写真:風祭 哲哉
地図を見る臼杵は大分県の南部にある豊後水道に面した町。その表玄関である臼杵駅は、大分駅から特急で30分ほどの場所にありますが、この駅に降り立つとまずびっくりするのが駅名標にある大きなハートマーク。
これは多くの人に臼杵を好きになってもらうために、「うすき」の「すき」を「ハートマーク」に変えて様々な取り組みを行っている「う(すき)プロジェクト」と臼杵駅とのコラボレーション。最近はインスタ映えの聖地として人気です。
今回はこのう「すき」駅を起点に観光をスタートしましょう。
写真:風祭 哲哉
地図を見る臼杵駅から徒歩10分ほどで臼杵城址の大手門公園に到着します。
臼杵城はキリシタン大名大友宗麟の居城で、現在は天守閣は残っていませんが、本丸、二の丸跡は臼杵公園として整備され、頂上からは臼杵の美しい町並みが一望できますので、まずは上まで登ってみましょう。
大手門公園の目の前には臼杵市観光交流プラザがあります。
臼杵観光はここでレンタサイクルを借りて回るのがおすすめ。通常のシティサイクルは無料ですが、臼杵は坂道も多く、石仏まで自転車で行く場合は距離もありますので、有料の電動サイクルがおすすめです。
<臼杵市観光交流プラザの基本情報>
住所:大分県臼杵市大字臼杵100-2
電話:0972-63-1715
写真:風祭 哲哉
地図を見る臼杵市観光交流プラザのすぐ近くにあるのが「旧臼杵藩主 稲葉家下屋敷」。 ここは臼杵藩主だった稲葉氏が廃藩置県後に東京に居を移したのちも里帰りの際に住めるよう町の有志が建設したお屋敷で、屋敷内や庭園を拝観することができます。
またこのすぐ横にある「臼杵市子ども図書館」の建物をぜひ見てください。これは臼杵出身の実業家、荘田平五郎氏が大正時代に寄贈した図書館の建物を再生したものですが、木造りの暖かな雰囲気をそのまま残した素晴らしい図書館です。
写真:風祭 哲哉
地図を見る臼杵のまちなかは、江戸初期の古絵図にある町割りが現在もそのまま残り、商家や武家屋敷、神社仏閣などの昔の建物が今なお現役で活躍しています。
その町並みの中心部にあるのが「野上弥生子文学記念館」。臼杵で酒造を営む名家の長女として誕生し、大正から昭和にかけて日本を代表する女流文学者となった弥生子の生家の一部が文学記念館となっています。
<野上弥生子文学記念館の基本情報>
住所:大分県臼杵市浜町538
電話:0972-63-4803
写真:風祭 哲哉
地図を見るまた、臼杵は醤油・味噌や地酒などの醸造業を主要産業として発展した町。野上弥生子の生家「小手川酒造」や同じく江戸末期創業の造り酒屋「久家本店」など白壁の町並みが特徴的です。
なかでも圧巻は「久家の大蔵」。これは久家本店が貯蔵庫として使用していた酒蔵で、現在は改修されギャラリーとして開放され、蔵の外壁や内部には大友宗麟時代の臼杵と交流があったポルトガルにまつわる壁画が描かれています。
臼杵の魅力のひとつはこの「白壁」。まるで時代劇のセットのような白壁が、今もそのまま残っているのが臼杵の町並みなのです。
写真:風祭 哲哉
地図を見るまちなか散策中にぜひ挑戦してほしいのが、醸造の町臼杵ならではの「みそソフト」。なかでもカニ醤油「カフェかぎや」の味噌ソフトは濃厚味噌ソースにサラサラの味噌パウダー、特製味噌クランチが乗った本格的なものですよ。
写真:風祭 哲哉
地図を見る臼杵まちなか散策のハイライトは「二王座歴史の道」。
二王座というのは、阿蘇の火山灰が固まってできた凝灰岩の丘のこと。岩を削り取って道を通したため、この一帯は曲がりくねった坂道が続いています。
まちなかのメインストリート「八町大路」から二王座に向かう辻を入ると、かつての上級武家屋敷が立ち並び、多くの寺が集まっているのがわかります。
写真:風祭 哲哉
地図を見る二王座歴史の道の坂を登り切ったあたり、旧真光寺の前は「切り通し」と呼ばれ、臼杵を代表する景観のひとつです。
旧真光寺は無料のお休み処となっていて、屋敷の2階に上ると窓からは二王座歴史の道や切り通しの景観が広がります。
<旧真光寺の基本情報>
住所:大分県臼杵市二王座
電話:0972-63-1111(臼杵市産業観光課)
写真:風祭 哲哉
地図を見る臼杵は大林宣彦監督の映画「なごり雪」の舞台としても知られていて、そのヒロイン「雪子」の家として登場した黄色い瀟洒な洋館もこの一帯にあります。
大林監督は臼杵をこよなく愛し、二王座をはじめとする臼杵の美しい情景を作品の中にふんだんに取り入れていますが、この坂のある古い町並みの雰囲気は、初期の大林作品に登場した尾道になんとなく似ているかもしれません。
そう、「坂」も臼杵の魅力であることに間違いありません。
写真:風祭 哲哉
地図を見る臼杵の魅力を十分に満喫したいなら、歴史ある古民家での民泊はいかがですか?
臼杵のまちなかの一画にある「ケレシュ」は昼は整体&ビンテージ雑貨のお店、夜は民泊「USUKI TRAVEL GUIDE」として営業しています。
この建物はかつて大林監督が惚れ込み、喫茶店「クランク・イン!」として使っていた古民家。一時は解体して駐車場になる計画でしたが、臼杵出身のホストがこれを借り受けてUターンし、2018年にオープンしたものです。
写真:風祭 哲哉
地図を見る1階はビンテージ雑貨のショップと整体ルーム、キッチンとカウンターがあり、客室は2階。古民家らしく開放感のある高い天井が特徴的で、最大4人まで過ごすことができます。
民泊なのでホストも同じ建物で生活していますが、臼杵での静かな夜を過ごすつもりであればさほど制約はありません。
また希望者にはホスト手作りの朝食が提供されます。カウンター越しに臼杵の情報を交換しながらの食事も思い出に残るはずですよ。
<USUKI TRAVEL GUIDEの基本情報>
住所:大分県臼杵市臼杵513
電話: 080-1773-8228
写真:風祭 哲哉
地図を見る臼杵のグルメと言えば豊後水道の新鮮な地魚。特にとらふぐが有名で、市内には多くのふぐ料理店がありますが、リーズナブルに本格的な活ふぐ会席が楽しむなら「割烹みつご」などがおすすめですよ。
写真:風祭 哲哉
地図を見る「臼杵石仏」は市街から約6キロほど。臼杵駅からの路線バスもありますが、季節が良ければレンタサイクルで30分ほどかけてのんびりと行くのもいいかもしれません。
平安後期から鎌倉時代にかけて彫刻されたこの臼杵石仏は、その数も、質の高さも国内屈指の石仏群で、国宝に指定されています。石仏群は4群に分かれていますが、1時間程度でひととおりめぐることができます。
写真:風祭 哲哉
地図を見る臼杵石仏では夏の火まつりと冬の年越供養法要の際、石仏参道に並べられた松明と、石仏群の前に設置された篝火に火が灯され、周辺一帯が幻想的な世界に包まれます。機会があれば、こうした行事の時に合わせて行ってみるのもいいかもしれませんね。
写真:風祭 哲哉
地図を見る以上で臼杵モデルコースの紹介は終わりますが、臼杵石仏の火祭り同様、臼杵の幻想的な火、と言えば「うすき竹宵」を忘れてはいけません。
これは毎年11月第1土日に行われる伝統行事で、臼杵の町並みが無数の「竹ぼんぼり」で飾られ、多くの人で賑わいます。
臼杵の隠れた魅力に、こうした「火」が創り出す幻想的なお祭りがあります。時期が合えば、1日目の夜はこの「うすき竹宵」を散策するのもおすすめですよ。
― 臼杵では古いものを壊して新しく「町興し」をするのではなく、残すべき古い物で新しい町づくりを行う「町残し」をしたい ―
映画監督の大林宣彦さんは、前臼杵市長のこの考えに深く共感し、自らも臼杵の「町残し」のために尽力しました。そんな人々の思いこそが、この臼杵の不思議な魅力を創り出しているのかもしれません。
そう考えると1泊だけでは物足りないかもしれませんね。2回目は長期滞在、最後は臼杵に移住…なんてこともあるかもしれませんよ(笑)
2019年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2025/1/19更新)
- 広告 -