写真:土庄 雄平
地図を見る青森の中でも人気の景勝地「奥入瀬渓流」は、十和田湖の北東に位置し、青森市街からバスや車で2時間ほど。青森空港や新青森駅から好アクセスなため、気軽に訪れることが可能です。
しかしながら11月下旬から3月下旬まで、青森と奥入瀬渓流を結ぶ最短ルートである「八甲田十和田ゴールドライン」が冬季閉鎖となるため、訪れる難易度がアップ!
青森起点で奥入瀬渓流を訪れるには、青森→十和田→奥入瀬渓流と大きく迂回する必要があります。それに加えて、厳冬期の青森では積雪に路面凍結は日常茶飯事です。
そのため、冬の奥入瀬渓流を訪れる場合、バスを使ってアクセスすることがベターと言えるでしょう。なお新幹線で訪れる方は八戸出発とし、十和田経由のバスで奥入瀬渓流へとアクセスできます。
写真:土庄 雄平
地図を見るこのように「冬の奥入瀬渓流」へのアクセスは少々大変だと言えますが、それだけ労力を割いてでも、訪れる価値が大いにあるのは間違いありません!
なぜなら夏の緑のイメージとは対照的に、そこは白と黒の閉ざされた世界。奥入瀬の自然環境が作り上げる冬の芸術作品が待っているからです。
今回紹介するのは、子ノ口からトレッキングを開始し、代表的な見所である銚子大滝の氷瀑や、九段の滝近くにある氷柱を巡って帰ってくる4〜5時間のコース。
それでは実際に、冬の奥入瀬を歩く上記のモデルルートを紹介していきましょう!
写真:土庄 雄平
地図を見る奥入瀬渓流の東側の入り口となっている「焼山」より奥へ行く場合、バスの本数が極端に少なくなり、JRの「冬のおいらせ号」、十和田湖冬物語2020に伴うシャトルバスの計1日3便です。
そのため今回紹介するトレッキングでは、バスの時間も含めてプランニングしなければなりません。まず奥入瀬渓流へのアクセスですが、八戸を9:40、十和田現代美術館を10:20に出発する「おいらせ21号」へ乗ることが必須となります。事前予約が必要なので忘れないでくださいね!
写真:土庄 雄平
地図を見るそしてバスに乗って1時間半ほどで、奥入瀬渓流の西側の入り口である「子ノ口」へとアクセス!途中、このバスの特典で馬門岩と銚子大滝へと立ち寄るので、少し鑑賞を楽しみましょう。
そして渓流を越えてバスを降りれば、そこには八甲田連峰に覆われた冬の十和田湖が!真っ白い雪と、十和田湖ブルーの対比が鮮やかで、大スケールの景色に思わず立ち尽くしてしまうはず!冬とは全く違う美しい世界の始まりです。
さぁ、それでは冬の秘境トレッキングを楽しみましょう!
まずは銚子大滝を目指して車道を歩いていきます。冬の奥入瀬渓流は散策道こそ雪が深く積もって閉ざされていますが、車道は車通りが多いため、普通の靴でも歩くことが可能!
そのため、雪山登山のような装備は必要ありません。しかしながら一部区間、散策道を歩くこともできるため、チェーンスパイクやアイゼン、ワカンを所有していれば、持って行っても良いかもしれませんね。
写真:土庄 雄平
地図を見る子ノ口から約1.5km(30分〜45分)で一つ目の見所「銚子大滝」へと到着です。高さ7m、幅20mになり、魚が遡上できないことから"魚止の滝"とも呼ばれる奥入瀬渓流を代表する名瀑です。
夏とは対照的に水量が制限され、轟くような迫力はないですが、周囲の静けさに溶け込んでいくような心地よい響きを奏でて流れていきます。滝の両サイドの凍てつく造形美も見応えあり!
奥入瀬渓流には幾つも滝が形成されており、それが冬になると一部が凍ります。雪解け水が大半の滝の源のため、冬季には小さいものは枯れてしまいますが、大きなものは一部が凍って氷瀑となるのです。
写真:土庄 雄平
地図を見るそれでは先へ進みましょう!銚子大滝から再び車道へ戻ることもできますが、九段の滝まではトレース(足跡)が付いていることが多く、渓流の遊歩道を歩くことも可能です。短い区間なので歩いてみるのがオススメ!
九段の滝は流れこそ少ないものの、うねり状の氷瀑が個性的!銚子大滝とは対照的な女性的な氷瀑です。
写真:土庄 雄平
地図を見るそして九段の滝から車道へ戻っていきますが、その途中、道を挟んだ向こう側へ注目してみてください。すると、そこには太陽に照らされてキラキラと青白く輝く氷柱が!
これこそ氷瀑と並ぶもう一つの冬の芸術品「氷柱」。雪解け水が氷結し、岩壁に巨大なつららを形成します。
写真:土庄 雄平
地図を見る九段の滝近くにある「氷柱」が冬の奥入瀬渓流のハイライト!散策道から橋を渡り、道路へ戻ると近づくことが可能です。
氷柱自体、冬以外には形成されず、普段は何と言うことはない岩壁。そのため名称は付いていないのですが、実に見応えがあります。見上げれば様々な造形に凍りつき、息を呑むほどの美しさとダイナミックさを兼ね備えています。
写真:土庄 雄平
地図を見る太陽の光に照らし出されれば、細部の意匠が際立ち、上から下へ伸びている氷柱が薄水色へ輝いて宝石のよう!どの角度から眺めても見惚れてしまう佇まいです。「どうしたら、このような造形ができるのだろう…?」自然の神秘に只々感嘆してしまいますね!
写真:土庄 雄平
地図を見る銚子大滝から白糸の滝までは、こうした氷柱が幾つか点在します。一つとして同じものはなく、違った造形・意匠をなすその姿は、まさに冬の芸術作品です。氷柱は遠くから眺めることが基本になりますが、ワカンやスノーシュー(雪駄)を有していればアプローチ可能!自分の思い思いに作品鑑賞を楽しみましょう。
写真:土庄 雄平
地図を見るそして、ここから奥入瀬渓流の中核部へと進んでいきます。ここからは見応えのある滝の連続ですが、バスの時間をしっかり念頭に入れる必要があります。なぜなら十和田湖冬物語会場を出発して十和田・八戸へ向かう奥入瀬22号が銚子大滝に15:48、馬門岩に16:00に止まり、このバスに乗ることが必須になるため。
九段の滝近くの氷柱から馬門岩までは4.5kmほど。標準タイムで1時間半〜2時間です。氷柱を遅くとも14時半に出れば、馬門岩でバスに乗ることが可能です。
氷柱直後は、玉簾の滝や白糸の滝など名瀑の連続!その多くは近寄ることが難しいですが、遠くからその佇まいを味わうことが可能です。特に「雲井の滝」は、水流が滝つぼに跳ねて独特の造形美を作り上げ、轟く滝音は静寂な世界に染みこんでくよう!
写真:土庄 雄平
地図を見るそして「阿修羅の流れ」を越えれば、ゴールの「馬門岩」まであと少しです。雲井の滝から1.3km、徒歩にして30分ほど。この馬門岩は、冬の奥入瀬の代名詞と呼ばれるスポットです。その理由は、大きな柱状節理の至る所に育つ氷柱!
写真:土庄 雄平
地図を見る道路から見上げればダイナミックな絶景に圧倒され、近づけばその氷柱の繊細な美しさに触れることができますよ。まるで何かが降臨するような薄水色にスーッと伸びる氷柱、その細部を見れば独特の意匠が施されています。
一つとして同じものはなく、見惚れるほど美しい冬の芸術品との一期一会。バスが来るまで、心ゆくまで堪能してくださいね!
16:00に馬門岩で「おいらせ22号」へ乗ったら、冬の奥入瀬氷瀑氷柱巡りトレッキングは完遂です。
夏や秋がシーズンのイメージがある青森県「奥入瀬渓流」ですが、冬もまた違った趣があります。色彩や音に溢れる無雪期とは対照的に、ひたすらに静かでモノクロームな冬の世界。そこには厳かで神秘的な氷瀑や氷柱が形成され、まさに大自然が生み出した芸術作品を鑑賞することが可能です。少々ハードルは高いものの、訪れる価値が大いにある「冬の奥入瀬」。ぜひ一度計画してみてはいかがでしょうか?
2020年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/12/10更新)
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