写真:木村 優光
地図を見る「二ヶ領用水」は川崎市を北西から南東へ流れる水路で、読み方は「にかりょうようすい」。東京都と神奈川県の境を流れる多摩川を水源とし、神奈川県川崎市多摩区から川崎市幸区までを流れる、全長約32kmの神奈川県下で最も古い人工用水路です。その歴史は、江戸時代に多摩川から農業用水として水を引いたことが始まり。現在は周辺が宅地開発され、生活用水や憩いの場として利用されています。
「二ヶ領用水」を散策するにあたってオススメのスタート地点は、JR南武線と東急田園都市線が交差する溝の口。溝の口といえば川崎市北部でも屈指の繁華街で、こんなところに風情ある水路なんてあったの?なんて思う方もいるでしょう。しかし溝の口駅から北東へ歩くこと約5分、突如、風情ある水路が姿を見せます。
なお、江戸時代には「二ヶ領用水」を渡るための大きな石橋が溝の口に数箇所存在していました。写真の大石橋もその名残で、付近一帯は脇街道の「溝の口・二子宿」として繁栄していました。そのため、現在の溝の口に賑わいがあるのも納得です。
写真:木村 優光
地図を見る溝の口駅から「二ヶ領用水」を北西へ進むと、小ぶりながらも枝垂桜がたくさん植えられています。溝の口駅から徒歩で約10分くらいの位置で、周囲にはマンションや住宅がたくさん建ち並んでいます。「二ヶ領用水」沿いに咲く枝垂桜は和の風景、現代らしい住宅は洋の風景、両者のコラボレーションが面白いです。
さらに北西へ進むと「二ヶ領用水」が途切れるように見えますが、ご心配なく。ちょうど国道246号線と交わるポイントとなるため、「二ヶ領用水」は一旦地下へと潜ります。国道246号線をまたぐ歩道橋を渡り、さらに進むと、すぐさま「二ヶ領用水」が姿を現します。
写真:木村 優光
地図を見る溝の口駅から「二ヶ領用水」沿いを約1km歩いたポイントには、「久地円筒分水」があります。言葉だけ聞くと、どういう役割のものなのか頭にはてなマークがつくでしょうが、設備のすぐ横には案内があります。
それによると、送水されてくる水の量に変動があっても、次の工程へ流す水量を一定に保つ、いわば小さなダムのようなもの!1941年の製造当時は最先端の技術が施された設備のため、国の有形文化財に登録されています。現在でもあまり類を見ない設備ですので、一見の価値あり!
写真:木村 優光
地図を見るあまり見慣れない円形の「久地円筒分水」、そしてその周囲に咲く桜。無機質な円形状の堰の背後には満開の桜の大木がきれいに並び、まるで額の絵を見ているかのよう!「久地円筒分水」の西側は緑地帯となっていて、シートを広げてお花見をするには最適なスポットになっています。
この「久地円筒分水」付近は水の流れも静かになり、条件がそろえば「久地円筒分水」の周りに咲く桜が水面に映りこむ様子はため息もの!美しすぎてしばらく見ていたくなります。
写真:木村 優光
地図を見る「二ヶ領用水」が東名高速と交わる周辺から北西側は、水路沿いに遊歩道が設けられていて水際まで近づくことができます。頭上には桜並木、足元は水路といった感じで、上下ともに癒し要素のある光景がしばらく続きます。都会でこれだけの素晴らしい眺めを見ることができるのも、「二ヶ領用水」の良いところ!
写真のように遊歩道と水路との境には柵がなく、しかも遊歩道の幅が狭いため、上空の満開の桜に見とれて足元を滑らせないように注意しましょう。といっても、水深はそれほど高いわけではなく、流れも速くはないので、溺れたりすることはないでしょう。
写真:木村 優光
地図を見る東名高速より北西側の「二ヶ領用水」には、水路両側エリアのアクセスを良くするため、所々に水路を跨ぐ橋が設けられています。そのため、水路沿いの遊歩道を歩いていると、それらの橋の下を潜る必要があります。
橋の欄干から遊歩道までの隙間が1m未満の場所も多く、子供でしたら悠々潜ることができますが、大人ですとかなり腰をかがんで潜らなければなりません。しかし、心配ご無用!橋の下を潜るのが辛い場合は、一般道へ行き来できる階段(写真左下)で退避しましょう。退避できる階段は所々に設けられていますよ。
写真:木村 優光
地図を見るJR南武線宿河原駅からほど近い「二ヶ領用水」沿いには、川崎市緑化センターがあります。この付近は中でも一番メジャーな花見スポットとなっていて、広々とした緑地帯も併設されているため、シートを広げてお花見するのも良いでしょう。小さなお子さん連れの場合でも、緑地内には遊具があるので、お花見に飽きたとしてもそちらで遊ばせることも可能!
さらには、水際近くの遊歩道へも容易にアクセスが可能ですので、水遊びも可能!水深は浅く水流も速くないため、危険度はそれほど高くありませんが、小さなお子さんの場合は一人で水の中に入らないよう、十分注意してあげましょう。
写真:木村 優光
地図を見る写真を撮る場合ですと、共通して言えることは「二ヶ領用水」を跨ぐ橋の上から撮るのがオススメ!上から眺める「二ヶ領用水」とそれに覆いかぶさる満開の桜がとても良いバランスで撮れます。それ以外のアングルも絵になるものばかり!もちろん、水際から満開の桜を見上げて撮るのもよし!その場合は、水路に落ちないように十分注意しましょう。
住所:神奈川県川崎市高津区溝の口〜神奈川県川崎市多摩区宿河原付近
アクセス:東急田園都市線溝の口駅より徒歩約5分(溝の口側)
※例年の桜の見頃は3月下旬から4月上旬までです。
2021年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
木村 優光
神奈川県横浜市出身。工学系の大学入学で大阪へ転居。以降、大阪在住歴10年の間、関西の地形を独自で学ぶ。横浜へ戻り、関東と関西の文化の違いに注目する。特に両者の文化の違いを写真で表現しようと試みている最…
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