標高925メートル。八甲田山に抱かれるようにして立つ秘湯の一軒宿「酸ヶ湯温泉旅館」。青森駅から車で1時間ほどの十和田八幡平国立公園にあって、5月の新緑や夏山ハイキング、秋には山一面の紅葉、そして冬の樹氷やスキーなど、四季折々の楽しみ方を満喫できる有名旅館です。
写真:湯川 カオル子
地図を見る入口を入ると広々としたロビー。フロントも、昭和を感じるレトロな雰囲気です。
木造2階建ての旅館は増改築を繰り返し、本館を含む8棟の建物と浴舎が渡り廊下でつながって、馴れないうちは迷子になりそう。チェックインを済ませると、客室係から館内の説明を受けながら、部屋まで案内してもらいます。
写真:湯川 カオル子
地図を見る酸ヶ湯温泉旅館の魅力のひとつが、ノスタルジックな風情ただよう建物。古いながらもピカピカに磨かれた木の廊下や明かりの灯る案内表示など、昭和初期の雰囲気を残します。郷愁をさそう館内を、散歩がてら巡ってみましょう。
酸ヶ湯温泉といえば、「ヒバ千人風呂」が有名です。160畳もの広さを誇る総ヒバ造りの浴舎には、湯船の底から温泉が湧く「熱の湯」と、複数の源泉を混ぜた大きな湯船の「四分六分(しぶろくぶ)の湯」があります。泉質はpH1.8もある酸性硫黄泉のにごり湯。打たせ湯の「湯瀧」と、掛け湯専用の「冷えの湯」も温泉です。
ヒバ千人風呂は混浴ですが、男女別にゾーンが分けられ、お湯も白くにごっているので比較的入りやすいお風呂です。四分六分の湯は、混浴ゾーンから見えないように湯船の中にも衝立があり、混浴デビューにもオススメ。
売店では湯浴み着も売られているほか、朝晩8時から1時間ずつ女性専用時間も設けています。この他、男女別の「玉の湯」もあるので、混浴が苦手な方も、上質な温泉を心置きなく満喫できます。
写真:湯川 カオル子
地図を見る2019年に新しくできたラウンジ「御鷹々々(おんたかたかたか)サロン」も好評。壁に架かる絵は、酸ヶ湯に幾度となく逗留した青森出身の世界的板画家、棟方志功の「御鷹々々図」で、宿の所蔵品です(普段はレプリカが架かります)。
ラウンジには座り心地のいいBC工房の椅子や一枚板のテーブルが置かれ、日帰り入浴でも利用できます。
写真:湯川 カオル子
地図を見る客室は134部屋あって、旅館棟と低価格の湯治棟があります。以前は全てトイレと洗面が共用でしたが、近年リニューアルしてトイレ付きの客室が増えました。
2019年にモダンになった一号館の客室は、洗面、トイレ、コーヒーマシンなどを備え、旅館棟の部屋では初めて冷蔵庫を完備。車椅子でも利用できるバリアフリーの客室です。
写真:湯川 カオル子
地図を見る2016年にリニューアルした湯治棟の三号館も洗面・トイレ付き。広さは6畳と8畳から選べます。三号館の廊下は床暖房で、他の宿泊棟にくらべて温かく過ごせるよう配慮されています。
写真:湯川 カオル子
地図を見る湯治棟は三号館の客室以外は洗面とトイレは共用で、自炊ができる調理場とコインランドリーがあります。また、湯治棟の各室には食材を保存できるよう冷蔵庫を備えます。もちろん食事付のプランもありますよ。
湯治棟にはあらかじめ布団が置かれ、敷くのはセルフです。タオル類の用意はありますが、三号館以外の湯治棟の客室には歯ブラシとヒゲソリが用意されていないので、忘れずに持参してください。
写真:湯川 カオル子
地図を見る酸ヶ湯温泉では宿泊プランによって、3通りの夕食が用意されます。旅館棟「イ棟」の夕食は部屋食。そのほかの旅館棟は、大広間での和懐石。湯治棟の宿泊客は食堂で、家庭的な料理のお膳です。
写真は、旅館棟の夕食をいただく大広間。ここにも宿が所蔵する棟方志功の掛け軸が飾られています(通常はレプリカが架かります)。
旅館棟の夕食は、青森県の地元料理を中心に鍋物やお造りなど10品ほど並びます。料理は毎日変わるので、連泊しても楽しめます。
写真:湯川 カオル子
地図を見る朝食はレストランでのバイキング。和洋食を中心に、地元料理や青森のリンゴジュースなどが並びます。北国らしさが感じられるお漬物は、種類が多いので少量ずつ味を試すのがコツ。
写真:湯川 カオル子
地図を見る酸ヶ湯温泉にはその味が忘れられなくなるほど個性的なスイーツも。それが1階売店の奥にある蕎麦処「鬼面庵(おにめんあん)」の蕎麦プリン。
蕎麦の実がのっていて、プリン自体も蕎麦の風味が驚くほど! プリンファンならずとも、必ず食べておきたいひと品です。雪だるまの容器も酸ヶ湯ならでは。立ち寄り客も利用できるので、寄道してでも食べる価値アリ。数量限定なので、ご注意を!
写真:湯川 カオル子
地図を見る豪雪地帯としても有名な酸ヶ湯。すぐ近くには八甲田スキー場があるので、何週間も連泊するスキーヤーもいます。
積雪期に窓から外を見ると、建物のまわりに水がたまって池のように見えます。これは温度の低い温泉水で、落ちた雪を溶かすため。さもないと、屋根から落ちたり降り積もった雪が、2階の窓までふさいでしまいます。
動画:湯川 カオル子
地図を見る運がよければ客室から見られるのが、屋根の雪下ろし。何しろ10棟もの建物からなる旅館なので、屋根の面積も広大。毎日どこかで、人の背丈よりも高く積もった雪を下ろしています。
雪下ろしは必ず2人以上で作業を行い、安全のため命綱もつけます。金属製のスコップが、ひと冬で2本壊れるというハードな作業。これほどの雪下ろし、酸ヶ湯以外ではなかなか見られません。
濃厚な源泉かけ流しの温泉も、クセになるほどいいお湯です。建物もリニューアルの時期に来ていて、トイレ付きの客室が増えたり休憩所が新設されるなど、過ごしやすくなりました。
アクセスは、青森駅から宿泊者専用の送迎バス(要予約)を利用できるほか、本数は少ないながら路線バスも運行します。温泉好きなら必ずや泊まってほしい東北の名湯です。
2020年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2025/2/10更新)
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