線特急で90分、飛騨金山駅下車すぐ
2019年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索