アーティゾン美術館はJR東京駅から歩いて5分、ガラスの格子窓が目を引く23階建て高層ビル「ミュージアムタワー京橋」の1〜6階にあります。2020年1月、同美術館は、1952年に開館したブリヂストン美術館の伝統を引き継ぎ、新たな美術館としてオープンしました。新しい館名の「ARTIZON」(アーティゾン)は、「ART」(アート)と「HORIZON」(ホライゾン:地平)を組み合わせた造語で、時代を切り拓くアートの地平を多くの方に感じ取ってほしい意志が込められています。
コンセプトは「創造の体感」、美術作品からだけではなく、展示空間からもさまざまな楽しみを感じることができるでしょう。チケットは「日時指定予約制」、待ち時間を減らし、ゆったりと鑑賞できるシステムです。学生・専門学校生・高校生は予約は必要ですが、入館料は無料です。
エントランスは1・2階吹き抜けで高さ8mのガラスで囲まれた空間です。壁は自然素材で柔らかい印象を感じさせ、床には人工大理石のタイルに地平線をイメージした白いラインが走っています。展示室に向かうには、まずは3階のメインロビーをめざしましょう。大階段、エスカレーター、エレベーターが利用できます。
公式アプリをダウンロード、ゲスト用Wi-Fiを利用して無料の音声ガイドを使いましょう。静かに鑑賞する人のために館内ではイヤホンをご利用ください。イヤホンは2階のミュージアムショップで購入できます。
また、アプリでは利用案内、展覧会・コレクショ情報もわかり、チケット予約ができます。ダウンロードは館内のほか、公式ホームページなどのQRコードが利用できます。館外でも情報を利用できるので、出かける前から楽しみが増えました。
1階と2階はチケットがいらないフリーゾーンです。1階のカフェはガラス扉9枚を開くと外をつながって開放感あふれるオープンカフェにもなります。喫茶や軽食をゆったりした気分でお楽しみください。営業時間は8時から19時、年末年始以外は無休です。
2階にはミュージアムショップがあり、コレクションを生かしたオリジナルグッズ、国内外のアートグッズなどがあります。素敵なプレゼントも見つかりそうです。ロッカーに荷物を預けて展示室に行きましょう。大きな荷物は3階のクロークも利用できます。
3階でチケットをチェックして、エレベーターで6階に上り、降りながら3つのフロアを鑑賞します。6階から4階は自由に行き来できますが、3階から出ると再入館はできません。同じフロアにあるレクチャールームは、シアター形式にすると約100人が利用でき、旧館以来の「土曜講座」も引き続き開かれています。ほかにもトークやワークショップが多数用意されています。
写真は4階から3階を見下ろしたところ、左に見える石柱は3階から5階の吹き抜けを貫き直径1.8m、高さ16.5mです。柱には表面を削った25cm角の石材がランダムに配置されているので光りの当たる方向によって印象が変わります。ガラスの向こうには街の風景が広がっています。
4階のロビーには高さ2.31mの大理石像《勝利の女神》が展示されています。作者は19世紀ドイツの彫刻家クリスチャン・ダニエル・ラウホ、この像は旧ブリヂストン美術館の入口に展示されていました。右の吹き抜けの石柱は前段の写真と同じものですが、ちょっと違う印象に見えます。4階と5階には、見晴らしのよい休憩コーナーもあります。
アーティゾン美術館は前身のブリヂストン美術館からコレクションを引き継ぎ、その数は約2800点です。ジャンルは古代美術、日本近代洋画、印象派、日本の近世美術、20世紀美術、現代美術までコレクションの幅が広がります。
開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」(2020年1月18日から3月31日)では、4〜6階の全フロアを使い、初公開作品31点を含む206点のコレクションを展示しています。展示のなかから作品を紹介しましょう。
左の、ピエール=オーギュスト・ルノワール《すわるジョルジェット・シャンパンティエ嬢》(1876年)は、4歳の少女がおしゃれをして大人のようなポーズ、豪華な絨毯などから裕福な家庭がうかがえます。少女の家はパリで出版業を営むシャンパンティエ家で芸術家や政治家を招く社交の場でもあり、ルノワールは家族の肖像画を何点も描いています。1877年の第3回印象派グループ展に出品されたものです。
右のギュスターヴ・カイユボット《ピアノを弾く若い男》(1876年)は、自宅でピアノを弾く弟を描きました。窓からの光に照らさて洗練された趣味の裕福な室内が浮かび上がります。また、カイユボットは印象派仲間の作品を買って彼らを支えたことが知られています。
一番古いコレクションは、イランで紀元4千年紀につくられた《幾何文台付壺》です。写真の左から2番目の壺で、デザインは現代作家の作品にも見えそうです。左右は、紀元前6〜4世紀のギリシア時代の壺で、ギリシア神話の物語画描かれています。
初公開される作品から2点を紹介します。ポスターやチラシに取り上げたのは、写真左のヴァシリー・カンディンスキー《自らが輝く》(1924年)、色や形が動き出しそうな作品です。カンディンスキーは抽象絵画の発展に大きな役割を果たしました。右は、抽象彫刻のコンスタンティン・ブランクーシ《ポガニー嬢U》(1925年 2006年鋳造)、写真は後ろから撮影し、長い髪の女性の頭部のブロンズ像で生命感がある抽象彫刻です。
展示室では、色を正確に再現するLEDライト、床の隙間から天井に空気が流れて温度・湿度を保つ仕組みなど最新の技術が生かされています。3フロア合計の展示面積は以前の約2倍になり、天井高は4.25mもあります。
5階・6階は柱がなく展示内容に合わせて壁面をデザインでき、大型の現代美術や天井から吊り下げる作品など、さまざまなに対応ができます。
5階には、ガラス越しに4階がのぞける吹き抜けがあり、楕円形のソファも並んだくつろげる場所もあります。館内のあちこちにあるソファや椅子はほとんどはオリジナルのデザインです。座り心地を試してください。座って作品を眺めると違う表情が見つかるかもしれません。
4階には3つの小部屋があります。古美術などを展示する部屋には継目がない15mの1枚ガラスのケースがあり、黒漆喰の壁が光を吸い込むので、映り込みが少なく、作品とじっくり向き合うことができます。
美術館は作品を展示するだけではなく、美術情報術を公開しています。4階の「インフォルーム」ではアーティゾン美術館の資料をタブレットで見ることができ、壁にはこれまでの展覧会のカタログが並んでいます。
4階と5階のロビーにはチームラボによる「デジタル・コレクション・ウォール」があります。作品の画像に触れると拡大し、作家名・制作年・技法などを見ることができます。カテゴリーから作品を検索することもでき、知らなかった作品に出会ったり、コレクションへの理解を深めたりすることができます。是非、触れてみてください。
6階の「アーティゾン美術館のデザインマテリアル」コーナーでは、柱や壁、床の素材を紹介しています。コレクションの画像、ワークショップの画像が大きなスクリーンに流れています。
住所:東京都中央区京橋1-7-2
アクセス:「JR東京駅(八重洲中央口)」、東京メトロ銀座線・「京橋駅」(6番、7番出口)、東京メトロ・銀座線/東西線/都営浅草線・「日本橋駅」(B1出口)から徒歩5分
電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00〜18:00(祝日を除く金曜は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日
入館:日時指定入場制。料金は展覧会によって異なります。
学生は入館料無料(要予約)、中学生以下は入館無料(予約不要)。
予約:ウェブで2か月前から当日の各入館時間枠終了の10分前まで、変更は1回に限り可能。当日販売は、予約が完売していない場合のみ。
詳しくはホームページの「チケット購入」をご参照ください。
2020年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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