各務ヶ原市は戦前の蘇原町のころより、陸軍により飛行場が設営され、今も航空自衛隊の岐阜基地として稼働する飛行場のまち。特に試験飛行を行う場所としてここで初の飛行を行う機体も多く、写真のような航空機の黎明期から共に歩んできた歴史を持ちます。各務原陸軍飛行場の時代からすでに100年の歴史が経過している国内でも最も古い歴史もつ飛行場のまちであり、それゆえこの空宙博がここにあるわけです。
国内で現存する唯一の「飛燕(三式戦闘機二型)」が見られるのもこの空宙博だけ。設計者は戦後、初の国産旅客機であるYS-11の設計者でも知られる土井武夫氏。機体が製造されていたのが川崎重工(当時は川崎航空機)の岐阜工場であったため、鹿児島の知覧に展示されていたものを移設し2018年からこの空宙博で展示しています。まさに里帰りというわけです。
ちなみにジブリ映画「風立ちぬ」の主人公のモデル堀越二郎氏と土井武夫氏は大学の同期です。前者は三菱で零戦を後者は川崎で飛燕を設計していたわけですね。
飛燕のあるフロアから休憩スペースにあがると今度はゼロ戦の実物模型がお出迎え。しかし実はこのゼロ戦も我々の良く知っている零式艦上戦闘機ではなく各務ヶ原飛行場で試験をしていたプロトタイプの十二試艦上戦闘機。こうした細かいこだわりがマニアのこころをくすぐりますね。
ちなみに空宙博の中には別にカフェもあり、各務ヶ原のソウルフードでもあるキムチチャーハンも食せます。帰りに寄っていくのも良いですね。
空宙博にはもちろん多くの実物の航空機の展示がなされています。その一部は外に設営されており、無料で見ることができます。ちなみに天候が良ければ赤い梯子を使って奥の建物の上の展望デッキに上ることも可能です。
そして屋内には戦後の航空機開発の歴史を語るうえで外せない歴代の名機がずらりと並んでおり、その姿は圧巻です。なお土日祝日のみではありますが、写真中央のT3初等練習機のコックピットに乗って写真を撮ることもできます。
またシミュレーターなど体験型の施設も館内にありますので、パイロット気分を味わいたい方にはぜひお薦めです。
ちなみに屋内の航空機の展示場の一角には企画展も催されており、こちらも通常のチケットで入れます。忘れすに訪れましょう。
ちなみに写真は帝国陸軍が当時の世界最速記録に挑むべく東大に依頼した試験機「研三」の復元模型です(2020年のGWまで展示予定)。飛行試験場としての歴史をもつ各務ヶ原ならではの幻の航空機にもお目にかかれるわけですね。
順路に従って見学を続けるといよいよ空から宇宙へとステージが移っていきます。川崎重工は今や宇宙産業にも参入しており、試験で用いた巨大な実物のフェアリング(ロケットの先端部分に格納された衛星を守る外壁)をど〜んと展示してあり、迫力満点です。
2階に上がると完全に宇宙一色。各国のロケットの模型や人工衛星のレプリカがづらりと並びます。人工衛星を包んでいるサーマルブランケット(きんぴかのアルミ箔のような外壁)を触ることもできます。
ちなみに後ろにある筒のような物体は国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟である「きぼう」の実物模型。中もリアルに再現してありますので、宇宙飛行士の気分を味わってみてください。
そして忘れてはならないのは宇宙探査。話題になったJAXA(宇宙航空研究開発機構)のはやぶさ2プロジェクトはまだ実施中で、その小惑星探査機の実物大模型も展示されています。現在小惑星Ryuguに滞在中のはやぶさ2は、2020年末に地球に帰還する予定です。こうした現在進行形のトピックも空宙博では網羅しています。
このまま順路に従っていくと出口に向かいますが、出口の前には空宙博のオリジナル商品(前述の飛燕のプラモデルなど)を扱ったミュージアムショップもありますので、最後まで楽しめます。
なお岐阜駅から車で30分以内という近場にありますので、アクセスも楽々です。
それでは気をつけていってらっしゃいませ〜。
住所:岐阜県各務原市下切町5丁目1番地
電話番号:058-386-8500
アクセス:名鉄「各務原市役所駅」からバスで「航空宇宙博物館」下車
または、各務ヶ原ICから国道21号経由、車で10分
2020年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/4/17更新)
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