写真:藤井 麻未
地図を見る加賀市を流れる大聖寺川の中流には、四季折々の風情を楽しめる鶴仙渓という渓谷が広がる。そして、この渓谷沿いには多くの温泉宿やカフェ、土産店が集まり山中温泉街を形成している。
観光客が集まり賑わいをみせる温泉地だが、東山ボヌールはその中心部から少し離れた渓谷の入口付近にひっそりと建つ。そのおかげで喧騒から隔たり、密かな別荘へ訪れたような落ち着いた雰囲気を味わえるのだ。すぐ近くには鶴仙渓が織り成す美しい風景が広がり、緑に溶け込む東山神社の鳥居や、松尾芭蕉を偲んで建てられた芭蕉堂の鄙びた姿も素敵だ。
写真:藤井 麻未
地図を見る東山ボヌールの一番の魅力は、四季折々、晴天だけでなく雨の日も雪の日も、カフェに居ながらにして鶴仙渓の自然美を存分に感じることができるという点だ。神社仏閣や伝統芸能、工芸など観光資源が豊富な山中にあって、自然はその大きな部分を占める。山中を訪れる人々に昔から変わらない自然の美しさを味わって欲しいとのオーナーの思いからこのカフェは生まれたのである。
写真:藤井 麻未
地図を見るそのため、カフェの建物は周囲の自然にすっかり馴染んだ一軒の和風建築をリノベーションしている。ここはかつて、近くにあるわずか10室のみの隠れ家的名宿「かよう亭」の別邸として利用されていた。自然の中で非日常を過ごす長期滞在客用の別荘として使われていたため、川のせせらぎや木々のそよぐ音を間近に感じられる絶好の立地であったのだ。
とりわけ二階席はガラス窓を大きくとった客室の作りを活かし、季節感漂う景色を存分に楽しむことができる。またギャラリーとして鶴仙渓を紹介するスペースも設けられ、地元アーティストなどの写真や作品を楽しむこともできる。
写真:藤井 麻未
地図を見る昭和の旅館をカフェに造り替えたというとなかなか想像がつかないが、東山ボヌールでは外観や内装の資材などをできるだけ当時のまま利用しつつ、洋風の要素をうまく取り入れている。
そのお陰で、一見モダンな洋風のカフェに思えて、天井の梁や温かみのある木材、古びた木の階段などに和の名残がちらりと覗く。レトロでノスタルジックな雰囲気が、どうりで日本人の私たちの心にフィットするわけだ。まだ客もまばらな朝早めの時間帯など、ゆっくり腰を落ち着けて読書をしたり物思いに耽るのにピッタリだ。
写真:藤井 麻未
地図を見る個室は無いものの、店内は仕切りがうまく工夫され、テーブル席とソファー席のバランスも良い。海外の絵本やユニークなオリジナル雑貨、地元こだわりの土産物などが置かれたスペースも設けられ、和と洋がミックスされた独特の空気を醸し出している。
東山ボヌールは、単に雰囲気が良いカフェというだけに留まらない。提供されるものはどれも産地と素材にこだわり、手間と時間をかけて丁寧に仕込まれることで、ここでしか体験できない唯一無二の味を追求している。
ランチのビーフシチューライスは大人気につき予約必須だ。鉄板に盛られたライスは絶妙な柔らかさに炊き上げられ、色とりどりの野菜には素材の旨味と甘味が感じられる。どこか懐かしい味のルーは、とろけるほど柔らかい牛肉がコクを増す。
写真:藤井 麻未
地図を見るラムレーズンやいちじくなどのドライフルーツとくるみなどのナッツ類がたっぷり入った森のケーキは、フィナンシェ仕立てでしっとり深みのある味。フランス産のチョコを贅沢に使用した濃厚なガトーショコラには、宝石のようなキルシュ漬けチェリーがアクセントを加えている。
各地の旬な果物を使った生絞りジュース、豆を厳選し丁寧に淹れられた深煎り珈琲、ウィーンの高級ホテル・ザッハの紅茶も手掛けた名店から取り寄せるオーガニックティーなど、思わず味わってみたくなるような魅力的なメニューが並ぶ。
森の中のレトロ・ノスタルジックな穴場カフェ、東山ボヌール。その佇まいは鶴仙渓の美しい自然に同化し、周囲にはゆったりとした時が流れる。近くにはコンビニや繁華街は無い。その代わり、慌ただしい日常の喧騒から放たれ、静寂に包まれた空間で何もしない時を過ごしてみるのも良い。
住所:石川県加賀市山中温泉東町1丁目ホ19-1芭蕉堂前
電話番号:0761-78-3765
営業時間:9:00〜17:00 木曜定休
ランチは要予約
2020年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/28更新)
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