海のある奈良!福井県・若狭「小浜」で国宝と名勝庭園を巡ろう

海のある奈良!福井県・若狭「小浜」で国宝と名勝庭園を巡ろう

更新日:2019/11/29 10:11

モノホシ ダンのプロフィール写真 モノホシ ダン 総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
福井県小浜市は、古くから大陸との交易や文化交流の玄関口として機能し、嶺南地方の政治や文化の中心地として大いに栄え、あまたの寺社が建てられました。いまも数多く残る古寺、名刹により“海のある奈良”とも呼ばれています。若狭・小浜で、国宝や国指定名勝庭園を有する古刹をめぐり、悠久の時を超えた美しさと力強さに心を癒されてみませんか?

若狭路きっての名刹「明通寺」

若狭路きっての名刹「明通寺」

写真:モノホシ ダン

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小浜の古刹めぐりでは、最初に若狭路きっての名刹「明通寺」に行ってみましょう。明通寺は、真言宗御室派の寺院で、平安時代の806年(大同元年)に征夷大将軍・坂上田村麻呂によって創建されたと伝えられます。場所は、小浜の市街地より東寄りの山中にあり、その立地から老杉幽谷の美を感じさせます。

江戸時代後期の再建とされる山門は、ややきつい石段を上がったところにあり、上層と下層に分かれ、下層には仁王像を安置しています。晩秋は、周囲の紅葉が見事です。

若狭路きっての名刹「明通寺」

写真:モノホシ ダン

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山門に安置されている2体の金剛力士像は、鎌倉時代の1264年(文永元年)に造られたといわれる像で、山門と同じく市指定文化財。憤怒の表現も巧みで、すさまじい気迫を感じさせます。安置されて約750年間、侵入しようとする邪気を打ち払う大切な役目を担って、寺の玄関口を守ってきました。写真は、阿形像です。

若狭路きっての名刹「明通寺」

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夏にはスイレンの花が美しい林泉回遊式庭園の池面には、山門や鐘楼がリフレクションしてまるで鏡池のような景観を楽しむことができます。

福井県内で唯一国宝に指定されている明通寺の本堂と三重塔

福井県内で唯一国宝に指定されている明通寺の本堂と三重塔

写真:モノホシ ダン

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山門をくぐると、本堂まではゆるやかな坂や石段で少しずつ上がっていきます。本堂に上がる石段の手前は、樹幹を通して本堂をおさめることのできるおすすめのフォトスポット。

福井県内で唯一国宝に指定されている明通寺の本堂と三重塔

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階段を上りきると、本堂とその奥に三重塔が見えます。鎌倉時代中期に再建された本堂と三重塔は、福井県内では唯一、国宝に指定されています。本堂は、正面側を蔀戸(しとみど)とした住宅風の外観です。ちなみに蔀戸は、水平に吊り上げて開閉する、格子などを取り付けた板戸のことで、平安時代頃から住宅建築で使われ始め、やがて寺社にも広まっていきました。

本堂の内部には、中央に本尊薬師如来坐像と両脇には、隆三世明王(ごうざんぜみょうおう)立像、深沙大将(じんじゃたいしょう)立像が林立し、いずれも国指定重要文化財。

降三世明王は、五大明王の一尊で、その足下には大自在天(ヒンドゥー教の神シヴァ)とその妃・鳥摩(ウマー)が踏みつけられています。また、深沙大将は、玄奘三蔵が天竺へ行く途中に、砂漠に現われ守護したと伝えられ、『西遊記』に登場する沙悟浄のモデルになりました。本堂では、お坊さんによる説明がありますので、説明後に巨大な迫力の重文仏像をじっくりと観察しましょう。

福井県内で唯一国宝に指定されている明通寺の本堂と三重塔

写真:モノホシ ダン

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本堂の奥に凛としてそびえる三重塔は、総高約22m。軒下にまわって垂木と組物が整然と並ぶ荘厳なただずまいを感じてみてください。

<明通寺の基本情報>
住所:福井県小浜市門前5-21
電話番号:0770-57-1355
拝観受付:9:00〜17:00 (冬季は16:30まで)
拝観料金:500円
アクセス:JR小浜線「小浜駅」からレンタサイクルで約40分 車利用の場合は、JR東小浜駅から約10分 舞鶴若狭自動車道小浜ICから約15分

四季折々の花が白砂の枯山水庭園を彩る「萬徳寺」

四季折々の花が白砂の枯山水庭園を彩る「萬徳寺」

写真:モノホシ ダン

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国指定名勝の庭園を持つ寺院で、春はツツジ、秋はモミジなど小浜の花の名所として名高いのが「萬徳寺(まんとくじ)」です。高野山真言宗の寺で、戦国時代には若狭武田氏の祈願所となり、若狭国唯一の駆け込み寺となりました。ちなみに“駆け込み寺”とは、江戸時代において、夫との離縁を達成するために妻が駆け込んだ寺のことです。

四季折々の花が白砂の枯山水庭園を彩る「萬徳寺」

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萬徳寺は、江戸時代初期に若狭藩主酒井氏の命により庭園が築造されました。庭園の鑑賞には、茅葺屋根の書院から眺めるのがおすすめです。書院は、江戸時代初期のもので、上段の間をとり、藩主の休憩の用に供しました。

四季折々の花が白砂の枯山水庭園を彩る「萬徳寺」

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庭園は、枯山水庭園で、山畔を築山(埋石式築山)に仕立て、広く敷きつめた白砂が幽邃の感を深くしています。中央に据えられた巨石は、真言密教の根本仏である大日如来を表し、多数の小石組みを諸仏に見立てた金剛界曼荼羅の庭園です。

素朴でおだやかな微笑みをたたえた「本尊阿弥陀如来坐像」

素朴でおだやかな微笑みをたたえた「本尊阿弥陀如来坐像」

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ほかに庭園のビュースポットとしては本堂に上がる階段前から。ここからの眺望もおすすめです。

素朴でおだやかな微笑みをたたえた「本尊阿弥陀如来坐像」

写真:モノホシ ダン

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本堂では、本尊阿弥陀如来坐像(国指定重要文化財)を拝みましょう。平安時代後期の作で、桧の一木造り。素朴でおだやかな微笑みをたたえ、台座まで垂れる衣のひだは流麗で、平安前期の仏像に多い翻波式の彫法を今に伝えています。

<萬徳寺の基本情報>
住所:福井県小浜市金屋74-23
電話番号:0770-56-2308
拝観受付:9:00〜17:00
拝観料:400円
アクセス:JR小浜線「小浜駅」からレンタサイクルで約30分 車利用の場合、JR東小浜駅から約10分 舞鶴若狭自動車道小浜ICから約15分

オシャレな和モダンな洋食屋さん「キッチンラグー」

オシャレな和モダンな洋食屋さん「キッチンラグー」

写真:モノホシ ダン

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小浜の国宝と名勝庭園めぐりでおすすめの昼食場所が、「キッチンラグー」。オシャレな和モダンの建物で、国道27号線から萬徳寺に行く途中の右側にある洋食屋さんです。駐車場も広く出入りしやすいです。

オシャレな和モダンな洋食屋さん「キッチンラグー」

写真:モノホシ ダン

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店内は、落ち着いた雰囲気で、カウンター席のほかにセミコンパートメント席もあってゆったりとランチを楽しむことができます。

オシャレな和モダンな洋食屋さん「キッチンラグー」

写真:モノホシ ダン

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人気メニューはハンバーグプレート。写真は、本日のランチで、カニクリームコロッケです。パンかライスかどちらかを選ぶことができ、パンは焼き立てのアツアツで嬉しい。

この付近では、食事をできるお店が少ないので、小浜の国宝と名勝庭園めぐりの際には、イチ押しのお店です。

<キッチンラグーの基本情報>
住所:福井県小浜市竜前5-13-1
電話番号:0770-56-1131
営業時間:ランチ11:30〜14:00 ディナー18:00〜22:00
定休日:水曜日
アクセス:JR小浜線「小浜駅」からレンタサイクルで約25分 車利用の場合、JR東小浜駅から約15分 舞鶴若狭自動車道小浜ICから約10分

若狭・小浜は心洗われるみほとけの里

いかがでしたか。本文ではご紹介できませんでしたが、若狭・小浜の国宝と名勝庭園を巡りでは、ほかにも同時に訪ねてみたい古刹・名刹が目白押しです。

萬徳寺の近くにある「神宮寺」は、毎年3月2日の奈良・東大寺への“お水送り”神事が有名です。萬徳寺と同じ、高野山真言宗の「多田寺」は、眼病に霊験あらたかな名刹です。「若狭国分寺」は、聖武天皇の勅命により諸国に建立された国分寺のひとつ。春日仏師の作といわれる薬師如来が鎮座しています。

この機会に併せて参拝してみてはいかがでしょうか。

2019年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/11/23 訪問

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