写真:塚本 隆司
地図を見る現在、日本国内に37カ所ある休暇村。どこも景観の良い好立地にありながら、リーズナブルな価格で楽しませてくれる宿として人気です。ここ休暇村近江八幡は1962(昭和37)年から営業する休暇村第1号の宿。琵琶湖湖畔に位置し、天然温泉もあって料理もうまいと、休暇村の中でも高い人気を誇る宿です。
1981(昭和56)年に建てられた西館と1998(平成10)年に建てられた東館の2棟があり、合わせて95室が全室レイクビュー。他にもキャンプ場を備えており、隣接する宮ヶ浜水泳場には年間5万人が訪れています。
写真:塚本 隆司
地図を見る写真は東館に9室ある洋室タイプ。部屋内の設備は過不足無く用意されています。ポットに入れられた「琵琶湖のおいしい水」は確かにうまく、ありがたい。そして、何より気になるのが窓際にあるイスの向き。レイクビューが自慢の現れです。
こちらが窓から見える風景です。目の前の島が日本で唯一の淡水湖に浮かぶ有人島「沖島」です。天気がよければ琵琶湖の対岸まで見渡せます。
写真:塚本 隆司
地図を見る休暇村近江八幡には温泉があります。近江八幡市初の天然温泉「宮ヶ浜の湯」として2003(平成15)年に誕生して以来、観光客や地元の人にも親しまれています。
西館には内風呂、東館には内風呂(写真)と露天風呂・サウナがあり日帰り入浴もできます。
東館の露天風呂からの眺めは、まさに絶景です。ぜひ、明るい時間の入浴をオススメします。
写真:塚本 隆司
地図を見る夕食はお待ちかねの「信長饗応膳」です。いったいどのような料理なのか、歴史背景から紹介しましょう。
織田信長は、武田攻めに功労があった徳川家康らを安土城に招き、1582(天正10)年5月15日からの3日間もてなします。接待役は明智光秀。各地から山海の美味・珍味を集めた膳で昼夜用意しますが、信長の勘気に触れ途中で供応役を解任。備中高松で毛利勢と戦う羽柴秀吉の援軍を命じられ、本能寺の変へとつながっていきます。
供応役解任については諸説あり、献立が気に入らなかったとか、京風の味付けを信長が薄く感じた、鮒寿司が苦手だったなどさまざま。本当に料理が原因なら「食べ物の恨み」が本能寺の変の引き金といえるのかもしれません。
15日と16日の献立については「天正十年安土御献立」として記録があり、2012(平成24)年に発足した再現プロジェクトで、レシピが公表されています。その時に協力した休暇村近江八幡ならではの再現メニューが「信長饗応膳」です。
内容は、接待初日の15日昼に出された5つの膳とお菓子、合わせて33品を元に20品+近江牛のすき焼きになっています。
写真:塚本 隆司
地図を見る近江牛のすき焼きは当時の膳にはありませんが、休暇村近江八幡の名物。西館には近江牛を専門に扱う販売店「村のお肉屋さん」を併設しているほどです。
近江牛は、江戸時代には「養生薬」として、味噌漬や干し肉として彦根藩から将軍家へ献上されていました。幕末、桜田門外の変の原因について、水戸藩主・徳川斉昭(なりあき)が彦根藩主の大老・井伊直弼に「近江牛を送って欲しい」と頭を下げてまで頼んだのに断られたため、という風聞があるほど。食べ物の恨みはやっぱり怖いです。
写真:塚本 隆司
地図を見る信長饗応膳は現代風にアレンジされているので、当時のままではありません。写真の左にある鮒寿司は、沖島で漬けたもので、臭みは全くといっていいほどない美味。これだけでお酒が進みます。
写真:塚本 隆司
地図を見る20品全てを紹介するわけにはいきませんので、特徴的なものについて当時との違いを解説しましょう。
ウナギのかば焼きは「うちまる」と記されてあり、京都宇治川のウナギをぶつ切りにし蒲焼きにしていたようです。右の器の中で丸くなっているのは、祝い物に使う「巻きスルメ」。当時は硬いスルメでしたが、食べやすいよう軟らかいスルメに変えてあります。
写真:塚本 隆司
地図を見る当時の資料には、刺身はマナカツオと記されています。旧暦の5月15日は今の6月頃なので、ちょうど旬を迎えたところでしょう。信長饗応膳でも、季節の魚を提供してくれます。
家康の大好物といわれるタイは、毎回何らかの料理が組み込んであったようです。醤油の原点といわれる醤(ひしお)や塩、砂糖、酢を魚に応じて使い分けていたらしく、信長饗応膳ではショウガ酢が添えられています。
他には、東北にも力が及んでいることを見せつけるためホヤを取り寄せ、宮中でも高貴な人でないと使えない氷を入れて「ホヤの冷や汁」を出しています。きっと自身の権力を示す意図があったのでしょう。
写真:塚本 隆司
地図を見る食後にはデザート(お菓子)もありました。写真は求肥(ぎゅうひ)餅と豆飴(まめあめ)。豆飴はきなこに水飴を入れ練り合わせたものです。
ボリューム満点の信長饗応膳。当時の最高級レシピをアレンジした、現代でも豪華なメニューです。信長に変わって大切な人をもてなすのも良し、もてなしてもらうのも良しです。
写真:塚本 隆司
地図を見る休暇村近江八幡の朝食はバイキング形式で、メニューも豊富です。一番のオススメは、近江の佃煮コーナー。シジミやうろり(ゴリの稚魚)の佃煮、海苔を炊きたての近江米と一緒に頬張る幸せは格別で食べ過ぎること間違いなし。お土産として人気の近江牛カレーも試食感覚で頂けます。
写真:塚本 隆司
地図を見るもちろんパン食の人も大丈夫。地元野菜を使ったメニューも種類が豊富で、焼きたての卵焼きやローストビーフなど、どんな好みの人にも満足できる内容です。
写真:塚本 隆司
地図を見る外の景色も最高なので、つい長居をしてしまう朝食タイムです。
滋賀県は戦国期の舞台として歴史ファンには見どころがたくさんあります。2019年10月22日(火・祝)〜2020年12月まで開催される「戦国ワンダーランド滋賀・びわ湖」を満喫するのに、豪華な食事と気持ちのいい温泉で過ごせる休暇村近江八幡はオススメです。
2019年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
取材協力:公益社団法人びわこビジターズビューロー、一般社団法人近江八幡観光物産協会
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