仏教美術の宝庫!韓国・慶州の世界遺産「仏国寺と石窟庵」

仏教美術の宝庫!韓国・慶州の世界遺産「仏国寺と石窟庵」

更新日:2021/09/06 11:02

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員
韓国を代表する世界遺産として必ずその名が挙がるものに、慶尚北道の観光地・慶州(キョンジュ)の「仏国寺と石窟庵」があります。「仏国寺と石窟庵」は古代の朝鮮半島に君臨した新羅の仏教文化を象徴するスポットであり、世界遺産の名に恥じない魅力を有しています。今回は「仏国寺と石窟庵」をめぐり、新羅時代に花開いた仏教美術の粋をご紹介しましょう。

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新羅の宰相・金大城によって創建された「仏国寺」

新羅の宰相・金大城によって創建された「仏国寺」

写真:乾口 達司

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「仏国寺(プルグクサ)」は大韓民国慶尚北道慶州市にある寺院。慶州の最高峰である「吐含山(トハムサン)」のふもとにあり、現在は曹渓宗の寺院となっています。

『三国遺事』によると、創建は751年。新羅の宰相・金大城が父母のために建立したことにはじまります。仏国寺は統一新羅時代に隆盛をきわめるものの、儒教を尊ぶ朝鮮王朝の時代になると、荒廃。20世紀に入って再建が推し進められ、1995年、後でご紹介する「石窟庵」とともにユネスコの世界文化遺産に登録されました。

写真は参道正面から中心となる伽藍を撮影したもの。壇上の門は「紫霞門」で、その前に設置された石橋は上段の「白雲橋」(16段)と下段の「青雲橋」(17段)から成り立っています。これらは、文字通り、俗界と聖域としての中央伽藍とを橋渡しするものとして設置されており、創建当初からの遺構の一つ。統一新羅時代に建造された石橋としては、唯一、完全な形で残されています。

新羅の宰相・金大城によって創建された「仏国寺」

写真:乾口 達司

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こちらは「安養門」の前にかかる「蓮華橋」「七宝橋」。やはり創建当初のものとされており、俗世の人たちではなく、西方にある極楽世界に住まう人たちだけが上り下りした橋であると伝えられています。

石段のそれぞれに仏教ゆかりの植物である蓮を模したレリーフが刻まれており、石橋がここでも仏国寺の中心伽藍にいたるための重要な架け橋であることを示しています。

新羅の宰相・金大城によって創建された「仏国寺」

写真:乾口 達司

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注目したいのは、中央伽藍の南面と西面に築造されている架構式石積み。上部には欄干が設けられており、石柱のあいだには自然石が整然と積みあげられています。統一新羅時代の土木技術がいかに高度であったかを示す作例です。

大雄殿を中心とした中央伽藍

大雄殿を中心とした中央伽藍

写真:乾口 達司

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中心となる伽藍は盛土の上に広がっており、3つの区画が回廊によって区切られています。そのなかでも中心となるのが、こちらの大雄殿。仏国寺の本堂に当たる建造物で、堂内には大きな釈迦三尊像がまつられています。

大雄殿を中心とした中央伽藍

写真:乾口 達司

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写真は大雄殿の軒下を撮影したもの。龍とおぼしき造型の組み物と朝鮮半島を象徴する「丹青(タンチョン)」のあざやかな色彩が目を見張ります。

大雄殿を中心とした中央伽藍

写真:乾口 達司

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大雄殿の前に立つのが「多宝塔」(右)と「釈迦塔」(左)。多宝塔は創建当初からのもので、四面の基壇は「四聖諦」を、十段ずつから成る石段は「十信」「十住」「十行」「十廻向」を、といったように、仏教の奥義と実践をそれぞれ体現しています。

高さが10メートルになる釈迦塔も、創建当初から存在する三層石塔。復元工事中、塔の内部から世界でもっとも古い部類に属す木版印刷物の『無垢浄光陀羅尼経』をはじめとする宝物が数多く発見されました。

触って運気アップを!「金の豚」の置かれた極楽殿

触って運気アップを!「金の豚」の置かれた極楽殿

写真:乾口 達司

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大雄殿の西隣りにある「極楽殿」でぜひご覧いただきたいのが、こちらの「金の豚」。極楽殿の軒下には木造の豚の彫刻がほどこされており、こちらの銅像はそれを形象化したもの。

韓国では「金の豚」を撫でると運気が向上するといわれており、たくさんの人がみずからの運気向上を願って撫でています。

触って運気アップを!「金の豚」の置かれた極楽殿

写真:乾口 達司

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極楽殿の基壇まわりをよく見ると、タイルの一つ一つに仏教ゆかりの植物である蓮の花を形象したものが刻まれています。見落としてしまいがちな部分なので、お忘れなく。

触って運気アップを!「金の豚」の置かれた極楽殿

写真:乾口 達司

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周辺には、おびただしい数の提灯。それぞれに奉納者の氏名や願い事が記されており、日本でいうところの絵馬といったものでしょうか。

境内の風景

境内の風景

写真:乾口 達司

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魚の形をしたこちらは「開(かい)ぱん」と呼ばれるもの。その形状から「魚(ぎょ)ほう」と呼ばれており、木魚の原型となったものです。

境内の風景

写真:乾口 達司

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お寺なので、お坊さんの姿も見かけます。時間帯によっては、お堂でお坊さんの読経シーンに出くわすことがあるかも知れません。日本の読経とどのように違うのか、ご自身の耳でお確かめください。

境内の風景

写真:乾口 達司

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特におすすめしたいのは、紅葉の時期。11月中旬には、境内があざやかに彩られます。紅葉目当てに仏国寺を訪れるのも一計でしょう。

<仏国寺の基本情報>
住所:大韓民国慶尚北道慶州市進峴洞
電話番号:+82-54-746-9913
アクセス:「慶州バスターミナル」からバスで約25分
拝観時間:7:30〜17:30(2月)/9:00〜17:00(3月〜9月)/7:00〜17:30(10月)/7:30〜17:00(11月〜1月)
拝観料:6000ウォン(19歳〜)/4000ウォン(13歳〜18歳)/3000ウォン(8歳〜12歳)

壮大な石の造型!吐含山の山頂に位置する「石窟庵」

壮大な石の造型!吐含山の山頂に位置する「石窟庵」

写真:乾口 達司

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仏国寺とあわせて世界遺産に登録されている「石窟庵(ソックラム)」は、吐含山の山頂に位置しています。仏国寺から歩いて登ることもできますが、1時間に1本だけ出ているバスを利用するのが便利でしょう。

石窟庵は長方形の前室とドーム状の円室(主室)とを「扉道」(廊下)で接続した石積みの施設。円室の中央には巨大な本尊仏が据えられ、その壁面には釈迦の十大弟子像や菩薩像などが刻まれています。扉道や前室の壁面にも四天王像や金剛力士像、八部衆像が刻まれており、その精巧な造型は韓国随一とたたえられています。

石窟庵の造立は統一新羅時代。仏国寺を創建した金大城によって造られたと考えられています。しかし、その存在は永らく忘れられており、1909年頃、現地在住の日本人によって再発見されたときは崩壊の一歩手前にありました。一時はソウル(当時の京城)に移設・保存される計画もありましたが、結局、現地で大規模な修復工事がなされ、現在は前室に付随する覆屋の内部からガラス越しに拝観する形となっています。

内部の撮影は厳禁。石窟庵の内部にどのような世界が広がっているか、ご自身の目でお確かめください。

壮大な石の造型!吐含山の山頂に位置する「石窟庵」

写真:乾口 達司

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近くの平地には、ご覧のような石がたくさん並べられています。これらは修復工事の際に運び出された石窟庵の石組みの一部。どの石がドームのどのあたりを構成していたか、想像しながらめぐりましょう。

壮大な石の造型!吐含山の山頂に位置する「石窟庵」

写真:乾口 達司

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吐含山の山頂付近にあるため、石窟庵からの眺望は抜群。展望台には双眼鏡も設置されています。はるか遠く、朝鮮半島の東に広がる「東海」まで眺めることができますよ。山にかこまれた慶州の地が思いのほか「東海」に近いことを実感するはず。ちなみに、「東海」は日本では「日本海」と呼ばれています。

<石窟庵の基本情報>
住所:大韓民国慶尚北道慶州市進峴洞
電話番号:+82-54-746-9933
アクセス:「仏国寺」からバスで約15分
拝観時間:9:00〜17:00(春・秋)/6:30〜18:00(夏)/7:00〜17:00(冬)
拝観料:6000ウォン(19歳〜)/4000ウォン(13歳〜18歳)/3000ウォン(8歳〜12歳)

仏国寺と石窟庵をめぐろう

仏国寺と石窟庵がいかに魅力的な寺院であるか、おわかりいただけたでしょうか。韓国を代表する寺院ゆえ、新羅時代に築かれた仏教美術の至宝をぜひご堪能ください。

2021年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/11/19 訪問

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