大野城が建つ常滑市城山公園へは北駐車場から青海山を上るのがおススメ。標高差40mくらいを竹林の風情を楽しみながら階段と坂道を上ります。駐車場入り口や近辺の地名には「城下」、「城山」、「大門」、「屋敷」などお城の雰囲気が残っています。山頂には大野城模擬天守、桃山御陵(明治天皇陵)遥拝所跡、佐治神社があります。
展望台から伊勢湾の眺めは必見!対岸の四日市のコンビナートや後方の御在所岳(白い煙突後方)まで手に取るように見通せます。御在所岳のはるか後方に京都伏見の桃山御陵があります。伊勢湾を行き交う船を監視できる大野城は大野水軍を束ねた佐治氏の見張り場所だったと想像できますよ。本能寺の変の際の家康の逃避ルートは、対岸の白子(四日市)から眼下の大野だったとも云われています。
帆に風を一杯に受けた千石船が浮かんだ伊勢湾の眺めを想像してみてはいかがでしょう。知多半島はかつては常滑船や内海船など尾州廻船のメッカ、常滑の北に位置する大野港はその中心の一つでした。左手から中部国際空港を飛び立つ飛行機が頻繁に横切りますよ。
大野城天守、展望台の奥にある佐治神社には祠が三つ。右から順に、江が嫁いだ佐治一成の座像。次に、少彦名命(スクナビコナ)の石碑。そして佐治神社の祠。更に、大己貴命(オオナムチ=大国主命の幼名)石碑、そして大野城を築いた一色氏を祀る祠。左手手前(写真外)に駒嶽社の祠、こちらもオオナムチを祀ります。国造りの万能の神オオナムチを支えたスクナビコナは、医薬、穀物、知識、酒造などにご利益があると云われていますよ。
佐治一成の母親は信長の妹のお犬の方。江は信長の妹、お市の方の娘なので一成と江はいとこ同士。幼年時の一成を後見したのが当時の知多領主の長益(後の有楽斎)でした。佐治氏は織田家と婚姻関係でつながっていましたが、信長横死後、秀吉と家康が敵対する中、佐治一成は家康側に付いたことで秀吉から追放され、江は離縁。一方、長益はこの地より水利の良い大草城を築城し移りました。佐治氏は、信長、秀吉、家康への権力の移行に翻弄されたのです。
<基本情報>
住所:愛知県常滑市青海町5丁目8
電話番号:0569-34-8888(常滑市観光プラザ)
アクセス:
名鉄常滑線西ノ口駅から徒歩15分、名鉄常滑線大野駅から徒歩20分
国道247号堀田交差点を東へ車で約5分(駐車場10台程度あり)
模擬天守(無料)の開放時間:
3月〜10月 午前9時〜午後5時、4月〜11月 午前9時〜午後4時
御城印は通常、常滑市観光プラザ(常滑駅前)で入手可能(300円)ですが、常滑市観光プラザは、2020年3月31日まで新型コロナウイルス対策閉所中で購入できません。
大草城は知多市大草公園にあり、大野城北駐車場からわずか2kmほど。二つのお城の中間を流れる矢田川の南にある大野城は常滑市、大草城がある北側は知多市です。佐治一成や織田長益(有楽斎)が生きた時代は、大野庄とか大野谷と呼ばれました。大草城に近づくと、模擬天守(写真)が海抜10m程度の小高い丘に建っているのが浮かび上がってきますよ。
大草城模擬天守は、本丸「予定地」に展望台として建てられています。織田長益は、大草城を完成させることができませんでした。長益は、佐治一成が家康方について秀吉の敵方になった小牧長久手の合戦後、摂津国(現摂津市)に転封され、本丸や二ノ丸曲輪、土塁や内堀の普請(工事)を終えると城は放棄され、建物がない幻の城と呼ばれるようになったのです。
模擬天守最上階には保護ネットの回廊がありますが、大野城同様、伊勢湾視界は良好です。
長益が普請した土塁や内堀、空堀などが当時のまま保存されています。内堀や土塁をくまなく巡る散策路が整備されているので、30分ほど散策してみてはいかがでしょう。大草城には東側と北西側に内堀があります。まずは、展望台から東屋経由で、土塁を抜けて東側の内堀へ歩いてみましょう。
展望台1階に大草城のパンフレットが置いてあり、内堀、土塁、空堀、虎口などの位置がわかりやすく描いてあるので位置を確認しながら歩くと楽ですよ。散策路は、写真の「虎口(=出入口)」で三方向に分かれるので、右手へ土塁を抜けて降りていくと内堀です。
内堀に架かる橋から南側には水鳥たちが群れ遊ぶ風景が楽しめますよ。
少し戻ると、内堀の外側沿いに散策路が作られているのでお城の北側へ向かうことができますよ。
内堀の突き当りの北側「虎口」から土塁に上がり先程の分岐路にある「虎口」から二ノ丸の空堀を歩いてみましょう。空堀の南側(写真左側)に展望台がある位置関係です。
空堀は北側と南側の土塁にはさまれた二ノ丸曲輪を通過します。
空堀を突き当りまで行くと、北西側にかぎ型になった内堀沿いに散策できます。樹木が鬱蒼と茂った土塁は見上げるほどの高さがありますよ。
少し入口を見つけにくいのが、運動場の東側にある土塁の上り口。大草城パンフレットにもこの土塁の散策路が記載されていません。本丸があった運動場北東角に階段があるのでここから上ります。この高低差が運動場からの土塁の高さです。土塁の向こう側には10m程下に内堀があります。
土塁の稜線左側に内堀、右側に運動場を見ながら歩きましょう。手すりがあるので、安心して歩けます。100mほどまっすぐ歩くと運動場の南東角に出ます。
土塁を下りると展望台が良く見える位置に出ます。大草城は東、北、西側を内堀や土塁が囲み、南側は矢田川に守られた堅固な城塞だったことがわかりますよ。
<基本情報>
住所:愛知県知多市東屋敷110-1
電話番号:0562-51-5637(知多市観光協会)
アクセス:
名鉄常滑線新舞子駅から徒歩15分、名鉄常滑線大野駅から徒歩10分
国道247号新海交差点を西へ車で約5分(駐車場5台程度あり)
模擬天守(無料)の開放時間:8:30〜17:00
御城印は通常、知多市観光協会で入手可能(300円)ですが、知多市観光協会は、2020年3月31日まで新型コロナウイルス対策閉所中で購入できません。
常滑市城山公園の大野城、知多市大草公園内にある大草城ともに、信長、秀吉、家康の3人に仕えた織田有楽斎と深いかかわりがあります。お城の規模は小さいですが、戦国時代の歴史満載の面白さがあります。大草城では、模擬天守からの伊勢湾展望だけでなく、内堀や土塁、空堀などを散策して戦国時代の城塞の雰囲気を堪能してみてはいかがでしょう。
2020年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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