写真:雲本 らて
地図を見る「南部坂」は東京メトロ・赤坂駅から徒歩5分ほどの場所にあります。坂道に隣接してアメリカ大使館宿舎が隣接しており、坂上あたりは出入口もあるため警備員の目もあり物々しい雰囲気ですが、坂下のほうに行けば落ち着いた静かな雰囲気の場所になります。坂道自体は、比較的急な勾配に加えてカーブする形状をしており、隣接するアメリカ大使館宿舎の立派な石垣や周辺の高層ビルもあいまって独特な坂道風景を堪能することができます。
写真:雲本 らて
地図を見る坂名については、江戸時代初期に南部家中屋敷が坂の途中にあったことに由来するという説が有力です。またこの坂道は、昔から年末によく放送されるドラマ「忠臣蔵」の名シーンといわれる「南部坂雪の別れ」の舞台としても知られている場所です。
「南部坂雪の別れ」とは、主君の仇討を決意した大石内蔵助が、雪の中を南部坂の坂上にある屋敷に身を寄せていた主君の妻である瑤泉院(ようぜいいん)を訪れて、最後の別れをつげるという話です。ただこれはかなりおおざっぱなあらすじですので、詳しく知りたい方はDVD化されている忠臣蔵(および動画サイト)などで内容を確認してみてください。
写真:雲本 らて
地図を見る南部坂の坂下には、他の坂道でもあまり見かけない昭和45年に建立された石碑もあります。
また坂下からすぐの場所には久國神社があり、境内には遊具もあるという変わった神社です。そして敷地内からは隣接する崖地をみることができ、しかもその上にはこのあたりに住んでいる人しかじっくり見ることができないアメリカ大使館宿舎の建物も実は見えます。ちなみにアメリカ大使館宿舎は名建築としても有名で設計者はハリー・ウィーズ&アソシエイツとのこと。
なおプチ情報として、南部坂はタレントのタモリさんが自著『タモリのTOKYO坂道美学入門』の中でお気に入りの坂道のひとつとして取り上げています。
<南部坂の基本情報>
所在地:東京都港区赤坂2丁目と六本木2丁目の間
アクセス:東京メトロ・赤坂駅より徒歩5分および東京メトロ・六本木一丁目駅より徒歩5分
写真:雲本 らて
地図を見る南部坂の坂上あたりにある氷川神社の境内には、「浅野土佐守邸跡」と書かれた案内板もあります。わかりやすくいえば、瑤泉院(ようぜいいん)が身をよせていた屋敷がこの地にあったといわれており、「南部坂雪の別れ」とも縁深い場所とも言えます。
なお、氷川神社の境内には樹齢400年の巨大なイチョウもあります。400年前ということは瑤泉院がいた当時からこの樹木はあったのかもしれません。
また氷川神社まわりは地域の高低差を感じることのできる坂道がたくさんあります。神社入口前も坂道になっていますし、本氷川坂や氷川坂と呼ばれる坂道も神社に隣接しています。なお本氷川坂については、LINEトラベルjpの過去記事ですでにとりあげていますので、詳しく知りたい方はこの記事の最後にある「この記事の関連MEMO」に載せたリンクをたどって読んでいただければと思います。
写真:雲本 らて
地図を見る南部坂の坂上から徒歩でいうと2分以内の場所に、幕末から明治にかけて幕臣として活躍した勝海舟が晩年を過ごした邸宅跡があります。また現在は同じ場所に平成28年9月に建立された「勝海舟・坂本龍馬の師弟像」があります。
そして、現地は師弟像のある場所から南東方向にあるアークヒルズに向かって下っている坂道になっています。師弟像については近くで眺めるのもよいのですが、実は坂道の途中から坂上のほうをみると師弟像とともに、秋には黄色く色づいた銀杏の大木がよく見えます。
写真:雲本 らて
地図を見る師弟像が坂上にある無名坂の途中から別れて東方向に下っている坂道も紹介しておきましょう。この坂道は途中に「福吉坂ビル」というビルが隣接しています。このことからも「福吉坂」という坂名がこの坂道についているからだろうと思う方もいるかもしれないですが、実はここ無名坂なのです。坂道散歩にはそういう楽しみ方もあるのです。
ちなみに「福吉坂」という名の坂道は偶然なのかこの近所に同名の坂道があります。
写真:雲本 らて
地図を見る「福吉坂ビル」が隣接している坂道の坂上あたりから更に坂上方向を眺めると遠くに六本木ヒルズの高層ビルが見えます。またそういう視点でこの坂道を坂上から下っていくと界隈の有名高層ビルや電波塔が坂道の景色とあわせて遠景に見ることができます。ぜひ試してみてください。
写真:雲本 らて
地図を見るせっかくなので、福吉坂ビルが隣接している坂道で登場した「福吉坂」のことも紹介しておきましょう。「福吉坂」は、東京メトロ・赤坂駅からすぐの場所の繁華街にある赤坂みすじ通りを南に歩くとその突き当りにあります。飲食店の入居した雑居ビルの間にあり、繁華街から奥の住宅マンションが立ち並ぶエリアに上る階段です。
坂名については、このあたりの古い地名が赤坂福吉町だったことに由来するという説が有力です。
<福吉坂の基本情報>
所在地:東京都港区赤坂2丁目
アクセス:東京メトロ・赤坂駅より徒歩3分
最近はドラマのロケ地を聖地めぐりと称して訪れることが当たり前になりつつあります。今回の南部坂についても、実はドラマ「忠臣蔵」自体が虚実入り交じった話である以上、近年の聖地めぐりの元祖のひとつともいえるかもしれません。ぜひそんな視点で今回紹介した坂道や場所をまわってみてください。また違ったおもしろさが味わえると思います。
2019年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/19更新)
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