写真:咲田 みつる
地図を見る一宮(いちのみや)町は千葉県の九十九里エリアの南端に位置する。九十九里浜の中でも特に良質な波で知られ、2020年には東京オリンピックのサーフィンの競技が行われる注目の町だ。
一宮町観光の目玉の一つが「玉前神社」への参拝。「かねきち」はその参道にある、神社に最も近い和菓子店。江戸時代創業で、一宮で営業する和菓子店としては最も長い歴史を持つ。黒でシックにまとめられた外観からも、老舗の風格が漂っている。
写真:咲田 みつる
地図を見る「かねきち」と書かれた藍色の日よけ暖簾の奥に進むと、6坪ほどのこじんまりした店内に、練り切り菓子や焼き菓子など、地元の人も手土産に選ぶ和菓子の逸品が並ぶ。
いちご大福は、昭和62年(1987年)12月の販売開始以来、予約殺到の大人気商品である。いちごの銘柄は非公開となっているが、デパートなどで贈答用に販売されている大粒いちごを使用している。食べた瞬間、果汁が口の中ではじける。大福の上部にちょこんと赤い角が突き出ており、それがチャームポイントになっている。
かねきちの大福の特徴は、「白餡スタイル」そして「極薄のお餅」。いちご大福の餡が、黒か白かは地域によっても異なるが、かねきちでは「いちごの美味しさを活かすためには白餡」と考え、独自の白餡の開発を行ってきた。主張しすぎない上品な甘さで、いちごの甘酸っぱさを引き立てている。
今でこそ和菓子界で市民権を得たいちご大福だが、昭和62年当時は、まだフルーツ大福自体が珍しかった時代。白餡との絶妙なバランスが、口コミで人気を博したため、他店からの視察を受けることも多く、おのずと「白餡スタイル」の発信基地になったという。
「極薄のお餅」に関しては、もはや「羽衣」という表現がふさわしい。「主役はあくまでいちご。一口目でいちごにたどり着いてほしい」という職人のこだわりがある。手包みでしか実現できないため、大量生産には向かない。また鮮度を大切にするため、作りおきや通販はしない。その希少価値がまたファンの心をとらえる一因となっている。
いちごは農産物であるため、大きさには多少のばらつきがあるが、大福自体は直径4.5〜5cmほど。また重さは70〜80gほどもある。大人が大きく口を開けて食べても、とても一口では食べきれない。(上部画像の鶏卵は、大きさ比較の為のもので、かねきちの商品ではありません)
大福は天然色素(紅麹)により、ほんのり赤く色づけされており、それがまた食欲を誘う。消費期限は当日限り。口を大きく開けて、思い切りかぶりつこう!
写真:咲田 みつる
地図を見るいちご大福は12月頃から4月頃までの季節限定商品である。気になる予約方法だが、1週間先分まで電話および店頭で受付している(月曜定休、電話受付は8:00〜17:30、営業時間は8:30〜17:30)。
出来れば一宮への旅を早めに決めて、1週間前〜前日までに予約&受取時間を決定しておきたい(受け渡しは10:00〜16:00)。また予約受付が一定数に達し一旦終了していても、キャンセルが出た時に公式サイトやツイッター・Facebookなどで告知があるので、こまめにチェックして再トライしよう。
前日までに予約ができなかった場合も、あきらめるのはまだ早い。いちごの仕入れ数が予測を上回った場合のみ「当日販売分」の購入が可能となる。電話受付開始の8:00〜に電話をかけ、「お取り置き」をしておこう(通話中であることが多いので、繰り返しかけるつもりで準備されたい)。
<一の宮元祖 いちご大福の基本情報>
2個:税抜600円(予約価格・税抜590円)
3個:税抜900円(予約価格・税抜870円)
6個:税抜1680円(予約価格・税抜1620円)
10個:税抜2770円(予約価格・税抜2670円)
※箱づめでの販売。1個売りはしていない。価格はいずれも令和2年(2020年)1月現在
いちご大福のオフシーズンに訪れた場合にも、かねきちには複数のフルーツ大福がラインナップされている。その代表が「キウイ大福」だ。こちらもいちご大福に負けない豪快さで、キウイフルーツが1/2個包まれている。「白餡スタイル」&「極薄のお餅」いずれも、いちご大福のコンセプトを引き継いでいる名品である。
キウイ大福はかつて、いちご大福に次ぐかねきちの人気商品であった。しかしいちご大福に専念する為、キウイ大福の生産は、長い間休止され、幻の存在となっていた。満を持して復活したのは平成30年(2018年)。いちご大福の季節と反転させて、4月下旬〜12月頃まで販売されている。
<キウイ大福の基本情報>
1個:税抜250円(個装パッケージ)
※価格は令和2年(2020年)1月現在
提供元:和菓子司 かねきち
http://kanekiti.com/index.htmlかねきちのいちご大福を語る上で欠かせないのが、規格外サイズの存在だ。メガサイズ以上が店頭に並ぶかどうかは、当日の仕入れ次第で決まる。そのため予約ができないが、個装パッケージで1個売りに対応している。
上部の画像は、左が通常サイズのいちご大福、右が「メガいちご大福」である。
提供元:和菓子司 かねきち
http://kanekiti.com/index.html一見して、いちごの大きさによる価格設定のようにも思えるが、果肉に空洞がある場合もあるので、いちごの重さで区分されている。当日店頭にあればぜひ挑戦したい。
<メガサイズ以上のいちご大福の基本情報>
メガいちご大福:1個 税抜 400円
ギガいちご大福:1個 税抜 450円
テラいちご大福:1個 税抜 490円
ペタいちご大福:1個 税抜 540円
レジェンドいちご大福:1個 税抜 590円
※価格はいずれも令和2年(2020年)1月現在
生菓子の紹介が続いたが、職場などへのお土産としては、ある程度日持ちする焼き菓子などのラインナップがおすすめだ。代表的な商品として、「上総の月」「九十九里最中」「玉前さざれ石」などがある。特に上総の月に関してはメディアで取り上げられることも多い。
平成22年(2010年)には上皇上皇后両陛下(当時の天皇皇后両陛下)に、「上総の月」を献上した経緯もある。上品な黄味餡の焼き菓子で、贈答にも適している。
<上総の月の基本情報>
1個:税抜150円(箱づめは6個から)
※価格は令和2年(2020年)1月現在
写真:咲田 みつる
地図を見る箱詰めを待っている間には、ぜひ店内を見渡してみよう。内祝いや進物などの商品も紹介されている。フルーツ大福人気以外にも、老舗和菓子店として長い年月地域に根差して営業してきたことが感じられる。
写真:咲田 みつる
地図を見る古い道具などが小粋にディスプレイされているのも、おもてなし精神の延長線にある演出だ。
画像の右上は、かつて製品を運んだ「おかもち」(側面に電話番号が記載されている)。左上のばんじゅう(製品などを入れる箱)に関しては、現在も使用することもあるそうだ。
写真:咲田 みつる
地図を見る店内の正面には弘化4年(1847年)に、京都嵯峨野御所に菓子職としてとして認められた「お墨付き」が掲示されている。かねきちの創業の詳しい年代は不明だそうだが、弘化4年(1847年)以来、少なくとも172年以上続いている歴史ある名店と言える。オリンピックイヤーやいちご大福の時期に限らず、ぜひ訪れて手土産を手に入れたい。
住所:千葉県長生郡一宮町一宮3019番
電話番号:0475-42-3233
アクセス:
(電車の場合)JR外房線 上総一ノ宮駅下車徒歩7分
(マイカーの場合)国道128号線「玉前神社前交差点」を玉前神社方面へ奥に50m
駐車場:専用駐車場は無いため、以下を利用
一宮商店街の駐車場(徒歩1分)または 一宮町商工会の駐車場(徒歩1分)
※店舗前はスクールゾーンの為、日曜日を除くAM8:30まで、車の通行は不可
イートインスペース:なし
決済方法:現金・クレジットカード・交通系電子マネー・PayPay、Alipay対応
2020年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/10/15更新)
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