再建前でも見所いっぱい…沖縄で「首里城」観光は外せない!

再建前でも見所いっぱい…沖縄で「首里城」観光は外せない!

更新日:2021/02/06 14:54

万葉 りえのプロフィール写真 万葉 りえ レトロ建築探訪家、地域の魅力伝え人
2019年10月末、多くの方が心傷めた、首里城正殿という貴重な文化遺産が喪失してしまったニュース。しかし首里城を守る人々は立ち上がり進んでいます。
守礼門をはじめとするいくつもの門や城内最大の祭祀の場所。そして堅牢な石垣や展望台など、首里城公園には見所がいっぱいです。さらに整備された“見せる復興”では、今だからこそ見られるものも!訪問する事も応援の一つです。さあ、壮大な首里城巡りへ。

600年以上の歴史を重ねてきた「首里城」

600年以上の歴史を重ねてきた「首里城」

写真:万葉 りえ

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日本本土では南北朝時代といわれていた頃、沖縄(琉球)では3つの勢力が争っていました。今帰仁城を拠点としていた北山。浦添城を拠点としていた中山。そして島尻大里城を拠点としていた南山。「三山時代」と言われている時代です。この3つの王朝はそれぞれ中国大陸ともつながりを持ち、貿易を行っていました。

その後1406年に尚思紹という人物が中山の王になり、その息子である尚巴志が1429年に三山を統一します。ここに琉球王国が成立したのです。
その琉球王国の中心になったのが現在公園として整備されている首里城です。でも、この首里城は三山が統一される前から尚氏の居城で、琉球王国誕生よりも古い歴史を持った城なのです。

600年以上の歴史を重ねてきた「首里城」

写真:万葉 りえ

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東西約400メートル、南北約200メートルという広大な首里城の城域。2019年10月末に起きた火災で見学できない部分はあっても、見どころはほかにも沢山!
正殿が再興されるのを待ちながら、見ごたえある首里城を周ってみましょう。

まずは「琉球は礼節を重んじる」という意味を持ち、変わらずに出迎えてくれる「守礼門」へ。青空を背景に見上げるとさらに美しさが増し、きっと沖縄に来たことを実感させてくれるはず。

壮麗な城門が続く正殿への道

壮麗な城門が続く正殿への道

写真:万葉 りえ

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守礼門を過ぎれば、世界遺産になっている「園比屋武御獄石門(そのひゃんうたきいしもん)」をご覧いただけます。この門は出入りをしていた門ではありません。この門は祈りの門。この風格ある門に、国王は外出の際に道中の安泰を祈願していたのです。

壮麗な城門が続く正殿への道

写真:万葉 りえ

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そしてその先には首里城の正門になっていた「歓会門(かんかいもん)」の堂々たる姿も。冊封使(さっぽうし)という中国皇帝からの使いが来ていた首里城。歓迎の意味を込めて門の名がつけられていて、神社の狛犬のように、入り口両脇を力強い姿の獅子が守ります。

壮麗な城門が続く正殿への道

写真:万葉 りえ

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首里城第二の門である「瑞泉門(ずいせんもん)」へと至る両脇では、いくつもの石碑に注目です。この門の手前に龍樋(りゅうひ)という水が湧き出ており、この湧き水を冊封使が褒め称えて詩などに詠んだのです。それを石碑にしたのが冊封七碑。この写真では左下の方に一部写っています。

聖地「首里森御嶽」がある下之御庭も見学可能

聖地「首里森御嶽」がある下之御庭も見学可能

写真:万葉 りえ

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歓会門から4つ目に、貴重な古写真や発掘調査で復元した「広福門」が建ちます。城があるのは小高い丘の上なので、広福門手前からの景色もお勧めです。琉球王国時代にも、きっとここから異国の船などを眺めた人がいたはずです。

聖地「首里森御嶽」がある下之御庭も見学可能

写真:万葉 りえ

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それでは広福門を通ってその奥の「下之御庭」に入っていきましょう。
通常時は有料エリアの発券所になっている広福門。東側に戸籍の管理をする役所、そして西側に寺社を管理する役所が置かれていて、「門」というより建物といった趣が強い出入り口になっています。

広福門をくぐったら右側に見えるのが「系図座・用物座」の建物です。
2019年10月まで、王子の控え所「鎖之間(さすのま)」で琉球王国時代の伝統菓子が体験できるようになっていました。残念ながら現在はそちらも再建を待つ建物の一つになっており、その代わりになっているのが「系図座・用物座」です。菓子だけでも160種類もあったという琉球の宮廷料理。ぜひ味わっておきましょう

聖地「首里森御嶽」がある下之御庭も見学可能

写真:万葉 りえ

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この下之御庭エリアには「神が造られた」といわれている聖地もあります。それが琉球最古の歌謡集にも詠われた「首里森御嶽(すいむいうたき)」です。

写真では首里森御嶽の向こうに「奉神門」も見えています。この紅い建物には3つの入り口があり、中央の門は国王など身分が高い人のみが通れるようになっていました。
では、その中央の門から有料エリアへ。

2020年6月から始まった“見せる復興”の有料エリア

2020年6月から始まった“見せる復興”の有料エリア

写真:万葉 りえ

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2020年6月から始まった“見せる復興”!未開園になっていた有料区域も、見学できるように整備され公開されています。

再興されてきた歴史を持つ世界遺産の首里城は、地下にその痕跡も残しています。それが、こちらの正殿の基壇遺構。今だからこそ見られるもので、今後もその時々で首里城がよみがえっていく過程をご覧いただける予定です。

2020年6月から始まった“見せる復興”の有料エリア

写真:万葉 りえ

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さらに奥、正殿の裏側に当たる広場が「後之御庭」です。ここはかつて国王と家族以外は男子禁制だった「奥」の世界。

現在はもちろん国王でなくても男性もOK。ここに作られた首里城復興資料館では普通なら頭上高くにある瓦なども近くで見られ、横に立つ「世誇殿」では映像で首里城についての知識が深められます。

2020年6月から始まった“見せる復興”の有料エリア

写真:万葉 りえ

さらに奥へと進めば「東(あがり)のアザナ」へ。ここは城の東端に築かれた物見台で、首里城一帯だけでなく、街を越えて海まで望めます。

琉球があるのは、北にヤマト、西に中国、そして南に台湾…という位置。それらの国々の力が交差する中で舵取りをしてきた歴史や文化を、ここに立って感じていただければ…。

料金フリーのエリアにある展望台は濃い緑の奥

料金フリーのエリアにある展望台は濃い緑の奥

写真:万葉 りえ

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城域の南よりには首里城内で最大の祭祀空間になっている「京の内」があり、その付近は大変緑が濃い場所になっています。ご紹介した「系図座・用物座」の近くから木々の多いほうへと入っていけば、城壁に沿うように濃い緑が西に作られた展望台「西(いり)のアザナ」まで続きます。

文化的歴史的価値があるといわれている首里城の石垣。琉球石灰岩で積み上げられ、曲線を描きながら続く石垣の美しさも、ぜひ見ておいてください。

料金フリーのエリアにある展望台は濃い緑の奥

写真:万葉 りえ

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このように沢山の見所があり広大な首里城公園。休憩は首里城公園レストセンターになっている首里杜館(すいむいかん)がお勧めです。ここは首里城見学の拠点となっている施設。総合案内所だけでなく、レストランやショップも揃っています。

時間が合えば参加してほしいのが、1階の情報展示センターで開かれる「首里城解説会」です。スライドなどを用いて解説員が琉球の歴史や文化について解説してくれるので、グッと詳しくなれるはず。1日4回あり、無料で参加できます。

旅することも、復興を後押しすること。首里城がよみがえっていく過程をご覧いただきながら、琉球王国の歴史や文化に触れてみてください。

首里城公園の基本情報

住所:沖縄県那覇市首里金城町1-2
電話番号:098-886-2020
アクセス:ゆいレール首里駅、もしくは儀保駅から「守礼門」まで徒歩約15分

2021年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2020/11/30 訪問

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