写真:今村 裕紀
地図を見る西鉄柳川駅から柳川商店街通りを鍛冶屋町方面に徒歩で10分ほど進むと、まず最初に「柳川よかもん館」のなかで「巨大さげもん」が迎えてくれます。
「さげもん」は、江戸末期頃より、女の子が生まれると初節句のお祝いに作られたのが始まりとされています。お雛様の代わりに古着の端切れで縁起物のえびや宝袋、ひよこ、這い人形などの布の小物と鮮やかな糸で巻き上げた「柳川まり」を組み合わせて、女児の幸せと健康、良縁などの願いを込めて作られました。
<柳川よかもん館の基本情報>
住所:福岡県柳川市京町13−1
電話番号:0944-72-9510
アクセス:西鉄柳川駅より徒歩約10分
開館時間:9:00〜18:00
写真:今村 裕紀
地図を見る写真は「モリヤマ民芸・森山醤油事務所」に飾られたひな段と「さげもん」です。初節句を迎えた女の子を地域のみんなで祝う風習は、いまも、ここ柳川では続いています。そうして、こうした鮮やかな雛祭りをより多くのひとに観て、楽しんでもらおうと、観光施設や店舗にひな段と吊るし飾りが付けられたのが「柳川雛祭り さげもんめぐり」の始まりです。
この「さげもん」は、静岡県伊豆稲取の「雛のつるし飾り」、山形県酒田の「傘福」とともに“三大つるし飾り”と呼ばれています。
<モリヤマ民芸・森山醤油事務所の基本情報>
住所:福岡県柳川市沖端町52 (北原白秋生家の前)
電話番号:0944-72-2716
営業時間:9:00〜17:00(日曜日は10:00〜16:00)
「お雛様水上パレード」では、公募で選ばれたお内裏様とお雛様、そうしてかわいいお稚児さんたちを乗せた舟が、かつては城を守るために巡らされた掘割を進みます。この行事には、着物姿の7歳以下の女の子と同じく着物姿のお母さんもペアで参加できます。この地ならではの思い出に残る行事です。また、観るひとにとっても、時を超えた艶やかな光景が、目の前で展開されます。
今年は、3月15日の11時から12時の間に行われます。雨天時は3月22日に順延です。
写真:今村 裕紀
地図を見る柳川は、北原白秋の生誕の地です。造り酒屋であった白秋の実家は、明治34年、白秋が16歳の時に沖の端の大火で母屋の一部を残してほぼ全焼しましたが、現在、母屋は復元され、さらに、その奥には記念館が併設されて、白秋の詳細な資料や柳川の歴史なども併せて展示されています。
復元された母屋には、白秋の書斎をはじめ、座敷や茶の間、店の番頭の食事場などが再現されています。詩人であり、童謡作家である白秋の幼少時代の生活感の一端に触れることが出来る貴重な空間となっています。
写真:今村 裕紀
地図を見る「さげもん」が添えられた酒樽。桝ではかり売りをしていた当時、店頭にはこの酒樽がずらりと並んでいたそうです。写真下に伺える「潮」は、北原家の銘酒で、白秋の生家を訪れた与謝野鉄幹と酌み交わしたお酒として復活され、奥の記念館で販売されています。
写真:今村 裕紀
地図を見る北原白秋生家のお座敷も、この時期ばかりは、お雛様とともに「さげもんの間」と化します。左右に一対の女の子の人形を配して、真ん中の七段飾りのひな段に「さげもん」が覆いかぶさるように、しかも、部屋から溢れんばかりに彩りを添えています。
<北原白秋生家・記念館の基本情報>
住所:福岡県柳川市沖端町55-1
電話番号:0944-72-6773
開館時間:9:00〜17:00
写真:今村 裕紀
地図を見る柳川市観光案内所は、北原白秋生家・記念館のほど近くにあります。建物自体は、ちょっと地味なのですが、その2階に置かれたひな段と「柳川まり」それに「さげもん」はこの通り、素晴らしいものです。ここまで勢ぞろいすると圧巻で、美しい佇まいに圧倒されるはず。思わず、立ち去ることさえ躊躇われる世界につつみ込まれます。
写真:今村 裕紀
地図を見る「さげもん」は、竹の輪に7個7列の49個の飾りと中央に「柳川まり」2個をさげて、全部で51個の飾りを吊るすものとされています。その由来は、人生50年と言われていた時代に1年でも長く生きたいという思いが込められていました。
「さげもん」飾りの代表的なものには、生まれて這い這いをするようになった親の喜びや子どもの成長を願う「這い人形」。かわいらしさ、あどけなさを表す「ひよこ」。朝早く起きて、つがいで仲良く卵を温め育てる「鶏」。変わったところでは、年老いて、腰が曲がってもなお元気、というかなり先までの思いを込めた「えび」などがあります。いずれも、女の子へのさまざまな願いが込められています。
<柳川市観光案内所の基本情報>
住所:福岡県柳川市沖端町35
電話番号:0944-74-0891
開館時間:9:30〜17:00
写真:今村 裕紀
地図を見る「立花邸御花(おはな)」は、江戸時代を通じて柳川藩を治めて来た、立花家の五代目藩主貞俶が築いた別邸です。明治時代になると邸宅も新築され、洋館と従来の和館が並び立つ、新しいスタイルの住宅として完成しました。
施設は、大きく分けて日本庭園「松濤園」を望む本館と洋館の「西洋館」、宿泊施設を備えた「松濤館」。さらにレストランの「対月館」や展示施設の「立花家資料館」などで構成されています。「西洋館」は結婚式場として、あるいは、パーティー会場としても使用されています。このように「立花邸御花」は、会席料亭であり、ウェディング会場であり、また、文化財であるというさまざまな顔を持っているのです。
写真:今村 裕紀
地図を見る「立花邸御花」では「柳川雛祭り さげもんめぐり」の期間中、「さげもん」が本館の「御役間」を中心にひな段とともに艶やかに飾られています。
写真:今村 裕紀
地図を見るこの時期は、洋館の西洋館にも「さげもん」が。
<立花家御花の基本情報>
住所:福岡県柳川市新外町1
電話番号:0944-73-2189
開園時間:9:00〜18:00
「旧戸島家住宅」は、柳川藩の中老職についていた吉田兼儔が、隠居後の住処として建てた葦葺二階建ての建物です。部屋は茶室、座敷、仏間、なかのま、寝室からなり、部屋の板扉に漢詩が彫られていたり、季節の風物が描かれた杉戸絵となっていたりと、文人趣味の意匠が伺えます。
写真:今村 裕紀
地図を見る普段は静かなたたずまいのお座敷も、この時期は、ひな段と「さげもん」で溢れかえります。
窓から窺える庭園の池は、近くの堀から水を引き入れていて、天候で水位が変化するというユニークなものです。庭に水路を引き込むなど、いかにも柳川らしいですね。
それにしても、艶やかな赤の毛氈が、お雛様たちを引き立て、その段飾りを「さげもん」が彩り、そこに着物姿の女の子たちが溶け込むと、雛祭り、その女の子たちの世界が、ここに花咲きます。
<旧戸島家住宅の基本情報>
住所:福岡県柳川市鬼童町49-3
電話番号:0944-73-9587
開館時間:9:00〜17:00(休館日火曜日)
「柳川雛祭り さげもん」開催期間中、柳川のまちは、いたるところで「さげもん」に彩られています。そうして、初節句を迎えた女の子を地域をあげて祝う伝統が、ここ柳川でしっかりと守られています。その願いが込められた飾りは、色鮮やかであると同時に、見る人のこころをひととき、ちょっとだけ艶やかに潤してくれるのかも知れません。
もとより、柳川は水郷のまちです。張り巡らされた掘割を「どんこ舟」に乗っての川下り。北原白秋の生家や立花邸御花に代表される歴史的な建造物の数々。「食」は、うなぎのせいろ蒸し。「さげもん」に彩られた柳川のまちは、その飾りを取り除いてみても、魅力溢れるまちなのです。
2020年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2025/2/13更新)
- 広告 -