伊賀の歴史的建造物「史跡旧崇広堂」と「旧小田小学校本館」

伊賀の歴史的建造物「史跡旧崇広堂」と「旧小田小学校本館」

更新日:2020/01/18 16:04

モノホシ ダンのプロフィール写真 モノホシ ダン 総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
忍者で有名な三重県伊賀市には、ぜひ訪れたい歴史的建造物の学校が2つあります。ひとつは、江戸時代に藩士の子弟たちが学んだ「旧崇広堂」。そしてもうひとつが、木造2階建ての洋風建築がレトロな印象の「旧小田小学校本館」です。国の史跡でもある旧崇広堂では、創建当時のままの講堂が残され、もうひとつの旧小田小学校本館は、現存する小学校校舎としては三重県で最も古い建物です。伊賀で古風な2つの学校を訪ねてみませんか

国史跡の「旧崇広堂」は伊勢津藩の藩校

国史跡の「旧崇広堂」は伊勢津藩の藩校

写真:モノホシ ダン

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国史跡の「旧崇広堂」は、1821年(文政4年)、伊勢津藩の第10代藩主藤堂高兌(とうどうたかさわ)の時代に、津の藩校雄造館の支校として建てられたものです。

旧崇広堂には、おもに伊賀・大和・山城の領地に住む藩士たちの子弟が通いました。高兌は稀世の名君で、藩士の教育のほかに、善政を敷き、窮乏していた藩財政の立て直しにも成功しました。

写真は、創建当時の建物である表門で、ベンガラ塗で赤門と通称された通用門です。

国史跡の「旧崇広堂」は伊勢津藩の藩校

写真:モノホシ ダン

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表門と同じく、創建当初の建物である玄関棟は、威厳を感じさせる入母屋造の式台玄関と母屋からなっています。母屋は、教師の控室や台所頭以下の事務職の部屋として使われていました。

国史跡の「旧崇広堂」は伊勢津藩の藩校

写真:モノホシ ダン

旧崇広堂は、現存する絵図によると東に文教場、西に武道場があり、間は溝で仕切られていました。現在は文教場部分が残っています。また中庭は、アジサイやサルスベリ、キンモクセイなど四季折々の花を楽しめるスポットになってます。

旧崇広堂いちばんのみどころ「講堂」

旧崇広堂いちばんのみどころ「講堂」

写真:モノホシ ダン

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旧崇広堂のいちばんみどころが「講堂」です。こちらも創建当初の建物で、1854年(嘉永7年)の大地震(安政の伊賀地震)にも倒壊を免れました。生徒たちは玄関からでなく、講堂正面に設けられた3ケ所の階段から直接出入りしていました。

旧崇広堂いちばんのみどころ「講堂」

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講堂の軒下の「崇廣堂」とか書かれた扁額は、藤堂高兌と同じく藩政改革に成功し江戸時代きっての名君として知られる奥羽の米沢藩主・上杉治憲(号は鷹山)の揮毫で、高兌がすでに名君の誉れ高かった治憲に懇願して得られたものです。

なお「崇廣堂」の名前は、『書経』の「功崇惟志、業廣惟勤(功の崇きはこれ志し、業の廣きはこれ勤なり)」の一節からとられたものです。

旧崇広堂いちばんのみどころ「講堂」

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講堂は、7間4面(72畳)の広さがあり、四方から採光を得るために独立して建てられています。教員約10名に学生は約300名で、作文、医学、算術など学科目によって教場を分けるのではなく、この講堂一面で教授されていました。広々とした空間の講堂にたたずんで、当時の藩校の賑わいに思いをはせてください。

<旧崇広堂の基本情報>
住所:三重県伊賀市上野丸之内78番地の1
電話番号:0595-24-6090
開館時間:9:00〜16:30
参観料:大人200円、学生150円、児童生徒100円
休館日:火曜日(休日は開館)、年末年始
アクセス:伊賀鉄道上野市駅から徒歩約5分

三重県で最も古い小学校校舎「旧小田小学校本館」

三重県で最も古い小学校校舎「旧小田小学校本館」

写真:モノホシ ダン

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懐かしさを感じさせる「旧小田小学校本館」は、1881年(明治14年)に建てられたもので、現存する小学校校舎としては、三重県で最も古い建物で、県指定文化財になっています。建物は、寄棟造りの木造洋風2階建てで、屋根は桟瓦葺きです。

最も意匠を凝らしているのが、正面ポーチで、エンタシス風の柱を用い、階上、階下とも吹き放ちになっている点です。吹き放ちとは、柱だけで壁がない空間のことです。

三重県で最も古い小学校校舎「旧小田小学校本館」

写真:モノホシ ダン

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玄関上部には、竜の彫刻がはめ込まれています。また旧小田小学校は当時「啓迪学校(けいてきがっこう)」と呼ばれていました。啓迪という言葉は、中国の書物『書経』の中の「太甲上」の「啓迪後人」という一節からとったもので教え導くという意味です。

三重県で最も古い小学校校舎「旧小田小学校本館」

写真:モノホシ ダン

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屋根中央にある「太鼓楼」は、いかにも洋風建築のシンボルらしく、中には太鼓が吊るされ合図に使われていました。

「昔の教室」や「ギヤマンの色ガラス」も楽しい

「昔の教室」や「ギヤマンの色ガラス」も楽しい

写真:モノホシ ダン

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建物内部には「昔の教室」が復元されています。旧小田小学校が1965年(昭和40年)に廃校になるまで使われていた当時の机を基調として、1945年〜1955年代当時の小学校の教室を再現したものです。

机や椅子は木製で、今では珍しい二人掛け机なども設置されています。さらに机上面には、二人の境界線の刻みあとなどが残っていたり、椅子の前部は座りやすいように斜めに角度がつけられたりしています。黒板は、後のように曲面磁石黒板や上下移動式ではなく、木の板に塗料が塗られたもので、チョークの字はあまり書きやすくはありませんでした。

また、教室に置かれている足踏み式オルガンは、実際にひくこともできます。さらに黒板にチョークで字や絵を描くこともできます。ただし、書いた字や絵はあとで黒板消しで消すようにしましょう。

「昔の教室」や「ギヤマンの色ガラス」も楽しい

写真:モノホシ ダン

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ほかに展示物では、市民から寄贈された約3500点の中から、明治初期から昭和40年代頃までの教科書・賞状・児童作品・学習用具等約300点を展示しています。

「昔の教室」や「ギヤマンの色ガラス」も楽しい

写真:モノホシ ダン

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また2階の窓の一部には、この学校が建築された当時のギヤマンの色ガラスが復元されています。これは建築係がわざわざ神戸市まで出向いて調達したもので、「ギヤマンの学校」として評判になりました。このガラスの向こう側はバルコニーになっています。

さらに、2階の階段の窓にはめられているギヤマンの色ガラスは、太陽が出ている午後3時頃に、建物内部にきれいな影を映し出します。この時間帯に訪れた方は、こちらも必見です。

<旧小田小学校本館の基本情報>
住所:三重県伊賀市小田町141-1
電話番号:0595-21-9957
参館時間:9:00〜16:30
参館料:大人100円、学生50円、児童生徒30円
休館日:毎週火曜日(祝日を除く)、年末年始
アクセス:伊賀鉄道西大手駅から徒歩約8分

散策のあとに美味しい「伊賀牛」をいただくなら

散策のあとに美味しい「伊賀牛」をいただくなら

写真:モノホシ ダン

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伊賀市にやってきたら、やはり名物の伊賀牛をいただきたいものです。おすすめは銀座通り沿いにある「焼肉ステージ昌苑」。“味は究極、価格は家庭的”をモットーにして20余年、伊賀で焼肉店を営んでいます。

散策のあとに美味しい「伊賀牛」をいただくなら

写真:モノホシ ダン

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焼肉ステージ昌苑の伊賀牛は、伊賀の老舗「銀座伊藤精肉店」より仕入れ厳選されたものです。漬けだれにも拘り、上質な砂糖を使った独自配合でのタレは伊賀牛に良くあうようになっています。

写真は「伊賀牛ランチセット」の特上焼肉A(上ロース・上カルビ)で2800円(税込み)。伊賀牛ランチセットは、ライス・ワカメスープ・漬け物・サンチュ・一口デザート付で、ライスとワカメスープは、お替りOKです。リーズナブルな値段で柔らかくて美味しい伊賀牛を堪能してください。

<焼肉ステージ昌苑の基本情報>
住所:三重県伊賀市上野忍町2520-5
電話番号:0595-24-3194
営業時間:
昼11:30〜13:30(入店13:00)
夜16:00〜21:30(入店20:30)
※閉店時間は伊賀牛の仕入れ状況により変動の場合あり
アクセス:伊賀鉄道上野市駅より徒歩約10分

ほかの歴史的建造物とあわせて訪れるのもおすすめ

いかがでしたか。伊賀市の歴史的建造物をめぐる旅では、ほかにも武家屋敷 入交家住宅、武家屋敷 赤井家住宅、俳聖・松尾芭蕉ゆかりの蓑虫庵などがあります。この機会にあわせて訪れてみてはいかがでしょうか。

2020年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2020/01/09 訪問

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