ワシントンDCの新名所「国立アフリカンアメリカン歴史文化博物館」

ワシントンDCの新名所「国立アフリカンアメリカン歴史文化博物館」

更新日:2020/01/14 13:12

いしい ひいのプロフィール写真 いしい ひい 元旅行会社勤務、アメリカ旅行ライター、フードコーディネーター
2016年9月にオープンした「国立アフリカンアメリカン歴史文化博物館」は、ワシントンDCの新名所!黒人の歴史や生活が詳しく紹介され、文化やスポーツにおける功績を称えた見応えのある博物館です。入場制限のため予めウェブサイトからエントリーパスを取得する必要があり、ワシントンDCで最も入館が困難な博物館とも言われます。
何故こんなにも人気なのか?博物館の見どころをご紹介しましょう。

国立アフリカンアメリカン歴史文化博物館とは?

国立アフリカンアメリカン歴史文化博物館とは?

写真:いしい ひい

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国立アフリカンアメリカン歴史文化博物館(National Museum of African American History and Culture、以下NMAAHC)は、黒人の歴史、生活、文化に特化したアメリカで唯一の国立博物館。

その独特な外観にまず目を引かれます。館内には38,500点を超える展示物を所蔵。2016年9月24日、オバマ大統領による式典でオープンしてから、いちやくワシントンDCの新名所になりました。

オープンしてから年月も経過したというのに、いまだに大人気。スミソニアン博物館群の一つで無料なのですが、入場制限のため、予めウェブサイトから入館時間を指定されたエントリーパスを取得しておく必要があります。

国立アフリカンアメリカン歴史文化博物館とは?

写真:いしい ひい

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ワシントンDCのナショナルモールにある博物館は、一般的に石灰石か大理石で作られていますが、NMAAHCは繊細な幾何学模様が施されたアルミニウムの格子窓で装飾されています。
西アフリカのアートをイメージしたデザインで、太陽の光を受けて輝いているさまは、これだけでも素晴らしいアートのよう!

地階からスタート、黒人奴隷と公民権運動の歴史

地階からスタート、黒人奴隷と公民権運動の歴史

写真:いしい ひい

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NMAAHCは地上4階、地下3階もある巨大な造り。入館したら、地階のコンコースレベル3から順に上っていくのがおススメです。
15世紀のヨーロッパの国々による大航海から始まり、労働力としての奴隷制度の説明、南北戦争中のリンカーン大統領による奴隷解放宣言など、時系列で展示が進んでいきます。

奴隷であることから逃れた後に南部の奴隷を北部に逃亡させる手助けを行ったハリエット・タブマンの展示も印象的です。彼女の生涯は、2019年アメリカ映画「ハリエット」にも描かれました。彼女の功績を称えて、その肖像が20ドル紙幣に採用されることが決まっています。

地階からスタート、黒人奴隷と公民権運動の歴史

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奴隷解放宣言の後も、人種隔離政策や差別はそのまま続いていました。電車の中でも公共の場でも学校でも、あらゆるものが人種ごとに分けられ、白人のほうが良い施設を使っていました。
公民権運動が盛り上がる一方で、そのような社会の変化を臨まない白人至上主義が現れたり、人種間の障壁が小さくなるには膨大な歳月が必要でした。

目をそむけたくなるような展示も多々ありますが、それとともにそんな歴史の中で彼らが希望を持ち続けた強さに感動することでしょう。
2008年黒人初のオバマ大統領が誕生したことは、アメリカにとって本当に大きな戦いの成果でした。

このような黒人の歴史が、展示物のみならず、ガイドさんの話やさまざまな映像で詳しく説明されていきます。

人種の多様性が豊かなアメリカを形成していく

人種の多様性が豊かなアメリカを形成していく

写真:いしい ひい

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地階の展示を見終わったら、地上階に進みましょう。
音楽、映画、アート、スポーツ、政治などそれぞれの分野で、黒人がいかにアメリカの社会や文化やスポーツの発展に貢献してきたかが、著名人のエピソードとともに紹介されています。確かに現在のアメリカで、ジャズ、ヒップホップ、ベースボールもバスケも、黒人の活躍なしには考えられません。

写真は、アメリカで尊敬されているケンタッキー出身のボクサー、モハメッドアリの展示。
黒人差別に異を唱えて金メダルを川に投げ捨て、ベトナム戦争に反対して兵役を拒否し、ヘビー級王座もボクサーライセンスも剥奪されながらも、ボクシングを愛した平和主義者。彼の率直な言葉は今でも多くの人々の心を動かします。

人種の多様性が豊かなアメリカを形成していく

写真:いしい ひい

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1階のコロナパビリオンでは、2種類のビデオが順に上映されています。
こちらもアメリカの歴史を知るうえで非常に興味深い内容です。

NMAAHCは、メッセージ性があるミュージアムとも言えます。現在も、単に黒と白だけではない、たくさんの差別がある社会。
「より良い未来、自由と平等のために、黙っていてはダメ。勇気をもって声を上げなさい。」
ここに来ると、そんなメッセージを感じられるのではないでしょうか。

今のところ日本人観光客の姿は少ないですが、是非皆さんに訪れてほしい博物館です。

館内のカフェにも寄ってみよう!

館内のカフェにも寄ってみよう!

写真:いしい ひい

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じっくり見てまわると3〜4時間はかかる充実した内容の博物館、途中お腹もすくはず!館内にはSweet Home Cafeという広々としたカフェテリアがあり、ランチ、飲み物、スイーツなど、充実したメニューです。
ランチメニューは、アメリカ南部の黒人におなじみの料理であるフライドチキンやBBQなどが中心。しっかりした味付けで、ボリュームたっぷりです。

館内のカフェにも寄ってみよう!

写真:いしい ひい

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ちなみに、NMAAHCの隣にあるのは、ワシントンDCのシンボルの一つである、ワシントン・モニュメント。
ワシントンDCのナショナルモールにはたくさんの記念碑や博物館や政府機関が集合し、アメリカの首都としての威厳と魅力にあふれているのです。

国立アフリカンアメリカン歴史文化博物館の基本情報

住所:1400 Constitution Ave NW, Washington, DC 20560
営業時間:10:00 – 17:30

入館は無料ですが、予めウェブサイトからエントリーパスを取得しておく必要があります。取得方法は、下記のいずれかになります。
1.毎月第1水曜日に配布されるエントリーパスを予約する 
2.その日の朝6:30(米東部時間)に配布される当日チケットを予約する。

毎週金曜日の午後と、シーズンオフ(9月〜2月)の平日はエントリーパス不要、予約なしで入館できますが、1〜2時間以上待つ場合があります。

2020年1月現在の情報です。詳しくはウェブサイトでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/12/28 訪問

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