まずはこの素晴らしい建築を存分に味わっていただきたいです!早稲田キャンパス内の少し奥まった一角に立つ坪内博士記念演劇博物館は、世界中の演劇や映像に関する写真、図書、建築模型、衣装、小道具、人形、文字資料など膨大なコレクションを持つ演劇博物館です。早稲田大学教授であり、日本の演劇の近代化に中心的な役割を果たした坪内逍遥の古稀、そしてシェイクスピア作品の全訳という偉業を記念して、1928年に開館しました。建築は坪内博士の発案により、16世紀イギリスの劇場「フォーチュン座」を模して設計されています。建物の中心正面一階部分は屋外に張り出した舞台となっており、舞台裏手の建物が楽屋、両翼が桟敷席、建物正面の広場が観客席になるという、とてもおもしろい舞台建築です。もちろん、屋内展示室もその歴史を今に伝えるとても雰囲気のある内装となっており、私たちを楽しませてくれます。
演劇に興味がある人はもちろん、敷居が高くてちょっと近づきにくいなあと感じている人にも、演劇の魅力や奥深さを十分に味あわせてくれる博物館です。
早稲田キャンパス正門から入ってすぐ左手にある會津八一記念博物館では、歴史ある大学の軌跡をさまざまな資料から知ることができます。會津八一は、早稲田大学の卒業生で後に教授も務めた歌人・美術学者・書家。會津は大正時代には大学に博物館の設置を提唱していましたが、長い時間を経て近年になってやっと博物館の開館を見たことから、會津を記念した博物館として館名にその名を残しています。
コレクションは、東洋美術資料、近代美術作品、アイヌ民族資料、古鏡、建築関係資料、茶道具、書籍など多岐にわたります。またこの博物館は建築そのものが非常に魅力的です。1925年に完成したこの建物は、当初大学図書館として使われていました。扉や床、柱、窓に至るまで、工夫のこらされた意匠で豪華に装飾されています。圧巻は階段踊り場の壁面に飾られた横山大観・下村観山合作の巨大な「明暗」という作品です。直径4メートルを超す巨大な画面に描かれた暗雲から立ち上る太陽は、学問によって暗闇に光がもたらされることを表し、図書館として使われていたこの建物だけでなく大学そのものの威光すら放っているかのようです。
一室は大学史資料センターが持つ大隈記念館となっており、早稲田大学の創設者・大隈重信の生涯と栄光を記念した展示室になっています。大隈重信の声を記録したレコード音声を聞くことのできる貴重な体験は、ここでしかできないのではないでしょうか。
大学から一歩足を延ばして、早稲田キャンパス近くの美術館も訪問してみましょう。
大隈記念講堂から10分ほど歩いたビルの中に、センチュリーミュージアムという美術館があります。「文字文化の恒久の保存と継承」を理念とし、東洋美術を中心としたコレクションを形成するセンチュリー文化財団が運営する「書」を中心とした美術館です。
字の歴史は人の歴史です。絵画や書籍、古文書などにより文字が伝えられるのはもちろん、文字文化を支える漆工、金工、彫刻作品をも射程範囲とし、広く「書」にまつわる独特なコレクションを楽しむことができる美術館になっています。
こうした隠れ家的な心の安らぎを得ることができる小さく穏やかな美術館で、日常のせわしなさを一時忘れてみるのもいいかもしれませんね。
早稲田キャンパスから神田川を渡り、武蔵野台地の面影を今に残す目白台の森の中に、控えめながら、しかし堂々たるその姿を見せる美術館、永青文庫があります。肥後熊本の戦国大名細川家の江戸屋敷跡に立つこの美術館には、細川家が代々受け継ぐ歴史資料や美術品を中心に、明治以降に収集された美術工芸品や外国書籍など、とても貴重なコレクションが収蔵され、他の美術館ではなかなかお目にかかることのできない格式高い展示品をいくつも目にすることができます。
森の中に静謐ながら堂々とそびえるその白い建築は、旧細川侯爵家の家政所(事務所)として昭和初期に建設されたもので、時代を感じる非常に興味深い美術館体験を約束してくれます。
早稲田大学が輩出する人材は非常にバラエティに富んでいますが、ユニークな発想をもって世間を楽しませてくれる人を多く生み出しているような気がします。その理由のひとつが、こうした重厚な歴史文化で魅了してくれるミュージアムが早稲田にあるからなのかもしれませんね。お仕事で、観光で、そしてもちろん学業で早稲田大学にいらした際、こんなに素敵なミュージアムがあることを思い出してください。日常から少し外れた小さな非日常の体験を与えてくれること、間違いなしです。
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/12/14更新)
- 広告 -