写真:湯川 カオル子
地図を見る山本五十六は明治17年(1884年)、旧長岡藩士、高野家の六男として生まれました。父が56歳の時の子供だったため、五十六と名付けられます。海軍士官だった31歳のとき、長岡藩の家老だった山本家を継承し山本性になりました。山本五十六記念館のすぐ近くには五十六の生家跡地があり、山本記念公園として整備されています。
戊辰戦争の際(1868年)、長岡藩は新政府軍と戦闘になり、城下町の8割以上が焼失。祖父は戦死、父も負傷します。いっぽう山本家も、当主の帯刀が23歳で勇名を馳せるほどの人物ながら、捕えられ処刑されます。長岡武士の子孫である五十六は、まさに戦の悲劇を背負う家系でした。
写真:湯川 カオル子
地図を見る五十六の生家は戊辰戦争後、焼野原になった高野家跡地に建てられました。その後太平洋戦争で空襲に遭い焼失したため、現在の建物は復原されたものですが、その様子から、五十六の少年時代はとても貧しかったことがうかがえます。
生家は、玄関が開放されている時は中の見学が可能です。五十六の写真や資料などが展示されています。
写真:湯川 カオル子
地図を見る公園の銅像は、五十六の死後、霞ヶ浦の海軍航空隊本部前庭に設置された全身像で、進駐軍の取り壊しを恐れ、胸部から分断した後、霞ヶ浦の湖底に沈められました。その後、引き揚げられた胸像は長岡に運ばれ公園に設置された後、ブロンズ像に鋳直しました。
<山本記念公園の基本情報>
住所:新潟県長岡市坂之上町3-3
アクセス:長岡駅から徒歩8分
写真:湯川 カオル子
地図を見る山本五十六記念館は、長岡駅から徒歩10分ほど、記念公園からも2分の場所です。
五十六は海軍兵学校に入校し、エリートコースを歩みます。特にアメリカ駐在時には国力の差を痛感。海軍内で対米戦争に反対します。1939年、実戦部隊を指揮する最高責任者、連合艦隊司令長官に任命された後も、日米開戦を回避しようとつとめました。
写真:湯川 カオル子
地図を見る展示室には肖像画や直筆の書、愛用品、妻礼子との婚礼写真などが展示され、五十六の生涯や人となりを知ることができます。
1941年になると、日本は太平洋戦争へと舵を切ります。連合艦隊司令長官という立場から、五十六は不本意な戦争を指揮することになりました。12月8日のハワイ・真珠湾(パールハーバー)攻撃こそ成功しますが、翌年6月のミッドウェー海戦で大敗を期して以降、日本は敗戦へと向かいます。
そして1943年4月18日、前線基地の視察途中だった五十六は、パプアニューギニアのブーゲンビル島上空でアメリカ軍機により撃墜され、戦死します。展示室の中央にあるのが、撃墜された海軍機「一式陸攻」の左翼です。このほか企画展示コーナーには、五十六が連合艦隊司令長官になって座乗した、戦艦長門の巨大な軍艦旗も展示されています。
写真:湯川 カオル子
地図を見る記念館では、五十六に関する書籍やお土産もそろいます。長岡藩の家訓で、五十六が好んだ「常在戦場」の文字が書かれた扇子のほかに、『山本五十六のことば』(新潟日報事業社発行)では、「やって見せ 説いて聞かせて やらせてみせ 讃めてやらねば 人は動かぬ」などの名言が紹介されています。
写真:湯川 カオル子
地図を見る記念館には、4月から12月までの土日祭日なら無料の観光ボランティアガイドが常駐します。ガイドさんに案内していただくと、その生涯をより詳しく知ることができるのでおすすめです。また有償ですが、見学予定日10日前までに長岡観光コンベンション協会へ申し込むと、通年、案内をしていただけます。
<山本五十六記念館の基本情報>
住所:新潟県長岡市呉服町1-4-1
電話番号:0258-37-8001
アクセス:長岡駅より徒歩10分
駐車場:普通車6台
ガイドに関するお問い合わせ:0258-32-1187(長岡観光コンベンション協会)
写真:湯川 カオル子
地図を見る映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六」に、印象的なシーンがあります。戦艦長門の食堂で、役所広司演じる五十六が、旨そうに故郷長岡の水まんじゅうを食べるシーンです。氷水に浸かった饅頭に砂糖を山盛りかけて頬張る。周囲の士官たちが、その様子に眉をひそめるというシーンです。
実は、水まんじゅうというお菓子はありません。長岡駅から徒歩3分ほどにある、老舗和菓子店「川西屋本店」の酒饅頭を使い、五十六が考案した食べ方です。
写真:湯川 カオル子
地図を見る川西屋本店は、地元で愛される小さなお店。昔ながらの製法で手造りされた酒饅頭は2種類。アンコの入った甘いお饅頭と、塩味のあずきが入る甘くない「塩あずき」です。創業は、五十六がまだ小学生だった130年ほど前。当時砂糖は高級品で、貧困だった五十六は、甘くない塩あずきを食べていたようです。
塩あずきは、米麹を発酵させたフカフカの生地に、小豆がしょっぱい大人の味。お値段もワンコインとリーズナブル。生地の美味しさと、塩味の小豆の風味が楽しめます。
一緒に試して欲しいのが、酒饅頭の生地だけでできた「きりぱん」。表面に塗られた醤油との相性も抜群で、横幅は30cmほどと食べ応え十分。食べ方も無限大で、マヨネーズをつけたりマーガリンを塗って食べるのもおすすめです。
甘党だったという山本五十六は、砂糖が買えるようになった士官時代に、水まんじゅうを思いついたと言われます。
材料は酒饅頭の塩あずきと、冷水、砂糖。饅頭を入れた深めの容器に、好みの分量の砂糖をかけます。そこに冷水をかけて少し置くと出来上がり。
※お店で水まんじゅうの再現はおこなっていません。
写真:湯川 カオル子
地図を見るできあがった水まんじゅうはたっぷりと冷水を含んでふやけ、かけた砂糖と塩味の小豆が絶妙。饅頭というよりも、今まで食べたことのない新しい食べ物です。酒饅頭を買って自宅で作ってみてください。酒饅頭は翌日になると生地が堅くなってしまうので、水をかけて柔らかくして食べたとも言われています。
<川西屋本店の基本情報>
住所:新潟県長岡市殿町1-7-2
電話番号:0258-32-4323
アクセス:長岡駅より徒歩3分
提供元:新潟県観光協会
https://niigata-kankou.or.jp/昭和20年8月1日、長岡は空襲を受けます。市中心部の8割が焼失し、市長を含む1,488人が亡くなり、終戦を迎えます。そして翌年の8月1日から長岡復興祭(現在の長岡まつり)がはじまりました。今では日本三大花火大会に数えられ、2日と3日に犠牲者の慰霊と鎮魂を込めた花火大会が開催されます。
なお長岡市と真珠湾があるホノルル市は、2011年に姉妹都市になり、毎年3月初旬に開催されるホノルルフェスティバルで長岡花火の打ち上げが行われます。
戊辰戦争で焼野原となり、貧困にあえいだ幼年時代。そんな五十六も、不本意な戦争を指揮して命を落とします。彼が愛した故郷、長岡も空襲で壊滅。五十六の生家も焼失しました。そんな長岡復興のシンボルとして、花火大会には100万人もの観光客が訪れます。
今も「山本元帥」と呼ばれ、長岡市民に親しまれる山本五十六。菅田将暉が主演する映画「アルキメデスの大戦」では舘ひろしが、米映画「ミッドウェイ」では豊川悦司が演じています。
長岡を訪れる際はぜひ山本五十六記念館に立ち寄り、川西屋本店の「酒饅頭塩あずき」を試してみてください。時間があれば、駅の近くにある「長岡戦災資料館」も立ち寄る価値があります。すべて巡っても2時間から3時間ほどですが、平和について考える有意義な旅になるでしょう。
2020年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/4/20更新)
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