酸ヶ湯温泉といえば、全国に知られる青森の温泉旅館。貞享元年(1684年)に猟師によって発見され、宝永7年(1710年)には68軒もの小屋に千人近い人がいて、入浴していたと伝わる名湯です。
今では秘湯の一軒宿。134部屋のうち、6割が湯治部屋です。そのうえ湯治宿ランキングで何度も1位に選ばれる人気旅館。自炊しない人には朝夕の食事付きプランがあるので、心配もいりません。温泉初心者でも旅行気分で湯治ができる、うれしいお宿です。
湯治といえば、やっぱり温泉! 混浴の「ヒバ千人風呂」は、ことに有名。160畳もの広さを誇る総ヒバ造りの浴舎は、柱が1本もない壮大な造りです。泉質はpH1.8もある強酸性の硫黄泉で、源泉掛け流し。極楽気分のいいお湯です!
酸ヶ湯には「3廻り10日」という言葉があって、「1廻り」3泊を3回続けて9連泊すれば「万病に効く!」と言われます。実際に温泉の効果が期待されるとして、国民保養温泉地第一号に指定されるほど。まさに湯治にピッタリのお風呂です。
このほか男女別の「玉の湯」もあるので、混浴が苦手な方でも安心。極上泉を思う存分楽しみましょう。
写真:湯川 カオル子
地図を見る館内には国民保養温泉として温泉療養所も設けられ、看護師の畑田素子さんが常駐しています。生活習慣病の改善やストレス解消、疲労回復などのために湯治するお客さんも多いので、血圧測定やストレスチェックが受けられるほか、日ごろから気になる身体の相談にものってもらえる頼もしい存在です。
そのうえ千人風呂特有の入り方も伝授してくれます。初めての人こそ療養所を訪ねましょう。
写真:湯川 カオル子
地図を見る一般の旅行客が利用する旅館棟よりも、湯治棟のお部屋なら格安で滞在可能。
部屋にははじめから布団が置かれ、布団敷きはセルフ。チェックインしたらすぐ敷いて、お風呂から戻ったらゴロンとできる楽チンさ。写真は五号館にある6畳のお部屋です。
写真:湯川 カオル子
地図を見る料金は少し高くなりますが、湯治棟三号館のお部屋は洗面とトイレ付き。2016年にリニューアルされ、室内はとってもキレイ。とりわけ三号館の廊下は床暖房になっていて、寒さが苦手な方にはオススメです。部屋は6畳と8畳から選べます。
写真:湯川 カオル子
地図を見る湯治棟でしばしば目にするのが、廊下に置かれたお届け物? 旅館棟の客室は毎日清掃されますが、湯治棟では掃除とタオル・シーツの交換が3日に1度です。チェックイン時に客室内の清掃は不要と伝えると、3日ごとに部屋の前に新しいタオルとシーツが置かれます。
写真:湯川 カオル子
地図を見る湯治棟には炊事場が数か所あって、ガスコンロや電子レンジなどが無料で使えます。また湯治部屋には冷蔵庫が備わります。時には炊飯器持参のツワモノ滞在者も!
炊事場は時間によってたいへん混むことも。また、標高が925メートルもあるためお湯の沸点が97度ほどしかなく、沸騰してもぐらぐら煮え立たないので要注意です。
写真:湯川 カオル子
地図を見る三号館へ通じる廊下には食器や鍋などが用意され、自由に使えます。
食材の買い出しは、宿泊客専用の送迎バス(要予約)で青森駅までお出かけできます。朝便で宿を出て午後便で戻ってくれば、街には4時間ほど滞在可。買い物と観光ができてお得です!
写真:湯川 カオル子
地図を見る館内のあちこちに共用の洗面とトイレがあり、トイレはすべて洗浄機能付きです。洗面を男性客と並んで使うのは苦手という人も、女性専用の洗面所が数か所あるので安心。コインランドリーも備えます。
写真:湯川 カオル子
地図を見る玄関横にある売店では、カップラーメンなど簡単に食べられるものも揃い、お酒やお土産も豊富です。青森独特の細長いタケノコ「根曲がり竹」を使った生姜味噌おでんも食べられますよ。
写真:湯川 カオル子
地図を見るお昼には、蕎麦処「鬼面庵(おにめんあん)」がオススメです。蕎麦の実の黒い部分を磨いた色白の自家製麺が特徴で、やさしい味わい。デザートの蕎麦プリンは、蕎麦の香りが驚くほどする必食の味ですよ!
写真:湯川 カオル子
地図を見る三号館の夕食は、旅館棟のお客さんとともに大広間で10品ほどの和食膳。五、六号館の湯治客は、食堂でいただきます(写真)。どれも家庭的な味付けで、汁物は青森の郷土料理が中心。毎日変わるメニューも楽しみのひとつです。
写真:湯川 カオル子
地図を見る館内の大半は古い造りで、五号館は古いアパートの廊下みたい。でもとっても清潔で、年季の入った床板はいつもピカピカに磨かれています。部屋の壁も薄いので、隣の物音が聞こえることも。テレビのボリュームは控えめに。湯治棟での生活は、長屋暮らしをしているような感じです。
とはいえ、長屋には長屋のよさがあって、湯治客同士が親しくなることもしばしば。まさにご近所付き合いです。とりわけ地元の方とのふれあいは湯治宿の魅力。年配の方の津軽弁は、半分ほども理解不能ですが、それも「みちのく」ならではの想い出です。
写真:湯川 カオル子
地図を見る館内には2019年の夏に完成したラウンジもあって、宿泊客や日帰り入浴のお客さんに人気です。ちょっと静かに過ごしたいなら、三号館の奥にあるギャラリー「神舞閣」が穴場。
神舞閣には、酸ヶ湯に逗留して絵を描いた青森出身の板画家棟方志功の作品などを展示。その一角にある小さなラウンジで読書をされていたのは、庄内地方の農婦をテーマにした陶芸作家の今田和子先生。毎年湯治に訪れます。酸ヶ湯は今でも文人墨客に愛される湯治場なんですね。
写真:湯川 カオル子
地図を見る湯治場の風情が、そこかしこに感じられる酸ヶ湯温泉旅館。何度でも訪れたくなるノスタルジックな風景です。
そのいっぽうで、周囲の大自然も魅力的。5月の新緑。夏は初心者にもオススメの八甲田山ハイキング。秋にはスーパー紅葉。冬は八甲田スキー場で山スキーや樹氷など、いつ来ても楽しめます。
酸ヶ湯温泉旅館では、長期滞在はもちろん、1泊から3泊程度のプチ湯治まで自分スタイルで泊まり、極上の温泉で身体をリセットできます。一人旅の方も多く、強酸性の温泉はピーリング効果も高いので、美肌が気になる女子旅にもピッタリ。
温泉入って食って寝る。のんびり過ごす湯治では、そんな贅沢が味わえます。
2020年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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