写真:松縄 正彦
地図を見る渋谷駅から徒歩で約13分の所にある國學院大學博物館。ここは神道に関する展示もある珍しい博物館です。大学付属の博物館ですが、無料で入場でき、通年開館しています(休館日はホームページでご確認下さい)。
入り口正面にショップがあります。展示に関連したグッズや書籍などが多数販売されています。興味ある資料も揃っていますので、博物館見学後、ぜひ立ち寄って下さい。
ショップの右手に入り口があります。早速入ってみましょう。
写真:松縄 正彦
地図を見る館内は4つの展示室から構成されています。写真のホール右手前に「企画展示室」があり、訪問時には天皇即位に関連する大嘗祭についての展示が行われていました。常設展示室としては写真ホール右手奥に「神道展示室」、左手奥に「考古展示室」が、更にホール左手前に「校史展示室」があります(常設展示室も展示替えがあります)。
また神道展示室は基本的に写真撮影ができません、その他については撮影可否の指示がありますので、撮影する場合は、これに従って下さい。
写真:松縄 正彦
地図を見る神道展示室と考古展示室の境界部、博物館の中央近くに展示されているのが、奈良の三輪山の「山ノ神遺跡」を再現した展示です。
三輪山は、山自体に神が宿ると考えられ、麓の大神神社は山に向かって拝殿が設けられ、本殿がないのが特徴です。山ノ神遺跡は、古墳時代のもので、磐座とみられる大きな石の周辺で何らかの祭祀が行われたものと考えられています。古代祭祀や神道の起源に迫る遺跡として展示されています。
写真:松縄 正彦
地図を見る山ノ神遺跡展示の周りには、ここで発見された祭祀道具のレプリカが展示されています。これらは、禁足地を含む大神神社の境内(三輪山周辺)から発掘されたもので、子持勾玉、須恵器の土器など古墳時代以降の祭祀に関わる道具と考えられています。
神道展示室では、神道が展開していく流れがパネルで展示され、また大嘗祭で用いられる大嘗宮の模型が展示されています。さらに神社建築の造りや"吉田神道"で用いられた護摩壇を復元したものが展示され、展示物と神社・神道との関連性を深く理解できます。余談ですが吉田神道の9代目「吉田兼見」は戦国の武将、明智光秀や細川忠興と深く交流していた事で有名です。
写真:松縄 正彦
地図を見る考古展示室では旧石器時代の石器から近代の板碑まで展示されていますが、展示物を通して日本文化の精神やその流れが意識できるように配慮されています。ここでは旧石器〜縄文時代の展示をご紹介しましょう。
まず旧石器時代に日本列島で造られた石器ですが、石器を造ったときの削り後が荒々しく残っています。旧石器時代に生きた人間のたくましさや、逆に自然の厳しさなどが迫力とともに伝わってきます。
写真:松縄 正彦
地図を見る日本列島では1万数千年前から縄文時代が始まります。考古展示室では、縄文前期から晩期までの1万年以上に渡る土器形状の変化が一目で分かるように一堂に展示してあります(写真はその一部)。単なる容器としての土器から、何らかの目的や意思が反映されて造られるように変化してゆく様子が圧倒的な物量で展示されています。
土器の断片的な展示は他でも良く見かけますが、この展示を見ると、縄文中期に多様性が開花した事が良く分かります。単純で非常に分かりやすい展示ですが、なぜ中期に多様性が出現したのでしょう?また、この土器が発展して山ノ神遺跡で発見された祭祀道具(須恵器の土器)へと繋がって来るのだと考えると興味深く、面白く感じられます。
写真:松縄 正彦
地図を見る神を祀るために捧げられた道具として、鏡、勾玉、剣が用いられてきました。考古展示室では古墳時代に発掘された各種の美しい勾玉など(写真)や、神獣鏡や内行花紋鏡など、各種銅鏡が展示され、その違いなども詳しく見る事ができます。
古墳時代の古墳祭祀と平行して「神道」の原型が形成されたといわれます。自然信仰から神道形成に従って、各種のモノが豊富に揃って来る事が展示内容から分かりますが、これは祀る内容がより複雑化し、儀式化した事によるのでしょうか?いろんな事を考えさせられます。
写真:松縄 正彦
地図を見る大学の名前にもある"国学"とは日本の伝統文化の成り立ちとその本質を解明する学問です。本校はこの国学を追究した「皇典講究所」を設立母体としており、その歴史が校史展示室(写真)で展示されています。ちなみにこの皇典講究所や民間の各種団体がもとになって設立されたのが、全国8万社の神社を包括する組織である「神社本庁」です。
校史展示室では、他に国学者の系譜がわかるパネルも展示されています。
写真:松縄 正彦
地図を見る皇典講究所の初代総裁が有栖川宮幟仁(たかひと)親王であった事から國學院大学は有栖川宮家と関係が深く、同家に伝わる勲章や印章など珍しい品物をこの展示室で見る事ができます。ちなみに幟仁親王は、明治天皇の書道師範で、明治政府の基本方針である「五箇条の御誓文」を揮毫されました。写真は威仁(たけひと)親王がご愛用された印章です。
他に、柳田国男の高弟で、民俗学者、あるいは歌人として知られる折口信夫が箱根仙石原に建てた山荘の書斎「業隠居」もここに復元展示されています(折口信夫は当大学国文科の卒業生)。
なお道路を隔て博物館の向かい、大学構内に天照大御神が祀られた神殿があります。手水舎もきちんと蓋がされ、常にきれいな水を保つように配慮されているのが印象的です。
住所:東京都渋谷区東4-10-28
電話:03-5466-0359
アクセス:渋谷駅から徒歩約13分(明治通りを直進し、東交番前で左折し直進)
2020年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください
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(2024/3/18更新)
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