写真:土庄 雄平
地図を見る比良山地は、琵琶湖の西側・湖西と京都を隔て、標高1000m付近の峰々が連なる山脈。目立った山はないものの、どの峰も個性豊かで、存在感を持っているのが特徴です。有名な観光名所・琵琶湖バレイに隣接する「蓬莱山」や、山地の名称の由来になっている「比良岳」、山頂からの眺めが特に素晴らしい「蛇谷ヶ峰」など、穴場な山が揃っています。
写真:土庄 雄平
地図を見るその中で一際人気なのが、最高峰の「武奈ヶ岳(ぶながたけ)」!なぜなら、標高差1000m程と本格的な登山ができる上、山頂一帯は景色が開け、比良山地ならではの絶景を楽しむことができるから。特に冬には、中腹の御殿山以降が大きな雪稜へと変わり、隔絶した白銀の世界を見せてくれるため、多くのハイカーの憧れの山になっています。
写真:土庄 雄平
地図を見るまず「武奈ヶ岳」へのアプローチですが、湖西側と鯖街道側の二つあり、どちらから登るかで必要な体力や歩行時間が大きく変わります。湖西側のイン谷口から山頂までは往復15km程とロングコースで、一方、鯖街道側の坊村から山頂までは往復7km程。特に雪の時期は、短い距離でも時間が掛かってしまうことも多いため、鯖街道側からアクセスするのがベターでしょう!
写真:土庄 雄平
地図を見る鯖街道側の坊村(御殿山)登山口があるのは「明王院」という寺院。その近くにある"曙橋"という朱色の橋が目印となっています。周囲に駐車スペースがあるので、そこに車を停めたらスタート!
まず標高300mから標高800m付近まで杉林を縫う傾斜のキツい道を登っていきます。距離は1.8kmと短いながら標高差が大きいため、この最初の区間が正念場!ペースを上げすぎないように注意し、足元にしっかり注意を払いながら登りましょう!
写真:土庄 雄平
地図を見る冬季、豪雪地帯であるこの比良山地では、登山口から多量の雪が積もっていることもしばしば。この場合、急登区間では滑落防止のため、アイゼン(靴の裏に装着する爪状の登山道具)が必須です!
前半は景色こそ開けないものの、静かで深い森を進んでいくルート。日が照らすと雪を被った木々が美しく、雪山ならではの情緒がたっぷり!
なお「武奈ヶ岳」は冬季でも登山者の数は多く、土日であればトレース(足跡)が明瞭についているため、道に迷う心配はありません。
写真:土庄 雄平
地図を見る標高800mを過ぎた辺りから、次第に傾斜が緩やかになり、同時に木々の隙間から展望が開けてきます。これは「武奈ヶ岳」の核心部が近いということ。
そして、標高1000mを越えた場所で一気に視界が開け、美しい稜線が目に飛び込んできます。この場所こそ、登山道の名前にある「御殿山(標高1097m)」!武奈ヶ岳を特徴づける"西南稜"への入り口です。
雪化粧した山容と青空のコントラストはとても爽快!そして、そこに枯れ木が組み合わさることで、まさに絵画のような美しい風景が作られています。
写真:土庄 雄平
地図を見る御殿山から一度急激な下りがあるので、まずはここが鬼門です。アイゼンをしっかり地面に噛ませながら、慎重に下りてくださいね!なお雪が深い場合は、足が雪へハマり、ある程度固定されるので安心です。
そして、そこから束の間、樹林帯を登れば、先ほど眺めていた「西南稜」へ到着!日本海から流れ込む寒気の通過点であるこの稜線は、過酷な環境のため、木々が生育しないことが特徴で、それ故に360度のパノラマが楽しめます。
行く手には「武奈ヶ岳」の純白の頂、振り返れば京都北山の峰々。山々に囲まれたこの稜線は、まさに天空の遊歩道!大スケールの展望を味わいながら、ふかふかの雪を踏みしめていきましょう。
写真:土庄 雄平
地図を見るラストに登場するやや傾斜のキツい坂、これを乗り越えればようやく山頂へ到着です。するとそこには、滋賀県の中心を占める「琵琶湖」のダイナミックなパノラマが!そして、その向こうには白山や伊吹山などの山々も望むことが可能です。
まさに滋賀という世界が凝縮した絶景!これこそ「武奈ヶ岳」が人気の一番の理由と言えるでしょう。白い比良山地と、真っ青な琵琶湖の対比を楽しみながら、登頂した達成感を噛み締めてくださいね!
写真:土庄 雄平
地図を見る比良山地の主峰「武奈ヶ岳」。普段から地元ハイカーによく好んで登られる名山ですが、その本領が発揮されるのは冬!なぜなら、武奈ヶ岳を特徴づける「西南稜」が一面雪に覆われ、真っ白な天空のパノラマルートに変わるから。
そしてその道を進んでいくと、大スケールで展開する「琵琶湖」が現れ、感動的なラストを堪能することができます。雪山という意味で装備や計画にハードルはあるものの、それを乗り越えてでも是非一度は眺めてみたい滋賀県が誇る屈指の絶景と言えるでしょう!
写真:土庄 雄平
地図を見る一方、最初から「武奈ヶ岳」へ足を運ぶのが少し不安という方は、大阪府・金剛山(標高1125m)や京都府・愛宕山(標高912m)などで少しアイゼンの足慣らしや、体力を整えてから挑むのが良いかもしれません。
また雪が多く積もった後などは、かなり難易度が高いので、日々関連MEMOにある「武奈ヶ岳(YAMAP)」で状況を確認すると良いでしょう!
是非安全に素晴らしい雪山登山を楽しんでくださいね。
住所:滋賀県大津市北比良
アクセス:大津市街から坊村(御殿山ルート登山口)まで車で30分、坊村から御殿山経由で山頂まで片道3時間
※備考
・アイゼン・防水ウェア・手袋は必須装備です。また冬山の稜線は風が一段と寒いため、防寒着には余裕を持っておくと良いでしょう。
・スニーカーでは冬山は登れません。防水性能をもったトレッキングシューズを持参しましょう。
・12月中旬以降、急激に冷えた翌日に、登山を行うと樹氷が見れる確率が上がります。
・雪の降雪直後は難易度が上がるためお勧めしません。関連MEMOの「武奈ヶ岳(YAMAP)」で降雪の状況を確認してください。
2020年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
この記事を書いたナビゲーター
土庄 雄平
1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤務しながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。山岳雑…
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