世界が認めたアジサイの聖地! 梅雨時こそ鎌倉へ行こう

世界が認めたアジサイの聖地! 梅雨時こそ鎌倉へ行こう

更新日:2014/06/06 15:55

鷹野 圭のプロフィール写真 鷹野 圭 首都圏自然ライター
言わずと知れた観光名所である古都・鎌倉。毎週休日には老若男女を問わず多くの人が訪れ、鶴岡八幡宮や小町通りなどを中心に大変な賑わいを見せます。一方で有名スポットから少し離れると、緑の山々を間近に望む落ち着いた雰囲気に……このギャップもまた鎌倉の魅力の一つと言えるでしょう。

そんな鎌倉が特別な美しさを醸し出すのが、梅雨のシーズン。至る所に咲くアジサイの花々が、しっとりとした魅力を街にもたらします。

こぼれそうなほどのアジサイの花! 鎌倉各所の群落を見て回ろう

こぼれそうなほどのアジサイの花! 鎌倉各所の群落を見て回ろう

写真:鷹野 圭

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年間を通じて鎌倉が最も混雑するのは、初詣客の多いお正月を除けば間違いなく梅雨時ですね。街のあちらこちらで無数のアジサイが満開になり、青や紫を基調とした涼しげな花々が和風情緒あふれる街並みに彩りを添えます。

特に圧巻なのは、公道に面した斜面で見られる群落。目線よりも高い位置にたっぷりと咲いたアジサイは、下から見上げるとなかなかの迫力。斜面の上方には深い藪や樹林があることが多く、濃緑と花のコントラストがこれまた美しく目を奪われます。中でもぜひチェックしていただきたいのが、北鎌倉駅よりほど近くの明月院前(写真参照)と、同駅から鶴岡八幡宮へと続く亀ヶ谷坂周辺エリア。いずれも6月にはボリュームたっぷりに花が咲き、溢れてなだれ落ちてきそうなほどです。間近から見上げてみるもよし。写真のように少し遠距離から俯瞰で見るのもよし。お好みの視点を探してみましょう。

アジサイの「種類」の多さにも目を向けてみよう

アジサイの「種類」の多さにも目を向けてみよう

写真:鷹野 圭

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一般に抱かれるアジサイのイメージといえば、手毬のように丸く膨らんで咲くものでしょう。「アジサイの絵を描いて」と言われれば、このタイプを描かれる方が大半です。実際、上の明月院前の群落も、ほとんどが手毬状に咲く型だったりします。

しかし、鎌倉中に散りばめられた無数のアジサイの中には、定番のものとは一風変わったタイプの花を咲かせる株もたくさんあります。大きな花弁が縁を彩るガクアジサイのほか、山野草のオカトラノオのように動物の尻尾そっくりな穂の形をしたものも。こうしたユニークな品種が見られるのも、街全域で見られるほどにアジサイの株数・スポット数が多いからでしょう。

散策の際はぜひ時間に余裕を持って、できる限り株の一つひとつに目を向けてみましょう。新しい発見があるかもしれません。

山の高低差を活かしたあじさい寺『明月院』は必見

山の高低差を活かしたあじさい寺『明月院』は必見

写真:鷹野 圭

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境内にアジサイを植栽したお寺は鎌倉市内にたくさんありますが、中でもお勧めしたいのがこの明月院(めいげついん)。鎌倉市内でもトップクラスの有名なあじさい寺で、シーズンになると大変多くのファンが集まります。ご覧の通り、園路や階段の両サイドにふんだんにアジサイが植えられ、その株数は到底数え切れません。

明月院はJR北鎌倉駅よりやや山の方へ歩いたところにあり、山林の深い緑の中に無数のアジサイが咲きます。色は青を基調として、紫やピンク、あるいは白色などパステル調のものが主体。淡い配色のためか、溢れるほどに満開に咲いても派手派手しさはなく情緒を失いません。山と隣接するためにアップダウンが激しく、歩いて回ると少々疲れるかもしれませんが、この高低差もまた人気のポイント。あたかも自然の山間にアジサイが自生しているかのように見え、平地のあじさい寺とは一線を画した美しさがあります。写真を撮られる際には、まずは下からアジサイの咲く傾斜を見上げるように、次に上から境内全体を見下ろすように撮影するといいでしょう。

なお、明月院の境内には鎌倉幕府の5代執権 北条時頼の墓所など史跡がいくつも見られます、花と一緒に見て回ることをお勧めします。

鎌倉各地の、アジサイの咲く史跡を巡ろう

鎌倉各地の、アジサイの咲く史跡を巡ろう

写真:鷹野 圭

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夏季、とりわけ6月の鎌倉は「アジサイづくし」といっても過言でないほどです。古都の歴史を伝える街中に散りばめられた史跡のほぼすべてにアジサイが植栽されています。写真は、江戸城の築城で知られるかの太田道灌の屋敷跡に咲くガクアジサイ。あじさい寺のようなボリュームはありませんが、道路から見えるポイントに植栽されたアジサイは自然と目に留まります。同じく太田道灌ゆかりの英勝寺(えいしょうじ)や、アジサイ越しに海岸線を望める成就院(じょうじゅいん)、王道の長谷寺などもアジサイの名所として知られています。

それだけではありません。よく見れば繁華街や民家、駅前の食事処の玄関先、路上からも見えるような庭先、河辺のちょっとした空き地などにもアジサイはたくさん植えられているのです。数百年の歴史を刻む数々の史跡や建造物と同様に、もはやアジサイは鎌倉の文化として定着しているようですね。

時折、小さな祠の前などにさりげなくアジサイが供えられていることも。誰がお供えしているのかはわかりませんが、これもまた、夏の鎌倉では「花といえばアジサイ」という認識が強いことの証と言えるかもしれません。

鎌倉の街を見下ろす源氏山公園も、アジサイの名所!

鎌倉の街を見下ろす源氏山公園も、アジサイの名所!

写真:鷹野 圭

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山林の多い鎌倉市にはいくつかのハイキングルートがあり、森林浴や軽い運動にはピッタリです。その中の一つ、葛原岡・大仏ハイキングコースの中継点である「源氏山公園」もまた、アジサイの美しい名所。小高い山の頂上に位置し、源頼朝公の像をはじめ、日野俊基卿の墓、化粧坂などの史跡を有します。

アジサイは、高木の立ち並ぶ涼しげな園内の至る所に植栽されています。特に、株数こそ控えめですがあたかも自然の野山に咲くような様を楽しめる「あじさいの小径」や、休憩にピッタリな「こもれび広場(上写真)」などが見所。程良い日陰の下で、涼しげな配色のアジサイの花に囲まれながらリラックスできることでしょう。

ここまでにご紹介してきたアジサイスポットは、あくまで一部分に過ぎません。他にも鎌倉には、また違う新しい景観が楽しめるかもしれません。色々なところに目を向けて、鎌倉中に散りばめられたアジサイを探してみましょう。

鎌倉が「アジサイの聖地」と呼ばれるのはなぜ?

現在、鎌倉市内に植えられているアジサイはほとんどが園芸用に品種改良されたものですが、そのルーツを辿ると、祖先となるのは日本原産のガクアジサイだそうです。そこから数々のアジサイが生まれ、今では海外でも庭先などに植えられ愛でられています。そうした経緯から、2013年6月には日本で「国際アジサイ会議」が開催され、海外の学術者などが集う大きなイベントが催されました。その会場となったのが鎌倉市なのです(会議は鶴岡八幡宮で開催されました)。すなわちアジサイの原産国・日本において、世界の愛好家や研究家の目から見ても、鎌倉市がトップクラスのアジサイの名所と評価されていることの証と言えるかもしれません。

6月から7月初頭辺りまで見頃が続く鎌倉のアジサイですが、私としてはぜひ雨の日に見ていただきたいと思っています。しっとりとした雰囲気や霞が淡いアジサイの花とよく合い、水彩画のような、一層「和」の情緒の増した独特の景観が楽しめます。雨ばかりで外出できない……なんて時にこそ、むしろ鎌倉観光がお勧めです。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/06/11 訪問

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