写真:乾口 達司
地図を見る慶尚北道に位置する「慶州」は、古代、朝鮮半島を支配した新羅の都であったところ。都の上に広がる旧市街地とその周辺地区に点在する歴史的遺構は「慶州歴史地域」の名で世界遺産に登録されており、いまなお発掘調査が進められています。
とりわけ、慶州の街並みを独特なものにしているのが、古墳!新羅の都であったため、付近には歴代の大王やその関係者の古墳が点在しています。
写真は「南山」から慶州の市街地を俯瞰した一枚ですが、街中に見られるこんもりとした土盛りはすべて古墳。慶州の街と古墳とがいかに深く共存しているか、おわかりいただけるでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見る街中を散策しても、ご覧のように、あちらこちらに古墳が見られます。自動車の縦列駐車と古墳群との共存、何ともシュールに感じられませんか?
樹木で覆われた日本の古墳とは異なり、芝生に覆われた円墳なので、墳丘の形もはっきりしていますね。ただし、貴重な文化財なので、墳丘に登らないでください。
写真:乾口 達司
地図を見る交差点の向こうに見える巨大な山のようなものも古墳です。不思議な光景だと思いませんか?
写真:乾口 達司
地図を見る慶州で古墳をご覧になるなら、まずは「大陵苑」に足を運びましょう。12万5400坪という広大な敷地を有する大陵苑には、大小23基の古墳が点在しています。その名は『三国史記』に「大陵に葬られた」と記されている新羅第13代大王・味鄒王の陵墓が苑内にあることにちなみます。
写真:乾口 達司
地図を見る大陵苑で必ずご覧いただきたいのが、写真の「天馬塚(チョンマチョン)」。その名は、翼の生えた馬が天空を駆ける様子を描いた馬具の「泥よけ」が出土したことに由来します。ほかにも、天馬塚からは金冠や腰帯などおびただしい数の副葬品が出土しており、新羅の隆盛を知るのに格好の古墳です。
天馬塚の場合、石室内の見学も可能。石室がどのように築かれているのかを学ぶことができるほか、天馬が描かれた泥よけや金冠などの出土品の複製もご覧いただけます。ただし、石室内の撮影は禁止。ご注意ください。
写真:乾口 達司
地図を見るほかにも、苑内には双円墳である「皇南大塚」などの古墳があり、それらのあいだをぬうように遊歩道が整備されています。古墳を眺めながら、ゆっくり散策しましょう。
<大陵苑の基本情報>
住所:慶尚北道慶州市皇南洞
アクセス:新慶州駅より車で約20分
入園料:有料(大人2000ウォン)
大陵苑の北側にもたくさんの古墳が点在しています。大陵苑の北側に広がっているのは、慶州路東里古墳群と慶州路西里古墳群。こちらも古墳公園として綺麗に整備されていますが、大陵苑と異なり、入園は無料!
写真は慶州路西里古墳群を撮影したものですが、古墳の重なった様子、古墳好きにはたまらない光景ではないでしょうか。ちなみに、一番向こうに見えているのは山です。
写真は慶州路西里古墳群のなかにある「雙床塚」。石の寝台が二台発掘されました。
こちらは「壺棹塚」。朝鮮半島が日本の植民地支配から解放されて以降、韓国側の考古学者によってはじめて発掘調査された古墳で、高句麗とのつながりを示す土器が見つかっています。
<慶州路東里・路西里古墳群の基本情報>
住所:慶尚北道慶州市皇南洞
アクセス:新慶州駅より車で約20分
写真:乾口 達司
地図を見るほかにも、ぜひ訪れていただきたい古墳があります。その筆頭に挙げておきたいのが、こちらの「善徳女王」の陵墓。善徳女王は第27代の王。その名や業績は日本国内でも放送された韓国ドラマ『善徳女王』でご存知の方も多いのではないでしょうか。
女王は仏教を篤く敬い、皇龍寺の九層塔や芬皇寺などの寺院を完成させています。東アジア最古の天文台とも推定されている世界遺産「瞻星台(せんせいだい)」も女王の時代に築かれたといわれています。
女王の陵墓は狼山と呼ばれる小高い丘陵上にひっそりたたずんでいます。
<善徳女王陵の基本情報>
住所:慶尚北道慶州市山皇南洞
アクセス:新慶州駅より車で約30分
写真:乾口 達司
地図を見るこちらは南山の西麓にある「三陵」。その名のとおり、3基の円墳が並んでおり、それぞれ新羅の王の陵墓です。三陵は南山登山の出発地点でもあるため、南山に登ろうという方はあわせてご覧ください。
<三陵の基本情報>
住所:慶尚北道慶州市拝洞
アクセス:新慶州駅より車で約30分
写真:乾口 達司
地図を見る古墳は時間帯によってさまざまな姿を見せてくれます。こちらの古墳は慶州歴史地域にあるもの。夕闇迫る時間帯はこのように見えます。
<慶州歴史地域の基本情報>
住所:慶尚北道慶州市仁旺洞
アクセス:新慶州駅より車で約20分
写真:乾口 達司
地図を見るこちらは慶州路東里古墳群に含まれる「鳳凰台」。その規模から、大王クラスの古墳と考えられていますが、発掘調査がなされていないので、詳細は明らかになっていません。
古墳によっては、夜間、ライトアップされているものもあり、この「鳳凰台」もそのうちの一つ。闇夜に浮かびあがる姿は、昼間とはまた違っていて魅力的ですね。
<鳳凰台の基本情報>
住所:慶尚北道慶州市皇南洞
アクセス:新慶州駅より車で約20分
慶州ならではの古墳群、いかがでしたか?今回、ご紹介した古墳以外にも、新羅建国期の王たちの墓であるといわれる「五陵」など、市街地とその周辺にはさまざまな古墳が点在しています。慶州を訪れ、新羅の隆盛をしのぶことのできる古墳群を見てまわってはいかがでしょうか。
2020年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事を書いたナビゲーター
乾口 達司
これまでは日本文学や歴史学の世界で培った見識にもとづいて数多くの評論や書評を執筆してまいりました。奈良生まれ、奈良育ちの生粋の奈良っ子。奈良といえば日本を代表する観光地の一つですが、地元民の立場からい…
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