写真:湯川 カオル子
地図を見る青森県の秘湯「酸ヶ湯温泉」は、日本有数の積雪量を誇る八甲田山中にある一軒宿です。1684年、鹿が傷を癒す温泉を猟師が発見したことから、古くは「鹿の湯」と呼ばれましたが、強酸性のすっぱいお湯により酸ヶ湯に転じました。
近くには温泉の湧く爆裂火口跡があるなど、硫黄の香りただよう火山性の力強い温泉です。
写真:湯川 カオル子
地図を見る館内のお風呂場は3箇所。広大な混浴大浴場の「ヒバ千人風呂」と、男女別の「玉の湯」があります。そのどれもがpH1.8ほどの強酸性で、源泉掛け流し! 玄関ロビーの奥にあるレトロな看板が、千人風呂の入口です。
日帰り入浴はレンタルタオルを含めて1,000円。千人風呂と玉の湯の両方を何度も利用できるほか、のんびり過ごせる休憩所もあります。
千人風呂には洗い場がなく、石鹸類も使えません。シャンプーや石鹸を使いたい方は玉の湯に用意してあります。
写真:湯川 カオル子
地図を見る入口にある千人風呂内の見取り図には、お風呂の温度も記されます。脱衣場を抜けるとすぐに適温の「熱の湯」、奥にはやや熱めの「四分六分(しぶろくぶ)の湯」があります。
入浴方法も書かれているので、参考になりますよ。
写真:湯川 カオル子
地図を見る千人風呂の入口には、以前利用されていた番台が残っていて、なんともひなびた雰囲気。入口前には貴重品ロッカーもあるので日帰り入浴には便利です。
千人風呂では、はじめに掛け湯専用の「冷(ひえ)の湯」で必ず身体を清めるのがエチケット。こちらももちろん温泉です。
混浴ですが、湯屋内や湯船は男女別のゾーンに分かれています。女性の場合は、四分六分の湯まで衝立が伸びていて、視界を隔ててくれます。白濁したお湯も女性が安心して入れる理由のひとつ。気になる方は、売店で売られる湯浴み着をお勧めします。
千人風呂は、160畳もの広さがある総ヒバ造りの湯屋建築。中に柱が一本もない圧巻の造りです。
熱の湯は、湯船の底から温泉が湧き出る「足元湧出」。全国的にも希少で、空気に触れずに湯船を満たすのでお湯が新鮮。温泉ファン垂涎のお風呂です。湯船の底には木製のスノコが敷かれていて、その下の地面からお湯がじんわり湧き出します。
湧き出る量は調整できないので、湯船の広さと深さで適温になるよう作られています。ベストポジションは、温泉が湧く真上。お湯の表面にぷっくりと、ときおり浮き上がる気泡が目印です!
千人風呂の奥にある湯船が、敷地内にある数か所の源泉からお湯が引かれた四分六分の湯。熱の湯の2倍ほどある大きな湯船で、キリっと熱めのお湯が引かれます。
四分六分という名前は、熱の湯よりも温まりが四割から六割ほどという意味。熱めのお湯は、身体の芯が温まるより先に体表の温度が上がってしまい、長く入っていられません。逆に温度が低めの熱の湯の方が長めに浸かれてじっくり芯まで温まる。熱の湯とは泉質も違うので、入りくらべるのも一興です。
四分六分の湯の横にある湯瀧。これこそ、鹿が傷をいやした「鹿の湯」の源泉から引かれます! 落下する温泉を、ツボの集まる足の裏などに当てれば効果アリ。
男性ゾーンの真っただ中なので女性には入りづらい場所ですが、朝晩の女性専用時間に利用されるといいでしょう。
写真:湯川 カオル子
地図を見る酸ヶ湯温泉には混浴を守る会があって、混浴のマナー三ヶ条が記されています。千人風呂に入る前に一読を。
宿泊客向けに、朝晩8時から9時までの2回、女性専用時間が設けられています。混浴が苦手な方は、湯屋内をクリアに見通せる夏より、冬のウイークデーがオススメ。利用客が少なく、もうもうと立ちこめる湯気で先が見えないほどです。
写真:湯川 カオル子
地図を見る新しくリニューアルした男湯の玉の湯。洗い場に石鹸類があるのは玉の湯のみになります。女湯の玉の湯も似た造りです。
湯船は8人ほどが浸かれる大きさ。千人風呂とは源泉がことなるので、こちらも試す価値アリです。
写真:湯川 カオル子
地図を見る千人風呂の男湯ゾーンで湯船の温度を測る姿を見かけるのが、番台係の石澤秀行さん。一般的には湯守といいますが、千人風呂の入口にある番台に詰めていたことから酸ヶ湯特有の呼び方です。
2時間おきに湯船の温度を計り、四分六分の湯や玉の湯は注ぐお湯の量を変えて温度を調整しています。源泉掛け流しのお湯は季節や気温に左右され温度管理が難しく、理想の温度で入れるのは、番台係さんたちが長年培ったカンと経験のたまものです。
写真:湯川 カオル子
地図を見る昭和29年酸ヶ湯温泉は、日光湯元温泉、四万温泉とともに、国民保養温泉地第1号に指定されました。その条件を満たすため、昭和23年に設置されたのが館内にある療養相談室。昭和59年までは医師が常駐していました。
現在は看護師の畑田素子さんがいらっしゃいます。酸ヶ湯温泉特有の入浴方法や、体調の気になることなどを気軽に相談できる頼もしい存在です。
写真:湯川 カオル子
地図を見る不定期開催ですが、17時から千人風呂内で開かれる10分ほどのミニライブ「ねぶたのお囃子」。開催日は千人風呂の入口に告知が出るので要チェック。
演者は宿のスタッフです。ねぶた祭りのお囃子が数曲演奏され、お風呂に浸かりながら見られる貴重な体験。入浴中ではない方も、服や浴衣のまま観られます。最後の1曲はお客さんも一緒に、ラッセラ、ラッセラと唱和して楽しむ「音浴」。ねぶた祭りの臨場感を味わえます!
アクセスは青森駅から車で1時間ほど。宿泊客は青森駅から無料の送迎バスを利用できるほか、本数は少ないながら路線バスも走るので積雪期も安心です。
酸ヶ湯温泉旅館でのもっとも素晴らしい体験は、なんといってもヒバ千人風呂。湯船に浸かってノスタルジックな湯屋の中を見渡すと、天井の高い総ヒバ造りの建物はノアの箱舟の中のよう。
そんな千人風呂をじっくりと楽しむなら、連泊がオススメです。のんびりお風呂を愉しんで、あとはなんにも考えず、なんにもしない。とりわけ人の少ない厳冬期は、千人風呂にただ一人! そんな瞬間に出会うこともあるんです。
2020年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/4/20更新)
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